表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

後妻業の女②

 一時間後、孝たち夫婦と弁護士は帰り一人には広すぎるリビングのソファーでミカはほくそ笑んだ。


 これで後腐(あとくさ)れなく三億円が懐に入った。


 『後腐れなく』をミカは大事にしている。

 その為になら六億の遺産を半分の三億にする事も(いと)わないのだ。


 彼女には苦い経験があった。


 それは一番目の夫、小林茂夫の遺産相続の席であった。

 夫は財産の全て五億をミカに遺す旨の遺言書を作ってくれていた。

 茂夫の一人娘の由紀子は怒り遺言書は無効だと(わめ)きたてたがミカは突っぱねた。

 自分には五億全額貰う権利があると主張した。


 突如、右肩が熱くなった。


 由紀子が湯飲み茶わんのお茶をミカに浴びせたのだ。

 幸い火傷はしなかったがその後何年も由紀子からは嫌がらせの電話や手紙が届いた。

 引っ越ししても電話を変えても興信所を使って調べているのか執拗に嫌がらせは続く。

 本来なら警察に相談しに行くべきなのだろうがミカ自身が後妻業で生計を立てている事もあり相談に行けず、甘んじてその状況を今でも受け入れている。


 だから二番目の夫の時からは遺産は親族で均等に分ける様にした。

 結果、問題も起きずスムーズに相続を終え次のターゲット探しに取り掛かる事ができた。

 そして次のターゲットとして見初(みそ)めた倉林昌夫との結婚生活も三年で終わり今、頂くものをキチンと頂いたミカはほくそ笑んで言うのだった。


「さあ、引っ越しの準備をしなくちゃ。面倒だけどそれが終われば……自由だわ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ