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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~
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101 桜と奇跡の再会

 共通テストを終えた受験生こと私達は、今度は学年末テストに向けて勉強をした。学年末テストが終われば卒業に向けて卒業アルバムに載せる写真撮影、卒業制作、個別試験に向けた勉強。そうしてあっという間に月日が流れ、卒業まで残り一週間となっていた。

 今日は多くの学校が個別試験の日で、私は志望校の合格発表。推薦受験は結果が出るのが早いからね。蓮くんも同じはずだけど、今日は用事があるとかで明日確認しに行くらしい。三日くらいは掲示してくれるらしいよ。それ以降はネットのみで、逆に最初の三日は現地でしか確認できない。


「おや、お嬢さん?」

「あ、あなたは……お久しぶりです!」


 合否の確認のために東京へ向かっていると、以前と同じく隣の席に表れたのは例のおじいさん。初めて藍那とすれ違った時、実家帰省中に出会って話を聞いてくださった方……!


「その感じだと、無事に仲直りできたようだね。良かったよかった」

「ええ、おかげさまで。その節はお世話になりました。少し前に二度目の喧嘩をしてしまったのですが、その時は友人の力を借りて仲直りすることができたんです」

「そうか、それならお友達に感謝しないとね。ところでお嬢さん、今度はどちらへ?」

「大学です。今日は志望校の合格発表の日なんですよ」


 だからすごく緊張していて、と苦笑すれば『なるほど』と頷かれた。おじいさんは今日も瑠衣の病院に行くらしい。半年に一回くらい通っているらしいから、本当に偶然私とタイミングが被っているみたい。すごいね。


「それから、前回は病院まで案内してくれてありがとうね。お嬢さん、院長の娘さんなんだって?」

「あら……もしかして誰かに聞いちゃいました?」

「案内してもらった後、受付でね」


 よし、今度受付に『余計なことを言うな』と一言言っておこう。あのお姉さん、本当におしゃべりなんだから……


「でもお嬢さんが次の院長さんになるなら、とても安心かな」


 特に理由もなく、にこにことそんなことを言ってくれるおじいさんを無事に病院へ送り届け、私は東都大学へ向かった。おじいさん、これで合格していれば私は春から東都大学に通うことができる。そして医者の資格を取ることができれば、晴れて瑠衣脳神経外科の社長となりますよ。すぐには継がないでしょうけど。


 わざわざ新幹線に乗ってまでうちの病院に通っているということは、それだけの病気を抱えているのでしょう。そうでなければ、お父さんはうちの分病院にでも通わせると思うから。だけどどうか、少しでも長く耐えてください。そうすれば必ず、お父さんか私が治しますので。まだ完治させることが不可能と言われている病気かもしれない。それなら研究するまで。医者は患者の命を救うために存在しているんです。誰の命も諦めはしないとだけ、心の中から伝えておきましょう。

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