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一輪挿しの不思議

作者: 青花あいす

朝、花の香りで目覚めると 

一輪挿しのマーガレットの花が回っていた


花の部分だけ、まるでプロペラのように

くるくる、くるくると


ふと、窓の外を見ると

あたり一面、マーガレット畑

私は洋風の一軒家にいて

二階の部屋から眺めていた


私の家じゃない一軒家

堪らず外へと飛び出した


飛び出すと、ぶわっと襲ってくる花の香り

見ると、マーガレットの花々も、プロペラのように回っていた


ふわぁ、見事な花風車の畑

感動とも興奮ともつかない気持ちで見上げると

花の束で出来た丸い太陽が、空に浮かんでいるのが見えた


瞬間、視界がぐるりと回る

地面が消え、青い空の中へ投げ出された


ゴォォォォッと吹きすさぶ大気の海の中

くるくる回りながら、私の身体は泡のような花になって消えていく


花になった私は、一体何に生まれ変わるのだろう

そんな事を思った


再び目覚めた時、そこは自室の布団の中

和を基調とした寝室の中は、畳の香りで満ちていた

ああ、落ち着く


ふと、机の上を見る

そこには一輪挿しのマーガレットが、静かに佇んでいた

カレンダーを見ると、お、今日休みだ


私は着替えて外に出た

一輪挿しのマーガレットを持って


来たのは小高い丘の上

風が吹いてて心地がいい

私は一輪挿しのマーガレットを花瓶から出す


そして、茎の部分を両手の平で持って

竹とんぼを飛ばすように、ぐるっと擦る


すると、マーガレットの花の部分だけ

くるくる回りながら、遠い空の向こうへ飛んで行った


花は、遠く、遠く、飛んでいく


やがて、何も見えなくなった。


寒い日に花の事を考えながら書きました。

最後まで読んで下さりありがとうございます。

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