表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~
113/116

111 桜が輝ける場所

 ◇


「────それでは改めて、全員志望校合格おめでとー!」

「いえーい!」


 今日は藍那の受験の結果も出たということで、私の家で打ち上げ兼お疲れ様会をしている。結果は本人も行っているように『合格』。つまり、春からは全員第一志望の学校に通えるということになる。大丈夫だろうとは思っていたけれど、やっぱり結果を聞いた時は大喜びしてしまった。安心したよ。


「それで、聞きづらい雰囲気だったから咲良だけどの大学を受験したか聞いてないんだけど、良かったら教えてくれない?」

「いいけど、たぶん藍那が思うほどすごい場所ではないよ? 国内だし」

「それは当たり前だろ」

「そう? すごく期待されてる気がしたから、留学ではないとだけ先に伝えておこうと思って」


 アメリカの有名な大学とかではない。さすがにそこに比べたら私の受験したところもすごくないからね。何もしていないのにがっかりされるのも嫌で、先に報告すれば、見事蓮くんに突っ込まれた。


「別に普通でしょ。で、どこなの?」

「東都大学医学部脳神経医学専攻」

「……なんて?」

「東都大学の医学部だよ。脳神経医学が専攻」

「どうしよう海斗、咲良が呪文を言ってる」

「俺も呪文に聞こえるよ。咲良、そんなすごいところ受けてたんだ」

「……マジ? 専攻は違えけど、学部一緒じゃん俺ら」

「まあそうなるね」


 なんで医学部? という質問に答えるか一瞬迷い、まあいいかと思って口を開こうとすると目の前のテレビから着信音が鳴りだした。ちなみにうちのテレビは最新の技術を使ったものだから通話ができる。そしてこれは最新型なので上流階級の家庭にしかまだ普及していない。藍那も海斗くんも蓮くんも、今日はずっと驚いてるね。無理もないけれど……


 ここまで来たらもう誤魔化さなくていいか、と思い三人に断りを入れ、そのまま電話を繋げた。


「お父さん」

『おはよう咲良。あっ……ごめん、絶対今ダメだったよね』

「ううん、もういいよ。遅かれ早かれバレてそうだったし後で話しておく。用件は?」


 きっと三人は見覚えのない私の『お父さん』に困惑してるだろうな。奥にはお母さんもいるし。さすがに私一人だと思ってたからか、二人は変装していない。いや、家にいるのに変装してる方が頭の心配をしたくなるけれども。


『家について。この前合否が出たら決めると言っていたからね。大学の近くのマンション買っておこうか?』

「うーん……じゃあ今は引っ越しシーズンでドタバタしそうだし、夏くらいにお願いしてもいい? それまでは家から通おうかな」

『本当!? また咲良と一緒にいられる時間が増える~!』

「夏までだけどね」


 奥で喜ぶお母さんに冷たく言い放ち、再びお父さんと目を合わせる。今更だけど、わざわざマンションを買い与えてくれるなんてありがたいことだよね。しかも私名義だから、将来そのまま住むこともできる。この家も同じく。まあ普通に本家で暮らすことになるでしょうけど。

ご覧いただきありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ