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いさましいちびの悪役令嬢

作者: 赤戸まと


「モニカ゠シャンデリアこうしゃくれいじょう! おまえとのこんやくを、ええと、はき? する!」


 まあ! 6さいなのに、くにをおいだされてしまったわ!

 それに加えてショックで前世の記憶を思い出してしまったわ!


 元婚約者の第二王子は「ついほうだ!」とわめいてるけど、勝手にこんなことしたら後で怒られるわね。第二王子も6歳だけど、隣にいるふわふわピンクの男爵令嬢にご執心だ。ヒロインかな? 子供のうちに婚約破棄して入れ替えないと王妃教育が間に合わないもんね、かしこいわ。


 それはともかく国境の森に捨てられてしまったよ。なんとか生き延びないといけないわね。まあいいわ。前世は森ガールだったからなんとかなるでしょ。森ガールってそんな意味だっけ?


 この森、魔物も出るよ。どっちに行こうかな。

 実家には多分戻れないから隣国に行こう。せっかく異世界転生したから冒険だ。


 あっ、イケメンが倒れてるわ!

「み……水を」

 近くの川から水を手で掬ってきてイケメンの口に流し込んだ。

「けほけほ、助かったよ、ありがとう」

 さらさらの金髪、碧い目が爽やかな20歳くらいのおにいさんはゴンザレスと名乗った。ちょっとイメージ違う。


「こんな小さい子がなんで森の中に?」

 心配してくれたゴンさんと一緒に森を抜けることになった。

「わたしは公爵令嬢よ。あなたは従者になりなさい!」

 悪役令嬢なので横柄に命令したら、にっこり「はいはい」と従ってくれた。


 拾った枝を振り回し威風堂々と森を進む。ゴンさんはしっかりと後ろを付いてくる。ふんふんふーん。ららら。るんたった。おうたをうたいながら進む悪役令嬢とイケメン。


 あっ、またイケメンが倒れてるわ!

「み……水を」

 近くの川から水を手で掬ってきてイケメンの口に流し込んだ。

「けほけほ、助かったぜ。サンキューな」

 赤毛の短髪、金色吊り目の25歳くらいのマッチョアニキだ。エドワードと名乗った。ちょっとイメージ違う。


「わたしは公爵令嬢よ。あなたは従者になりなさい!」

「ハッ、おもしれー女」

 エドも仲間になった。


 つぎに拾ったイケメンは、茶髪ボブカットのくりくり黒目、わたしよりちょっと背が高いくらいの15歳の男の子。セバスチャンと名乗った。全然イメージ違う。


「わたしは公爵令嬢よ。あなたは従者になりなさい!」

「ぼく、病弱だよ? それでもいいの?」

 セバスも仲間になった。


 知らん間に逆ハーパーティになってた。

 魔物が現れた。行けっ、従者たちよ!


 イケメンたちは見事な連携で、あっという間に押し寄せる魔物たちを退けた。病弱セバスは魔法が使えるので後衛からの攻撃だ。わたしは攻撃はできないけど、聖女候補だったのでバフと回復魔法でこっそり援護してたよ。

 だけどみんな気づかなかったみたい。


「モニカいらないんじゃね?」

「だよね」

「モニカ゠シャンデリア! お前をこのパーティから追放する!」


 追い出された。まあいいか。バフでみんなのステータス10倍にしてたから、わたしがいないとちょっと弱くなると思うけどなんとか頑張ってね。


 もう人間は信用できないから魔物でも仲間にしようかな。ちょうどあっちからフェンリルがやってきた。

「わたしは公爵令嬢よ。あなたは従者になりなさい!」


 伝説の魔獣を仲間に加え、いさましいちびの悪役令嬢モニカ゠シャンデリアは拾った枝を振り回し、るんたったと歌いながら今日も森を突き進む。


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