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おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
四章 元おっさん、和の国【皇御国】へ
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42 狐娘の用事

竜王討伐して、【竜殺し】の称号を得て、和の国と呼ばれている皇御国に来て。

そして狐の人に出会った。それは本当に唐突として。


「隣座っていい?」

「あ、どうぞ」


やけに緊張する。こんなに緊張したのは初めてかも知れない。なぜこの人が俺に話しかけたのか。全くもって分からん。


旅荘の外から見える夜空は、なんとも言えない綺麗さ。そこから見る俺たちはラッキーなのかも知れない。

隣に座るその狐の少女は、なぜか意気消沈していた。ただ隣が空いていたから座っていたのか、温泉にのぼせてしまったのか…。

いや、理由を挙げるのならそれぐらいしかないだろう。


「………あの、」

「ん?」

「どうしたんですか? さっきから俯いたままで」


ずっと俯いたままのその人に、俺から話しかけた。どうも気になって仕方がない。

何かありそう。まぁ、ただの勘だけど。


何やら訳ありな予感がした。すると、淡々と話し始めた。話の内容を聞く限り、仕事で失敗したとのこと。いや、ハッタリをかけられた。と、言うべきか。


初対面だからものすごく、失礼なこと思っちゃうんだけど……。


「それって詐欺じゃね?」

「え!? って、詐欺って何ですか?」

「え、そこから!?」


おっと、いかんいかん。

ここは異世界なのだ。知らない言葉があっても不思議ではない。と言うより、その尻尾触りたい。触っていいですか?


「え、何?」


おっと、まただ。一旦落ち着け。一度深呼吸をする。クールさを醸し出している彼女に、進言した。


「あの、ちょろく無いですか!?」

「ちょっと! 初対面に対してひどく無い!?」

「いやいや、だって! 「成功したら団子たくさん買ってあげるよ」………とか言われて、すんなり「わぁ! 本当ですか!?」って普通言う!?」

「うるさいわね! そこまでお金持ってないのよ!!」


お互い息が切れるぐらい、意見を述べ合った。とにかく、この人が食べ物に目がないと言うことはわかる。どこぞの子達と一緒だ。


「………だって、お母さんが病気で倒れちゃったから………。お金稼がないといけなかったし」

「………………」


再び顔を俯かせて、次はとうとう泣いてしまった。目頭には大粒の涙を浮かばせて。涙声で告げる。この子は汚れ仕事をしているのだと。

まじか、こんな純粋そうな子供に。


「………………それってさ、どんな人たち」

「えっ………?」


俺がそんなこと言ったせいか、ポカーンとしている。目が点となっているのが分かる。その反応も何となくだが、分かる。

だが、この子もそうだが、あの子たちのことを考えるとどうも放っておけない。それは恐らく、俺が生きている年月が長いから。

40歳の俺は、それなりの人生は歩んできた。


だからなのかもしれない。だから俺は、こうやってこの子達を放っておけない。



その子と一緒にその人たちがいる場所まで歩いていく。その人達というのはまさに侍。丁髷ちょんまげ頭の若頭達が何人も佇んでいた。

これだから若いもんは。今の俺が言っても説得力はないが。


「あの人たちよ」

「なるほどね…」


旅荘からはかなり遠く、そもそも皇御国を出た先にいた。洞窟が存在する森の近くに。


♢♢♢




夜の帳が下ったとき、3人の影が月ばかりに照らされていた。


「ふっ、あのガキ。普通に遊び甲斐があったな」

「あぁ、まじだな。あれをやっただけで、お金が稼げると本当に思ってんのか?」

「くはは! そう思ってんじゃねぇの?」


聞こえる丁髷頭の男達。何の話をしているのか。それは恐らく、ヴィーゼの隣にいる子のことだろう。

妖狐族の彼女は妖術が使えるが、その使いが国の人たちから疎まれ続けていた。その為か、まともな働き口も存在せず、苦しい生活。


そしてあの侍達は、その妖狐族をあまりよく思っていない類の人間。金と女に目がなく、「金を稼げるいい仕事があるぞ」と仄めかし、自分の欲望に精を注ぐ者達。


妖狐族のその彼女も、そのうちの一人であった。微かに震えていたのを、ヴィーゼは見逃さない。

肩に手を置き、口で言わなくとも目で伝えた。「大丈夫」と。

それを感じ取った妖狐族の彼女は、小さく頷く。


(確か、あれがあったっけ?)


竜王討伐の時に、レベルが上がり、マーナガルムを使役したヴィーゼは一つのこと思い込む。

召喚魔法を出さずに、一瞬でここに呼び出せることができるかどうか。と言うわけだ。


(やってみるか……。それに、あいつらには落とし前をつけてやろうか)


ヤラシイ奴等め。と思いながら、密かに口角を上げた。あいつらには鉄槌を! とでも言わんばかりの表情を隣で見ていた、その子は「………………」無言でジト目で見てくる。


心が読まれていると、思うほどその答えが正確で。


(え、エスパーか何か?)


と、少しだけ怖さを感じるヴィーゼ本人。そんな二人がいるとも露知らない侍の男ども。


にたにたと笑みを浮かべて——。

読んでくださりありがとうございます!


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