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おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
三章 元おっさん、竜王退治へ
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34 山頂に聳え立つ塔

(お、あれは……)


ギルドにある依頼でやってきた、少し遠い村。

ミデール村。ミデール山に存在する場所。

そこへ俺たちは足を踏み込ませた。

長閑な場所であるが、魔物の数が多い。商人がかなり困っている地域であるらしく、Cランク魔物であるものの、数の暴力。


「ここに美味しそうな果実……ね」

「はい、どうやら美味しそうな実があるんだって」


その実は物凄く噛みやすい。

マッチェラミスドラ。

名前からしてどんな果物かは分からない。と言うか、なにそれ!?

どんな果物!? 聞いたことないんだけど!!


「マッチェラってあの……」

「へ、知ってんの」

「はい、かなり美味しいだとか」

「へ、ヘェ〜」


正直不安でしかない…。

山の中にある木の実が育っている場所まで行き、足を進めていく。

斜面が何とも言えない。

物凄く急だ。こう言う時は、素人じゃ迷いそう。

いくらこの世界では森の民とは言え、山の土地勘などない。

むしろ迷いそうで怖いほど、道が入り組んでいる。

お世辞にも整地されているとは思えないほど。


(歩きにくい……)


足を踏み外すと、後ろに落ちてしまいそうだ。

2人は大丈夫だろうか…。

物凄く疲れていると言う顔だ。

本当にここにその木の実があるのか。

情報ではそうらしいが、このままだったら着く前に疲労で後ろに倒れてしまう。


息もだいぶ上がってくる。

運動しなかったのが、ここで痛手となってしまった。

くそぉ、学生時代の頃はあんなに運動神経は良かったのに……。

衰えたか……。

社会人になってからは、アニメにゲーム。仕事がない時は、家に引きこもってしまうほど、時間を費やした。


(こんなに衰えたか…。いやいやいや!! そこまでじゃない……はず!!)


なんかものすごい虚しい。

自分で言っていて心を抉るぐらいだ。あの自信あった運動神経が、ここまで衰えたこと。泣きそうだ。


(お、何だあれ)


進んでいくと山の中にある、廃れた塔が存在していた。

もしかしたら、ダンジョン? いやいや、違う、か?

蔓が塔に巻かれており、かなり年月が経っているように見える。


(そういや、近くに村があったとか……。だが、近くに塔があるとか、言ってなかったはず。どう言うことだ)


ミデール山の山頂に存在するその塔と、近くに存在しているミデール村。

その近くにあると言われるぐらい、近くまで来ることができた。

かなりの道のり。最悪とも言えるぐらいの急斜面。


(先にあっちに行ってみるか?)

「あれって古代塔……?」

「本当だ。本で見たことある!」


どうやら本に書かれている場所みたいだ。

先に村に行くか。塔の方に行くか。

息が上がりつつも、汗が滲み出ているが、好奇心には逆らえない。

いやいや、先に仕事。


(先に村の方にある木の実を取りに行くか)


その何とかミスドラを取りに行くため、そのミスドラがある木の場所へと行く。



♢♢♢


着くと沢山のミスドラが生えていた。

よく見ると苺のようなもの。だが、形が全く違う。だが、赤い色の果物で、少し形が大きい。

これがその、何とかミスドラ。もう名前は忘れた。


「これですね! マッチェラミスドラというのは!」


あ、そうそう。それ。

大量にあり、豊作である。たくさんに取ろうと思ったが、ギルドでの依頼では10個。

それ以上とってもお金には変換できなさそうだ。


(なんかいちご狩りみたい)


よく休日には行っていた。

昔のことがフラッシュバックするように、再びポンポンポンと浮かび上がる。

いちご狩りをしに行くため、白いワイシャツで行き、そして汗だくになりながらやり、そしてその甘いイチゴを食べる。

うん、いい思い出。


(ん? これは……)


木の下に何かあった。

ブーンという不快な音をしながら、俺の耳を回る。

そしてその姿が俺の目の前に現れた。黄色と黒。そして飛び回るその生物。


そう。俺の敵。蜂だ!!


(いやぁあああああああ!! 耳周りを飛ばないで!! いや!! あっち行って欲しい!!)


虫嫌い=俺。

蟻でさえ殺さず、そして蜘蛛を見れば発狂してしまう。

何故なら、蜘蛛が出るゲームをやって、泣いてしまったこともあった。

理由としては裏側がキモかったから。


手で必死に追い払おうと思ったが、蜂に攻撃すると更にやって来ると聞いたことがある。

それに蜂の巣を叩けば、倍の蜂がやってくる。

それは勘弁被りたい!!


その場から立ち去って10分経った頃。やっと居なくなってくれた。

泣きたい。さっきの羽音が耳に残っている。

ちょっとなものが動いたとしても、追い払いたい。虫だと思ってしまう。


(やっと、居なくなってくれた。泣きそう)


40歳のおっさんが何言ってんだ!

と、多分昔の俺なら思ってたはず。だが、今は幼女!仕方ない! そう、仕方ないのだ!

この年齢ならまだ小学生ぐらい。仕方ない。


自分に言い聞かせるようにした。森にいた頃の虫たちが恋しくなる。

何故なら、物凄く可愛いから。目がくりくりっとしていて、まるでアニメとかで可愛く書かれているような。そんな感じ。


「あの、大丈夫ですか?」

「あ、うん。それでどんな感じ?」

「うん! 沢山持ってきたよ!」


袋にパンパンとあるマッチェラミスドラ。

俺の中では言いにくいため、異世界いちごというようにしよう。

異世界いちごをパンパンに詰めた袋を持ち、満面な笑みを向けるカメリア。

うん、助かる。


虫が前に出ると、使い物になりません!

堂々と宣言することだってできる!


「じゃあギルドに持って帰ろうか」

「そうですね!」

「うん、帰ろう」


何故ギルドがこの依頼を出していたのか。このいちごを冒険者に取りに行かせるためか、それとも別の理由か。





ーーーーーーーーーーー







ギルドに持って帰り、報酬と共にマッチェラミスドラが入った袋を渡す。

金貨3枚。こんなに高待遇なのが存在するのだろうか。

簡単にいうのなら、一時間寝るだけで、3万円貰えるのと同じ。

ヴィーゼはそう考えた。

だが、実際にはこの資金は前金。

本来の目的はそっちのようだ。


ミデール山の山頂付近には塔が存在する。

その名は【忘れ去られた古代塔】

と、今じゃ言われている。

ここにはかつて、ダンジョンのような形式だった場所。

そして“結晶の世界”が存在する場所。


今では、冒険者たちの狩場。

何故なら、魔物が多いから。冒険者の狩場なため、塔の下にある洞窟では魔物の数が減っていっている。


何故、ギルドがその依頼を出しているのか。

簡単に要約すると“竜王復活”を阻止するため。


そして依頼したのは、ギルドではなく。国王。

この国の王が依頼した。勇者召喚を行いたくない、王はギルド協会にわざわざそのこと告げ、そして直ちにその依頼を掲示板に貼り付けさせた。


だが。遅かれ早かれ。

神官たちは、勇者召喚の準備を進めていく。たとえ、この国が行わなくとも、別の国で。

竜王復活の噂は、風の如く広がっていく。


遠い地に存在している、天空都市にまで。

その噂は広がっている———。



読んでくださりありがとうございます!


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モチベーションとテンションが爆上がりします!


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