表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
三章 元おっさん、竜王退治へ
36/55

35 こんなの聞いてないんですけど!

【忘れ去られた古代塔】と呼ばれるようになっている塔に足を踏み入れたヴィーゼたち。

かなり古い場所であり、崩落しそうなほど困窮していた。

足場もかなり悪く、怪我してしまいそうだった。

丁寧に足取りを取り、下へと降りていく。足場も不安定なため、壁に手をつけながら、一歩ずつ降りていく。


「2人とも、大丈夫?」

「はい、何とか」

「うぅ、物凄く怖い」


ヴィーゼは見た目は幼女とはいえど、中身はおっさん。その為、こういう危機では先頭に立つのが良いだろうと、心底思っている。

後ろにいる2人が不安にならないように。


(ここに来る前に、アンナさんから聞いたけど。まさか、竜王復活の予兆があるとは…。ドラゴンは普通はSランク魔物。だが、竜王ともなれば魔王と同等のランク。SSS(トリプルエス)。魔物使役はできる…。あれ、ならSSS(トリプルエス)の魔物を使役できるようにすれば、いい問題じゃね?)


アホだ。竜王復活がいつになるのか。分からない以上時間がかなり欲しいはず。

未だにCランク程度(Dランクから上がった)の魔物を使役できるぐらいの力なはずが、一気にそこまで行くにはどれくらいかかるものか。



魔物にはそれぞれランク付けがされている。FランクからSランク。

それが通常そのもの。だが、稀にいるSS(ダブルエス)SSS(トリプルエス)

これはかなり特殊な例なのだが、魔王が存在するこの世界では、“王”がつく魔物類は大体SSS(トリプルエス)だ。


魔王、竜王、冥王、百獣の王、蛇王など。


他にも沢山いるが、大体SSS(トリプルエス)ランク。


それら類を使役できるなら、魔王だって使役できる。そうなれば、世界の命運を持っていると言っても過言ではないほどの力となる。

魔王を使役できるなら、地位や名誉、資金は全てヴィーゼのもの。


(流石に無理……? いやでも、そうしないとまずいんだよな。竜王の力では、あの王国は火の海。というより、何でこう立て続けに? 忙しすぎて死にそう。

異世界って意外とブラック?)


と嘆く。実際に何度か死にかけたことは多々あった。

そう、ここに来る前に蛇に食われかけそうになったり、瓦礫が落ちてきて死にそうになったり…。

不運立て続けに。


(っていうか、どこまでいくの? 流石に足パンパン)


地下深くまで潜っていそうだが、未だに階段は続く。ここまで歩いたのは、久しぶりだ。

と、思いながら。


「あ、ヴィーゼさん。そこに虫が」

「へ? ぬわぁあああああ!!」


危うく踏んでしまいそうなところに、蟻の大群がいた。何故こんなところにいるのか。

と、何度も何度も心の中で叫ぶ。


(し、心臓に悪い)


未だに心臓がドクドク言っている。煩いほどに。そしてその音はまるで、反響しているように、耳に残る。


「さ、先に進もう」


この先、嫌というほど虫が現れた。

ここはゴミ屋敷か何かかと、思うくらい虫が大量に。その度、驚いており、疲労が溜まりにも溜まって、憔悴していた。


♢♢♢


先へ先へと歩いて行っていると、いよいよ結晶の世界に辿り着けた。

アンナさんからの情報を頼りに来たが、ほぼ一本道。

あまり迷わずに来れた。


「ハァ…ハァ…、や、やっと着きましたね」

「う、うん…。疲れたぁ」


流石の2人も疲れ果てていた。

うん、俺も。俺も右に同じく。

結晶の世界はかなり綺麗で、あちこちに結晶があった。

右も左も上にも白い結晶。まるで幻想的だ。

こんなの日本ではなかなか見られないのではないだろうか?

そう考えるとめっちゃお得。

1本貰ってもいい?


ここまでの道のり、ほんと大変だった。

虫、虫、虫。

この塔、虫の記憶しかない。むしろ、虫が脳に刷り込まれた。

なんとも地獄。


「でも、綺麗ですね!」

「うん、確かに。まるで雪の世界みたい」


うん、同感。

カメラがあったら撮りたい。


「うん? なんでしょうか、あれは」


ローズが何やら何かに気づいた。

指さす方向を見ると、あたりの結晶とは違い、青く光っていた。

あの石は魔石の類。

魔力が内部に存在している、魔石だ。

だが、かなり大きいと見て取れる。何かが濁っていて、中の様子を見ることができないほど。


(なんだろうか、これは)


そう言えば、アンナさんが言っていた。

この、【忘れ去られた古代塔】には竜王が封印されていると。

竜王が復活する予兆。それは地面が割れ、天変地異が起こると言われているということ。

そしてその封印、噂では何かの石に閉じ込められている。ということ。

と言うことは、目の前にあるものは。


その魔石に触り、ガラスに白い息などがかかり、曇ったガラスに絵を描くように、スライドさせる。

先程まで濁っていたはずが、中の様子がくっきりと分かるぐらい綺麗となった。


(赤い体に、鱗。そしてあの翼と、この胴体……。間違いない、竜だ)


破滅竜・ロヴィーナ。竜王。

竜を従えている竜。その王とはこのロヴィーナ。

魔石越しだが、威圧を感じる。

もし、この竜が今ここで復活してしまえば。俺たちはただじゃ済まない。


威風堂々としている竜王ロヴィーナ。

マジで動いたらやばいんじゃないの!?

この大きさ。見上げるぐらいの大きさ。

うん、やばいって絶対!

確かに、火の海にはなりそうだ…。


「うーん、どうしますか?」

「………帰りましょう」


まだ封印が解けていないことがわかった。

ならば、それに備えて少しでもレベルを上げなくちゃならない。

今のレベルは40。あれからめちゃくちゃ上がった。ギルドに入ってからと言うもの、かなりのスピードでレベルが上がる。やはり、高ランク魔物を倒すとかなり経験値が美味しい。

Cランクの魔物しか使役できない俺からしたら、Bランク以上の魔物は、正直倒さないといけない。


(竜王が復活するまで、SSS(トリプルエス)いけるか?)


答えはノー。

普通に考えて無理だ。なら、普通に倒すしかなくなる。

まさか、竜王復活がするとは思っても見ない。

だが、ここは異世界。魔王以外そう言うのは、存在するのだろう。

魔王もSSS(トリプルエス)らしいが、魔王を従えたら、正直これ以上戦うことはないんじゃないのか?


よし、決めた。SSS(トリプルエス)までの魔物を使役できるぐらいになったら、自然な場所でスローライフをしよう。うん、そうしよう。


流石に大変。だから休みたい。


だが、異世界ともなれば時間に追われる日々はあまりない。と言うことは、休みたい時に休める。

うん、それまで頑張ろう。







♢♢♢








【忘れ去られた古代塔】を出て、山道を降りていく。

やはり足場はかなり悪い。普通に心臓がバクバク言っている。

生えている木で、少しずつ足取りを気にして降りているが、やはり怖いものは怖い。


『ギャオオオオオオ!!』


「………は?」


突然、そんな雄叫びが聞こえた。

誰かの断末魔か何かですか?(難聴)

アンナさんから聞いていた情報と全く違う。なぜなら、何も起こらず突然塔が崩れ、そこから先程封印されていたはずのドラゴンが、空を飛んでいる。


「え、嘘!?」

「ド、ドラゴン……」

「ど、どうするんですか!?」


何事もうまくいかない。

はい、人生そんなもん。

天変地異が起こるわけでもなく、なんの前振りもなしにロヴィーナは出てきた。

ロヴィーナの巨大な体で、塔は崩れ、その瓦礫が降ってくる。


「このままじゃまずい! 今すぐ逃げよう!」

「で、でも村の人たちは!?」

「………まずは、助けを呼びにいかないとだ!」


何が正しくて、何が違うのか。

そんなの分かりっこない。


だけど、それでも。助けを呼びにいかなくちゃ。

俺たち3人じゃ、普通に無理だから。


ほんと、異世界に来てから常識変わった。

っていうか、ロヴィーナさん! なんでいきなり封印が解かれるんですか!?

マジ意味わからん!!

この話を気に入っていただけた方、少しでも面白そうと思った方は、ブックマークと広告の下にある評価をお願いします!


モチベーションとテンションが爆上がりします!


応援のほどよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ