14 桜の綻び藍見える
「無事に完全推薦型競技の出場選手が決まりましたので、次は選択種目について話し合っていきたいと思います。選択種目は全部で三種類。徒競走、剛腕奪取、綱引きです」
この競技は一クラスにつき、男女各五名ずつと決まっている。今年も今まで通り、自分の出場したい種目の下に名前を書いていくらしい。私と蓮くんは徒競走、藍那は剛腕奪取、海斗くんは綱引きのところへそれぞれ名前を書いた。
自分の席に戻って黒板を見ると、私が予想していたよりも均等に名前が記入されていた。今年も私のように楽をしたい生徒が徒競走を選んで話し合いに時間がかかったりするのかなと思ったけど、高校生活最後の体育祭だから? 一、二年生の時より五人は希望者が少ないみたいだね。
「男子はちょうど五人ずつになっていますので、ここまま確定しましょう。問題は女子ですがこちらも徒競走が六人、綱引きが四人なので徒競走を希望している女子の中から一人移動していただければ決まりますね。どうしますか? 五分ほど話し合いの時間を取りましょうか?」
「私が変更します。綱引きで大丈夫だよ」
移動するのがたった一人でいいのなら、話し合うまでもなく私が希望変更する。……こういう場面で空気を読むのが『瑠衣咲良』であり、そう認識されるように今まで振る舞ってきたのだから構わない。これは私が自分で始めたこと。それに、楽だからという理由で選んだだけだから絶対に徒競走がいいというわけでもない。
「……いいんですか?」
「うん。やっぱり綱引きも楽しそうだなと思っていたからちょうど良かった」
「そうでしたか。では瑠衣さんは綱引きに変更していただいて……これで決定しようと思います」
よろしいでしょうか、と言う坂井さんにみんな頷き、話し合いの進行者は先生に戻った。
その後、部活動リレー『男女、運動部と文化部で分かれて行われること。部活動に所属していない生徒は参加しないこと』、応援団ではなく団全体の団長と副団長『団長は三年生から一人、副団長は二年生から一人選ばれる。希望者は後ほど担任に声を掛けるように』などの説明があり、明日のロングホームルームについての話を聞いて、今日の授業はすべて終わった。
「……咲良、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」
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