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22 魔獣

ダークゴブリンを倒し終わり、素材を拾う。さて、帰ろうか。と言うところで騎士団が通って居るのを目撃した。

弓兵、槍兵、防御兵…。


防御兵を前衛とし、中衛に弓兵、後衛に槍兵と構えていた。防御兵よりも前に出て居る人物がいた。遠目からで鎧の頭部を着ていて顔はわからないが、多分あれアンナさん。


いや〜、まじで、『魔力探知』有能すぎ。顔までしっかりと見えるもん。ある意味この魔法の方が隠密魔法よりも断然と、有能じゃないだろうか?


そう言う思いで見ていると、肝心な事を忘れていた。どうして騎士兵達が森近くに存在する場所へ行っているのか。もし何かあるのだとしたら、あの森めちゃくちゃ治安悪いじゃん。けど、俺は嫌いじゃない。


隊列を乱さず進んでいく騎士団を見て、俺も少し気になって後をつけた。


(一先ず、何かあるといけないから魔力量は一定を保たないと……)


万が一Dランクより上の敵が出たら、正直無理だ。さて、そこら辺はどうするか…。

倒す。よし、これしかないな。

はぁ、晴れてくれればいいけどさ。


はぁ、ステータスとか確認出来たらいいのに。

よくゲームとかで存在するステータス画面。それがあれば自分の状況とか確認出来るけど、ここは異世界で、ゲームの世界じゃないからなぁ。

異世界でステータスとかは……。

そういや、ヘイルテさんが言ってたな。


『ギルドカードに自分のことを知れますよ』


その時言っていた()()()()()()()()()()と言うのは、ステータスのことか?

そうだとしたら、めちゃくちゃ便利なんだけど……。流石そんなの………。


歩きながら俺は、ポッケに入っていたギルドカードを取り出す。そのギルドカードの自分の名前を触れる。

まさか〜、とか思っていたが、


ひゅん!


と、現れてきて…。


【名前】ヴィーゼ

【種族】森の民

【状態】ーーー

【レベル】25

【HP(体力)】200/200

【MP(魔力)】500/500

固有魔法(スキル)

魔物使役(モンスター・テイマー)

・鋼線


(おぉ! ゲームみたい!)


だけど、なんでそんなゲームシステムみたいなのを?ゲームの世界の異世界じゃないし…。

ゲームのステータス画面がなんで…?

はっ! もしや、ギルドを作った人は俺と同じ地球人!

……んな訳ないか。


と言うか、固有魔法(スキル)少なくね?もうちょっと強くならなきゃなぁ。かっこいい主人公になりたいし、死にたくないし。


スキル画面を見終わった後、もう一度名前の部分を触れる。するとステータス画面は無くなり、扱い方に関しては、なんとなく掴めた。

ギルドカードのシステムなんだろうと、強引的に思うようにした。

ギルドカードをポッケに入れ、再び騎士団の後をついていく。





「対象確認は」

「はい、もうすぐでその場所まで辿り着くようです」


騎士団の方では魔獣報告の事に関して話していた。

森の奥へと歩き続け、金属音がカチャカチャと鳴る。アンナは後輩からその報告内容を再度聞く。


「対象確認の魔獣は、Bランク。大丈夫でしょうか?」

「大丈夫。我々騎士団は祖国を守るため、日々鍛錬している。皆はギルドに入っているか?」

「いえ、そのような時間もございませんし…」

「そうか、私はお勧めする。ギルドに入るとギルドカードをもらえる。ギルドカードには特殊な機能がついており、自分のステータスが確認できるとのこと。

今自分がどのくらいなのか。それを確認できるのは、かなり良いと思うぞ」


と、アンナは後輩にそう言った。アンナがその事を知っていたのは、ヴィーゼが入っていると言うこと。

それで大方のことは知っていた。


魔獣はBランク。騎士団なら余裕ではあるが、油断はでき無さそうだった。


「———それにしても。昔から召喚の儀式が行われていると言われていますが、未だに勇者候補、聖女候補は来ているのでしょうか?」

「それは私にも分からない。だが、勇者様や聖女様が来てくだされば、この世界も平和になるだろう。でも、何でだろうな。私はそんなの必要ないと思うんだ」

「……それはどうしてですか?」

「…………さぁな。何故かそう思ったんだ」


アンナはそんな事を言い、灰色に染まっている雲を見る。

王国ではどうやら。王宮内にいる人たちしか知らない、召喚儀式が行われている。勇者候補と、聖女候補を召喚させ、世界の平和を守る。

それは、古から行われていた儀式なのだが、アンナは何故か。それを望まない。

後輩の人は疑問に思ったが、目の前にお目当ての魔獣が現れる。


ギャオーーーー!!


威嚇をし、逃したりはし無さそうだ。狼のような姿をしている魔獣。

【マーナガルム】狼の名前。

極めて凶暴な魔獣であり、マーナガルムの縄張りに足を踏み入れた冒険者は、絶え間なく生き絶えてしまうと言われている。


「マーナガルム……。いくぞ!!」

『おー!!』


アンナの掛け声により、騎士団は活性に溢れた声を出す。盾を持つ防御兵を前にし、そこから弓兵。後ろに槍兵と陣形を組み始める。

アンナは大剣を持ち、マーナガルムに襲いかかり、両手で思いっきりマーナガルムを斬りつける。


ギャーーーーーー!!


斬りつけられたり、火のついた矢が降ってきた攻撃を真正面から食らい、断末魔を叫び散らす。悲痛に満ちた叫び声は瞬く間に森の周囲に渡った。


それはもちろん。ヴィーゼにも聞こえていた。





(……!? どこかで戦っているようだ!)


途中で見失ってしまったが、どこかで叫び声が聞こえた。

ビクッとしてしまったが、直ちに『魔力探知』で辺りを探る。すると、発見した。

戦っている騎士兵たちと、大きな狼が戦っているところを。


(よし、あそこだな。そうと決まれば一っ飛びで行こう!)


風魔法を利用し、俺は空高くへと飛び立つ。空を飛んでいるのがわかったら、そこから浮遊魔法を使い、自分の体をうまくコントロールさせ、落ちないようにさせる。

空を飛び回り、断末魔が聞こえた場所を『魔力探知』で座標を割り出し、確認したのち、その場所まで急行した。






「よし、そのまま押し切れ!!」

「「「うぉおおおおおお!!!」」」


アンナは再び騎士兵たちにそう言う。いよいよと言ったところまでマーナガルムを追い込み、後一歩で倒せるぐらいまでいった。

ボロボロとなっているマーナガルムの後ろには、何かあった。マーナガルムの体で見えずにいたが、あれは剣だ。

石に刺さっている剣を見つけたアンナは、騎士兵たちに倒すことをやめさせるよう言う。


「皆、一旦止まれ」

「……ど、どうしてですか!? アンナ騎士団長!」


騎士兵たちはポカーンとした顔で、アンナを見る。何故、マーナガルムの後ろに石に刺さった剣があるのか。アンナは動物の言葉など分からない。ましてや、目の前にいるのは魔獣だ。

襲われてしまう可能性も高い。アンナは持っていた大剣を鞘に収め、ゆっくりとマーナガルムに近づく。


グルルルルル!


「ねぇ、あなたは何なの? 剣を守っていたの?」


ガルルルルル!!


意思疎通できない同志からしたら、マーナガルムからすれば、アンナは敵。アンナからもマーナガルムは敵。

だが、何故か。アンナは退ける行動はしなかった。


「アンナさん!」

「……!? ヴィーゼさん」


ついて来ていたヴィーゼがやっと追いついた状況であった。






やっと騎士兵の人たちに追いつき、俺は狼の後ろに剣がある事をアンナさんから聞いた。

まさにゲームとかでよくある、石に刺さっている剣を抜くには、剣に選ばれた人物。とかだろうけど、どうしてこの狼が後ろの剣を守っているのか。

話に聞くと、マーナガルムと言うのは、Bランクの魔獣だと。なら、俺は使役不可能という訳だった。レベルを上げることによって、使役できるランクが増えるのだろうが、今のところDランク。あんまし変わらない。


「…………あの、それって」

「お前、何か知っているのか?」


弓兵にいた人物が何か心当たりを言う事を言った。

何だ?何か知っているのか?


「その剣……。もしかして、【マーナガルムの魔剣】じゃないでしょうか?」


それ、めちゃくちゃ重要な事じゃないっすか。


その場にいたみんな、驚愕しましたとさ。


「え、ということは……」

「魔剣の守り神?」


いやまじで?なら、あれやん。ただ単にボコられたマーナガルムさんやん。

……。

………….。

………………。


なにこの沈黙。


マーナガルムが冒険者を襲ったのは、魔剣を取られると思ったからだった。今じゃあまり見かけなくなった、その魔剣は昔では冒険者や商人が狙い続け、それをマーナガルムが守っていた。

今回も魔剣を取るんじゃないという事を思ったらしく、マーナガルムは冒険者を襲った。と言うことだったらしい。

マーナガルムの魔剣は貴重価値がすごく、一つ買うのに金貨5000枚。と言うことは、日本円で言うと5000万円。という事。冒険者などがそう簡単に手を出せる品物じゃなく、流石に貴族でさえも手を出さないという事で、誰も買わないものらしい。

だが、その魔剣の価値は値段通り。


魔剣を一振りすれば、風を切り、木を200メートル先まで破壊し、それを人間や動物が切られれば、ミンチにされちゃう…いや、トマトフェスティバル開催されるぐらいの威力だという事だった。


騎士団の人たちはマーナガルムに一礼した。事情知らずといえど、やってしまい守り神であったマーナガルムを傷つけた事をお詫びに思い、全員で回復魔法をかけ、元気させた。

魔剣に関してはそのまま石に刺しっぱなしにさせ、俺は出来るかどうかは分からなかったが、一応話ができないかと、マーナガルムに近づく。


「『ごめんよ、マーナガルムさん』」

『キサマハ、ナニシニキタ』

「『お、できた。あぁ、大丈夫。魔剣狙ったりしないから。マーナガルムさんごめんよ』」

『ベツニカマワナイ。コノマケンハオレガマモル』


そう発し俺はその場所から去る事にした。まぁ、マーナガルムさんがいれば、魔剣を狙う人いないでしょ。と思いながら。



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