46 湖の魔物 大蛇
なんか思った様に書けなーい!
狐っ子の少女から言われた場所へと、急ぐヴィーゼたち。と言っても、ヴィーゼとアンナしか居ないものだ。
その湖がある場所は、その大蛇が住み着くまでかなりの人だかりがいたとのこと。
この国の観光名所ともなっていた。そんな場所へと進むと、月光に照らされ、水面が煌びやかに光っていた。
辺りはもう既に夜。そんな闇に一筋の光のように、水面は光っている。
それが目印であるかのように、何とも分かりやすい。
(ここか……)
一応手元にはランプ入りの道具を持っている。念には念を……だ。
湖に近づいていく。ヴィーゼたちは警戒心を解かないように、少しずつ、足を進めて行った。
スッー
何かが通る。湖はまぁまぁ広い。大蛇が住み着くには少し広いぐらいだ。
何か黒いものが湖の中を動き回っている。それが大蛇の正体……なのか。
「………ヴィーゼさん、ゆっくり行きましょう」
「………うん、そうしようか」
顔を険しくさせ、警戒心が身体中から滲み出るほど、そのオーラが溢れ出していた。
足を一歩ずつ、前へ前へと突き出して行く。狐少女は自身の母親のそばにいる。その方が良いだろうと、アンナが提案したからだ。
湖の周りには光る草が生えていた。あれが神聖な薬草だろうか。青く光り、照らされている薬草。草というより、花に近いかもしれない。
(あれか……。確か、大蛇には毒があったはず……。それに警戒しながら進んだ方がよさそうだ)
下手に緊張するこの瞬間。嫌な汗が滲み出ていた。アンナはこの状況……というより、魔物自体との戦いに慣れているせいか、手慣れている。
だが、ヴィーゼの場合は毒を持っている蛇が、湖の中にいるのだと知ると、なんとも言えない緊張感が心を蝕む。
固唾を呑む。
(大丈夫……)
あと一歩、そう。このあと一歩で湖に近づける。
緊張して体がカチカチとなっているのが、自分自身知っていた。その不確かな足取りを見て、不安そうに見つめるアンナ。
(ふぅ……、一度落ち着け)
立ち止まり、大きく息を吐く。息を吐いて、息を呑む。焦ったってこの意味ない。
先程までの心臓の高鳴りが少しずつ、落ち着いてくる。
「落ち着けましたか?」
「うん、大丈夫。よし、行こう」
「はい……!」
そこら辺に落ちている石を拾い、それを投げ捨てる。
バッシャーン!
湖に水飛沫が発生し、その音で湖に潜っていた大蛇が勢いよく飛び出した。
『キシャーーーーー!!』
大人一人分飲み込めそうなほどの、巨大な蛇。虫ほど苦手じゃないにしろ、蛇のフォルムが苦手なヴィーゼからしたら、一刻も早く終わらせたい。
♢♢♢
———ズサッ!! ドンッ!!
(くそ、固すぎる……!)
魔剣を召喚させ、目の前にいる大蛇を斬りつけているが、中々切り傷一つ付かない。
かなり骨が折れる作業になりそうだ。そう予感する。
アンナと共に戦い続けるヴィーゼたち。大蛇の攻撃を何とか躱し続け、2人が持っている剣で撃ち続ける。
「ぐぅっ!! これを喰らいやがれ!!」
大蛇の猛攻撃。口から吐かれる紫色の霧をヴィーゼに吐き、それを吸わないように躱し続け、魔剣を勢いよく叩き落とす。
———バシュッ!!
『キィェーーーーーーー!!』
「『爆撃』!!」
爆風のようなものを、魔法から放つアンナ。威力が高い魔法攻撃。打撃がかなり高く、炎が散りばめく。
大蛇に当たり、その炎によって灰色の煙が出る。
『キシャーーーーー!!』
(チッ、全く歯が立たない……。くそっ)
首を落とすことができれば……と思いながら、大蛇の毒攻撃を何とか躱す。
地面を思いっきり蹴り、大蛇との高低差を作り上げ、魔剣を大きく振り落とす。
ズサッ!!
「………ハァ…ハァ…、あと……もう少しなはずなのに!!」
残りの大蛇のHPは5000。これでもだいぶ削ったはずだ。だが、流石は普通の蛇よりもでかいというべきか。大蛇のHPは結構あるのだ。だから5000でもかなり減らせたはず。
「………くそ、これでもかなり減らせたはずなのに」
流石に疲れが現れてくる。息が切れ始め、汗が滲み出る。MPもかなり減ってきた。
【名前】ヴィーゼ
【種族】森の民
【状態】ーー
【レベル】60
【HP(体力)】850/1000
【MP(魔力)】550/1500
【固有魔法スキル】
・魔物使役
・鋼線
【称号】
『竜殺し』
ステータス画面を脳内で思い浮かべ、今の自身の状況を確認する。MPが1000を切り、まずい状況だとすぐに分かってしまう。
(最悪……。くそっ、どうする? どうしたら良い?)
その事を考え始める。だが、油断してしまったのか相手の攻撃が来るのに数秒遅れてしまった。
「………!? やっば!?」
ものすごい勢いで、大蛇の攻撃が来る。大蛇の後ろにある尻尾か何かがヴィーゼの小さな体に、打撃を与えた。
「ぐぅっ!?」
お腹に思いっきり直撃してしまい、転がってしまう。転がった拍子で全身に傷が出来てしまい、痛がりながら起き上がった。
「ぐぅっ……」
「ヴィーゼさん!!」
お腹を押さえながら、何とか立ち上がろうとしているが、かなりお腹の痛みが走る。
『キシャーーーーー!!』
もう一度毒を吐こうとしている、大蛇。その距離は確実にヴィーゼが巻き込まれる。その様な位置取りだ。まずい……。この緊迫した状況。心臓がやけに高鳴る。
(ぐっ……)
固唾を呑み込んだ。
———ドクン、ドクン、ドクッドクッドクッ!
心臓が締められる様な、そんな痛みが走る。この状況、この様な危機的状況になる事を想定していなかった。数分前の自分を殴りたい気持ちでいたのだ。
大蛇の口から魔法が生成され、そこから毒ブレスを吐かれる。そんな時だった———。
「結界!!」
何者かの声が突如二人の耳に入る。それには聞き覚えのある声。その方向を振り向くと、狐の耳があり、狐の尻尾が生えている少女。
「ハァ…ハァ…、大丈夫ですか!?」
(………あ、あの子……)
大蛇から吐かれる毒ブレスは、見えない何で防がれる。それは妖狐族が得意としている妖術の一つ、「結界」
どうしてここにいるのか。それが分からずにいたが、走ってここまで来たのか、息がかなり荒い。汗を滲み出ており、焦った表情をしている。
「どうして……ここに?」
「何か……嫌な予感がして………」
(…………へぇ、勘が鋭いんだ)
3人が合わさり、大蛇と向き合う。まだ敵意を剥き出し、敵対を続行させる。
この少女が母親の元を離れて良いのかどうか、迷うばかりだが、今は戦力が必要。
「お母さんは叔父さんに任せておいたの。だから、私がここにいても平気なの」
「なるほど……。ならば、私たちで何とかしましょう! ヴィーゼさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、何とか。とにかく、時間が惜しい。早めに倒そう」
「あぁ!」「えぇ!」
♢♢♢
大蛇の攻撃を何とか躱し続ける。俺たちの戦力なら、何とかなりそうだ。魔力は十分に残っているし、体力もバッチリだ。【マーナガルムの魔剣】を手にしているし、こちらには女騎士で頼りになるアンナさんがいる。
それにあの少女。妖術の使いで妖狐族だと言っていた。なら、アンナさんと一緒に戦っていた時よりも、戦力は上がっている。
負ける気がしない……!!
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