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おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
四章 元おっさん、和の国【皇御国】へ
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43 作戦失敗

(ふぅ……空間移動テレポートでルアを呼び出すか)


ルアと言うのは、俺が使役したマーナガルムのことだ。狼の見た目をして、俺の使い魔となったルア。バレないように空間移動テレポートでルアを呼び出し、一応遠いところで待機させる。


(その間に使役できるように構えて………っと)


準備完了。この隣にいる狐っ子の少女の名前は知らないが、ちょっと見過ごせねぇな。

勝手に何人のも女性を弄ぶなど……。このおじさんが説教してやろう!!


(よし、頼むぞ)

「ね、ねぇ、大丈夫なの?」

「一か八かだけどね……。君のお母さんが倒れてるんでしょ? それなら、助けるよ。お金の稼ぎ方はギルドで出来そうだし……。俺も手伝ってあげる」

「…………………」


今一瞬いいこと言ったと思いきや、咄嗟に「俺」と言ってしまった。恥ずかしい。マジで恥ずかしい。

こっちずっと見てるじゃん。真顔で。


「………男の子?」

「違いやす」


男じゃない。前世は男だったけど、今は男じゃない。だからセーフ。


「まぁ、さっきのセリフは嬉しかったけど……」

「えっ?」


その発言で、俺の口から間抜けな声が出た。

集中しないと……。

その思いで再び侍達の方を見る。すると、袋に何か入ったものを取り出す。あれが何か。全くもってわからん。


「あれ、銭入れよ」

「え、あれが?」


銭入れなら、あそこに入っていると言うわけか。やるに越したことはなさそうだ。だが、アンナさんたちに内緒で良かったのだろうか。帰ったら説教を覚悟しておこう。


「じゃ、行くぞ」

「えぇ」


侍たちにバレないように、こっそりとひそひそ話をしながら、俺はルアに合図を送るように魔物使役モンスター・テイマーの力を発揮させた。


『ウォーーーーン!!』


侍たちがいる奥の方の茂みの方から、何かがわさわさと動いていた。そして何かが飛び出す。


「な、なんだ?」

「おい、あの袋はどうした!?」

「え、無くしたのか!?」


(銭の入った袋はこっちだけどね)


侍たちがルアに夢中になっている最中に、銭の入った袋を狐っ子の少女に渡し、俺はルアの上に乗る。堂々とバレてしんぜよう……。


「おい、なんかいるぞ!」

「なんだ? 狼だ!! 狼の上に女が乗っている!!」

「女のくせに生意気だ! ふっふっふ……なら、お嬢ちゃんで遊んでやるよ!!」


(なるほど、こいつらロリコンか)


俺の今の見た目は幼女。仮に俺もあの子と同じようにするのであれば、それはきっと特定の層のファンだろう。

だが、そう簡単に捕まったりはしない。


「行け、『水弾ウォーター・ボム』!!」

「な!? これは妖術か!?」

「くそっ! 全く近寄れねぇ!!」

「どうする!?」


(焦ってる焦ってる……。さてと、そのうちに)


これで勝った。と思ってた。だが、知らなかった。まさか、まだ仲間がいるとは———。

これっぽっちも——夢に思わず。




♢♢♢




「………ぜさん! ………ぃぜさん! ………ヴィーゼさん!!」


数十分ぐらいだろうか。視界が暗いことに気づく。そして誰かに名前を呼ばれている気がしてくる。

頬が冷たい。うつ伏せになっていることがわかる。


「………あ、あれ」


「ヴィーゼさん! 大丈夫ですか!?」


まだ意識が混濁していた。ヴィーゼの視界ではまだグラングランの状態で、アンナのことを見ていた。

切羽詰まったような声色で、アンナの瞳には僅かだが粒を浮かべていた。


「アンナ………さん?」

「はい、アンナです! それにしても、どうしたんですか? こんな所で」


起きあがろうとすると、何故か頭が痛む。咄嗟に後頭部を押さえながら、体を起こした。

先程まで一緒にいたはずの、狐の女の子やルアが居ない。一体どうしたのか。


「………!? まさか!!」


最悪な状況を想定してしまった。あの狐の女の子とルアは、侍たちに連れて行かれた……。そう考えるのが今は妥当なはずだ。

だが、ヴィーゼはどうして自分が気を失っていたのか。それが一番の気がかりである。


頭に少しばかりの痛み。と言うことは、何者かに頭を殴られた。と言うことなら、納得がいく。だが、誰に。一体、どんなもので?

それが一番の疑問点。


「早く行かないと、また!」

「行くって、どこにですか?」

「一緒に温泉に入ってた子を助けに行かないと! ルアもいないし……」

「え、それって本当ですか!? と言うことは、ここでヴィーゼさんが倒れていたと言う理由も………」

「あぁ、関係している」


徐々に視界が開け、アンナの姿を見た。アンナの姿は先程までとは違った格好をしていたが、それは旅路での事。王国内でよく見る甲冑を着た騎士モードのアンナだった。


顔から物語っていた。ヴィーゼを心配していたと言う物語ったことが。


「でも、一体どこに」

「それなら、平気。『魔力探知』で探せる」


この状況で笑んだ笑みは、全てドヤ顔に見えるのは末期か。対策方法を見つかり、後は探すのみ。心の底で祈る。無事であるように———と。




一方、狐っ子の少女がいる場所は。


「ったく、手こずらせやがって」

「まぁまぁ、いいじゃないですか。兄貴」

「ふっ、まぁそうだな」

「これからどうしやす? 兄貴」

「あのガキは?」

「見事に気を失わせました」

「なんだと!? 息の根を止めろと言っただろ!!」


そんな話し声が聞こえていた。怒鳴るような声。だが、そいつらは狐っ子の女の子を方を見ると、にやけるように微笑んだ。


「で、また頂いていいんすか?」

「あぁ、好きにしろ」


その子は抵抗できず、口にロープで結ばれ、声を出せず、両手もロープで巻かれており、抵抗することができない。

少しずつ近づいてくる奴らに、後ずさることもできず、ただ心の中でずっと助けを求めていた。


「えっへへへ」

(いや……いやよ……。なんで、こんな奴らに………二度も………)


気持ち悪い笑い声を発し、とうとうその子の足を掴む。少しずつ開き、後ろからは別の男がその子をハグした。


(いや………もう………これ以上は………)


目頭には大粒涙を浮かばせ、足を少しずつ開かせ、手で抑えようにもそれができず、汚い手でハグされ、耳や首筋には息遣いが荒い男の吐息が来る。


(………………助けて。誰か………)

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