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28 偽悪役令嬢

ファルモーナス魔導帝国が初めてできた時。

1人の村人が皇帝の座に着いた。

彼は、特殊な固有魔法を持っていた。

それは、誰もが欲しがるような、そんな固有魔法。それは、【魔導工作マギア・ワーク

水晶からその力を貰うことは可能だが、それを自由に使うことができ、水晶以外にでも、その力を宿らせることができる。

それを利用し、水車、風車などを作り上げ、帝国は豊かな国となる。

木材、石、鉄、資材に必要なものに魔導回路を組み込ませ、性質を変える。

本来ならば、特殊な水晶———【魔石水晶】しかその【魔導工作(マギア・ワーク)】の性質を持っているのだが、彼はそんな魔法を持っている。


その為、皇帝の座とついた村人の男は、初代皇帝と呼ばれるようになった。


その男の名は、アーノル・ファルモーナス。


ファルモーナス魔導帝国の誕生となる。


♢♢♢


「それで、突然押しかけて何のようだ? ランス」

「呼んだのはそっちじゃなかったの?」

「は? 呼んでないぞ。………もしかしたら、エレーナが呼んだのか? ったく、何のためにだって……。いいか? 俺はお前に話すことは何もない! 分かったか?」


ランスに言い放つグロウ。

そこまで言わなくたって良いだろうと思ったが、俺たちが出る幕なんてない。元婚約者たちとのいざこざ。ただその光景を見ているだけだった。

ランスに罵倒を浴びせるグロウ。そんなグロウを1人の執事が止めた。


「グロウ様。時間が迫ってきています」

「あぁ、分かった。いいか? 俺とお前の関係は終わったんだ! もう二度と来るなよ!!」


最後に声を荒げてそう言い放った。ランスを突き放すような言動。俺はランスに言葉をかけることもできず、グロウが去る後ろ姿だけを見ていた。


「………仕方ないことよ。今更、どんな言葉を放っても、“偽悪役令嬢”にしか、なれないのだから……」


顔を俯かせた。その中で発せられた“偽悪役令嬢”というのは、何なのか?

悪役令嬢、よくラノベとかで出てくる印象がある単語。

婚約破棄した理由に、それが原因という可能性もあるのか?

だが、何も言えるはずない。あんな言葉を放たれて、顔を俯かせてしまうのも分かるような気がする。

ランスはよりを戻したいのか?だから、来た?

いや、呼ばれたと言っていた。その、エレーナという人に?

後でアンナさんに聞いた方が良さそうだ。


その日は帝国内に存在する宿屋に泊まった。

一応同性なため、同じ部屋に泊り、体を休める。久しぶりのお風呂にも浸かり、心身共に休息できた。

ここの宿屋は露天風呂が存在しており、久々の露天風呂は格別に違った。

そして、22時。外はもう真っ暗だ。明かりがあるとしたら、窓から点灯される明かり。人が住んでいるから明かりがついているのだろう。

そして、帝都にある街灯。あとは、月光だけ。

泊まっている部屋にも目に優しそうな、黄色の灯が付いてあり、もう既にランスはベットの上で眠っていた。

起きているのは、俺とアンナさんだけ。そんなタイミングで俺はアンナさんに尋ねる。


「あの、アンナさん」

「はい? どうかしましたか?」

「その、昼頃にグロウ様が言っていた、エレーナ……と言うのは、誰ですか?」

「あぁ…」


顔を顰めた。アンナさんも知っているらしく、口をゆっくりと開け、淡々と告げる。


「エレーナ様は、グロウ様の妹様です。今は、ご不在ですが、容貌でとてもお優しい方です。ですが、それは裏の顔。表の顔は皇女様である自分以外の令嬢を落としてるのがお好きなようで……。お嬢様もその1人でございます」


ベットの中に入っているランスの方を見ながら、そう言った。その顔はとても言いにくそうな顔であったことを知り、俺は謝罪する。

そのエレーナという人物が、二人の関係を裂いたのか。そう考えるのが妥当なのか?

些か分からない。


俺は知らない。なぜエレーナが二人の関係を裂いたのか。嫉妬?それとも憎悪?兄に対する気持ちなのか、婚約者に対する気持ちなのか。

それが分かれば、苦労なんてしない。もちろん、ランスがこうなってしまうことだって、なかった可能性があるかもしれない。


俺はそう思った———。


読んでくださりありがとうございます!


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