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おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
四章 元おっさん、和の国【皇御国】へ
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45 おじさん意外と弱っちい、それと神聖な薬草のありか

ヴィーゼたちを追いかけてきた、「兄貴」と言われる人物。侍が使う刀を取り出し、構えてくる。銀色に光るその刀。まるで日本刀のようだが、装飾品が全く違う。


(刀……か。念には念を……と言うから、魔剣を用意しておこう)


マーナガルムの魔剣を取り出し、ヴィーゼもその魔剣を構える。後ろにはマーナガルム=ルアの上になっている、狐っ子の少女。

不安そうな顔をしながら、ヴィーゼの後ろ姿を見ていた。


(………大丈夫かな? 私も一応、妖術の準備を……)


——ドゴッ!! ダンッ!! バシッ!!


(………………え?)


唖然としながら、状況を見ているとあっという間に倒していたのであった。

何が起こったのか。未だに分かっておらず、目が点となる。


「な、何が起こりやがったんだ……?」

「………ふぅ、油断禁物。




———『雷の賜物(ドナム・トニトルス)』」


ヴィーゼの白い手からは、雷が出現する。ビリビリッ!と言う音を立て、その雷はガタイのいい男に感電する。

ヴィーゼ自身、ここまであっさりとは思ってなかったが、レベルアップのおかげだと言うことは、安易に想像できる。魔力量、体力。それら全てが最初の程よりも遥かに超えていた。


魔力量が上がると、魔法の威力も変わり、レベル60なヴィーゼは、竜王倒す前の魔法の威力よりも見違えるほど変わっていた。

ある意味、スッキリとする。


「ぎゃあああああああああ!!」


悲痛な叫びをあげ、死なない程度に感電させた。何という速さ。手も足も出さずに気絶した大男は、地面の上で鼻を伸ばしながら、倒れていた。

さて、どうしようか。

このまま放置するのもいいが、せっかくだから木に張り付けておこう。


という思考回路に至る。こういう敵ほど、生命力は高いと考えているため、普通にこのままにしておいた。


(え、あっという間すぎる……)


夢かと思うぐらいの終わりの速さ。少しずつ状況を理解していくが、やはりこの瞬間だけはどうも無理なようだった。


「え、ねぇ、あの人は?」

「うん? あー、眠たいから眠らせてあげた」


すごい意味深なこと言ったようだったが、その子には伝わらなかった。それは良し……としよう。


(流石に苦しい言い訳なような………気のしなくもなくもない)


とりあえず先程の男をそこら辺に生えている、木に張り付け状態にし、ヴィーゼたちがいる場所の奥から、アンナがやってくる。どうやら他の男どもも対処完了だったようだ。


「お疲れ様です」

「あー、うん……。あはは………」


苦笑いを浮かべ、目を逸らした。


(ま、まぁ、あはは……。俺、何もしてないけど)


実質何もやっていない。この男はちょちょっと魔法で気絶させただけであり、そうなる前の男はルアがやったものだと。その事実はヴィーゼの胸の内に留めておく。


「これで全員ですか?」

「あ、はい……。そうです………」

「なるほどねぇ」


よし、退散しよう。



♢♢♢




休暇で来ていたはずが、まさか巻き込まれるとは思っていなかった。

だが、これであの子も安全な仕事だって出来るはず……。

というわけで、俺たちはこの子の家へと足を踏み入れた。皇御国の中央部よりも、かなり端っこ側で人目が付かなそうな場所。


「ハァ…ハァ…」

「お母さん……」

「………君のお母さんは、どうしてこうなったの?」

「………………お母さんは、元々。近くにある湖の管理を任されていたの。その湖には神聖な薬草があるって言われてて、それで神聖な薬品を作って、生計を立ててたんだけど……」


その子の話す内容はこうだった。


その湖に大蛇が前から住み着いてしまい、その大蛇の毒によって体を汚染されたのこと。

蛇に関してはまだ虫よりマシだが、かなり苦手類。それに湖に蛇が住み着くとは、この世界では常識なのか。


それより。その毒は1日1日、ジワジワとこの子のお母さんの体を蝕んでいる。医者に見てもらう資金もなく、父親もいないこの子の家は、この子自身が働きに出ないと無理な状況だった。


「お母さん……」


不安そうな顔で、自身の母親の手を握る。あまりご飯を食べていないせいか、手はやけに細かった。肌もだいぶやばいと感じるくらい、青ざめていて。


「………ハァ…ハァ…」


まともに話すこともできず……。


(………どうしよう……)


こんな状況、生まれて初めてだ。この人を助けるためには、どうしたらいいか。何か効く薬とかあるのか。この世界には疎い。何があって、どんなことが出来るか。


そんな言葉の羅列が頭を回る。


「その神聖な薬草で治すことはできないんですか?」

「出来るには、出来るらしいんですが……」


妙に曖昧な答え。それが一番気になって仕方がない。


「薬草を取ってきても、調合することができないんです。調合は母が得意としていましたから」


その言葉を聞く限り、この子は出来ないと予想はつく。ならば、どうしたら良いんだ……?


「調合が得意な人とかは?」

「それなら、調合師の友人が……」


なるほど。なら、その人に頼めば良さそうだが。

けど、それを言った瞬間、この子の顔が暗くなる。


「どうしたの?」

「ですが、その友人。先程の侍たちの仲間に捕まって……」

「え、もしかして、同じことされたの!?」


俺がそう疑問を投げつけると、小さく頷くのが見えた。

マジか。普通にやばすぎる。


「その子も私たちと同じ、妖狐族です。ですので、かなり人から疎まれていて」

「なるほど、それでかなり煙たがれていたのですね」

(え、そうなの?)


全くもって俺は気づかなかった。





早速、実行開始。今からその神聖な薬草を取りに行こう———。

読んでくださりありがとうございます!


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