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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~
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11 桜と藍と、体育祭

 ◇


 あの後、学園見学が終わってからは通常通り六限まで授業を受けた。とは言っても、まだ最初だからこの一年で学ぶ内容についての話がほとんどで、これから少しずつ本格的に授業が始まっていくことになる。今日はこの後のロングホームルームで最後。

 この桜華学園では毎年五月の上旬頃に年度最初の行事、体育祭が開催される。そのため、始業式から数日以内に体育祭の準備、一週間後には練習が始まるようになっていた。その準備や練習をするのがロングホームルームの時間。体育祭まで時間がないから特別な事情がない限り本番まで毎日全員参加で準備や練習を行う。


 たしか今日は、ルール説明とそれぞれの役割や出場競技を決める予定だと先生が言っていた気がする。


「ねえねえ、咲良はもう出場競技決めた?」

「うーん……やっぱり選択種目は徒競走がいいかなと思ってるよ。楽だからね。藍那は?」


 この学園の体育祭での競技は大きく分けて四種類ある。学年別の全員強制参加の種目、いくつかの競技から一人一つ選択する種目、部活対抗リレー、そして完全推薦型競技。

 私が藍那に言った徒競走というのは選択種目の一つ。徒競走の他には綱引きや剛腕奪取(ごうわんだっしゅ)という、一つのタイヤに結ばれた二本のロープを引っ張って奪い合う競技がある。楽しみたい人は綱引きや剛腕奪取を選ぶことが多いけれど、やっぱり私のように楽をしたい人は走るだけの徒競走を選択することが多いかな。


「私は剛腕奪取! 今年も推薦リレーは私達が選ばれるだろうし、走るばっかりは嫌じゃない?」

「どうなんだろうね。藍那はともかく、私は選ばれない可能性も低くないと思うよ? 今年は運動部の子が多いクラスだし」

「いやいや、それは絶対ないね。咲良を選ばずして他の誰を推薦するんだって感じ」


 私を選ばずして、か……今までは運動部の女子が少ないクラスだったから身体力テストで成績が良かった私や藍那が選ばれていたけれど、運動部の子が多いならみんなそっちを推薦すると思うんだけどな。


「そういえば、今年の応援団は誰が団長になるんだろうね」

「やっぱ蓮でしょ! ねー!」

「急に巻き込んでくんなよ。応援団長なんかやるわけねえだろ。めんどくせえ」

「これで蓮が選ばれたら爆笑する自信あるよ、俺」

「絶対やらねえから」


 それはどうだろうね。蓮くん、性格はともかく顔は整っているしスタイルもいいから様になると思うよ。でもそれで言うなら海斗くんも同じか。


 『蓮、俺が推薦してあげる。きっとみんな喜ぶよ?』と楽しそうに言う海斗くん、海斗くんの応援をする藍那、そして二人の言葉に対して断固拒否の姿勢を貫く蓮くんの三人を眺めていると、休憩時間が終わりに近付いているらしく、廊下に出ていたクラスメイトが続々と帰ってきた。


「────とにかく、俺は何があってもやらねえからな!」

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