日本の昔話 「桃〇〇」
昔、昔、あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お婆さん
「何だい、私ゃ~まだ川で洗濯しなきゃいけないんかいっ!」
お婆さんがぼやいていますが無視してお話を続けます。
お婆さんが川で洗濯をしていると川の上流から大きな大きな桃が流れてきました。
お婆さん
「おっやぁ~大きな桃が流れてきたわよ!」
桃を川岸に引き上げて自宅に持ち帰ったお婆さんはお爺さんの帰宅を待ちました。
お爺さん
「ただいまぁ~」
お婆さん
「じ、じいさんや、見て見て、このでっかい桃っ」
お爺さん
「なっ、なんじゃこりゃぁ~!!!」
お婆さん
「だからぁ、桃だってば」
お爺さん
「そ、それは解るが、もしかして「中から赤ん坊が・・・」って奴か」
お婆さん
「そうだよ、遂に我が家にもやって来たんだよ英雄譚がっ!」
お爺さん
「よっしゃあぁぁぁ~~、見てろよぉ田吾作ぅ~手前の息子のヘタレっぷりを味合わせてやるぅ~」
お婆さん
「さぁ、お爺さんや早速この桃を切ってくれるかいっ」
お爺さん
「おうっ、任せろやっ、ここは我が家に伝わる伝家の宝刀で・・・」
お婆さん
「伝家の宝刀ぅ~?、お爺さんや、また懲りずに骨董屋から買わされたね?」
お爺さん
「あっ!、いや、こ、これはだな縄文時代の名工のだな」
お婆さん
「お爺さんや、縄文時代に刀の名工なんていない事は赤子でも解りますわよ」
あきれ顔のお婆さんは包丁で桃を真っ二つに切りました。
すると!。
桃の中には1人の赤ん坊がおりました!?。
赤ん坊
「おぎゃあぁおぎゃぁ」
お爺さん
「おおおぉ」
お婆さん
「お爺さんや、名前を付けないと」
お爺さん
「そ、そうだなっ?、桃から産まれたから「桃子」と名付けよ・・・・」
赤ん坊
「ちょっとぉ待ったあぁ~!」
ああ、「日本の昔話」特有の待ったコールですね!?。
ナレーション
「あの~、どうかなさいましたか?」
赤ん坊
「あのさぁ、普通なら名前は桃太郎ってなるでしょ、なのに、桃子って事はぁ、私は女児なの?」
ナレーション
「はい、いつも物語は男児ばかりなのに見る人達はグローバルな現代社会の人達なんだからたまには女児でヒロインでも良いんじゃないかって事で女児になったそうです」
赤ん坊
「はぁ~、まぁ~解ったわ、だったらね、グローバルな現代って言うんなら名前もそれっぽくして欲しいんだけど」
ナレーション
「名前を・・・ですか?」
赤ん坊
「そう、昭和の50年代ならいざ知らず、令和の現代社会において桃子は普通すぎるでしょ、もっと、こうさっ、キラキラした名前とかにして欲しい訳さ」
ナレーション
「キラキラねぇ~、どうしますかお爺さん?」
お爺さん
「儂も・・・いい加減名前が欲しいところだが!、今は桃子の事が先だろうなぁ・・・・・」
あっ!、お爺さんが拗ねてる!?、まぁ~、確かにお爺さんって名前が無いから「お爺さん」が名前みたいなもんになっちゃってるしねぇ。
ナレーション
「そ、そうですよ、主人公の名前の方をなんとかしましょうよ」
お爺さん
「解りましたよっ・?・?・?・?・?・?・?・!」
暫くして
お爺さん
「そうだな、桃・・・憂(憂いなる)華って事で桃憂華で・・・とうか?」
ナレーション
「最後ダジャレですか?」
お爺さん
「まっ、それは置いといて、とにかく桃憂華でどうじゃ、良いだろう?」
赤ん坊
「ん!、悪くはないね」
ナレーション
「では、主人公は女の子で名前は桃憂華でよろしいですね?」
お爺さん&お婆さん&主人公
「「「はい」」」
ナレーション
「では話を戻して続けますよ」
お爺さん&お婆さん&主人公
「「「はい」」」
お爺さんは桃から生まれた赤ん坊を「桃優華」と名付けました。
そう、桃の中に入っていた赤ん坊は女児だったのです!。
それから13年、桃栽培農家として財を築いたお爺さんは村の大地主になり、桃憂華は美しく成長し「桃姫:桃憂華」とも呼ばれるようになりました、そしてその噂は都にまで届いておりました。
桃憂華
「なんか!かぐや姫の要素が入っていない?」
ナレーション
「気のせいです、気のせい!」
桃憂華
「そう~?!」
同じ頃、都ではとある漁村が鬼によって襲われたと噂されていました。
鬼による被害は日増しに増えていき事態を重く見た幕府は十数名の討伐隊を差し向けました。
数日後、討伐隊は返り討ちに遭いボロボロの状態で帰還しました。
隊長
「鬼共の話では「普通の人間では相手にならない、どうせなら桃から産まれた奴をよこせ、相手になってやる」と言っておられました」
役人
「桃から産まれた奴・・・って、もしかして桃姫の桃憂華の事かっ!?」
鬼が島の鬼達は桃憂華との決闘を要求してきました、はてさて桃憂華の運命はいかにぃ~?。
桃憂華
「話は次回に続きまぁ~すっ」
ナレーション
「えっ!、次回って?」
桃憂華
「だって、もう時間が無いしぃ、働きすぎはお肌に悪いんですもん」
ナレーション
「ぐっ!」
次回、「桃憂華鬼ヶ島を目指す」
ナレーション
今回は余計な事が無かったら1話で終われた事でしょう。
終わり
ディレクター
「ちょっと!待ったあぁ~~」
ナレーション
「えっ!、ディレクターが待ったをかけるなんて!!どうゆう事でしょう?」
ディレクター
「今回は特別に2話分までの時間枠をとっておいたから大丈夫だ、だから思いっきり最後までやってくれっ」
桃憂華
「ええええええええぇぇえぇえぇぇぇええええええ」
ナレーション
「えっ!、2話分って・・・・!」
桃憂華
「残業代付きます?」
ディレクター
「付けてやるっ!」
桃憂華
「そろそろお腹が空いてきたんですけどぉ~?」
ディレクター
「ロケ弁は和風、洋風、中華、駅弁と数種類用意しといてやるっ!」
桃憂華
「スイーツは?」
ディレクター
「お前が欲しい物なら何でも揃えておいてやるっ!」
桃憂華
「ありあとあんしたぁ~!」
ナレーション
「なんて事でしょ・・・あっ!・・・そ、そんな事で話が延長戦へと続きます」
桃憂華
「御爺様、御婆様、私桃憂華は御国の為民の為、全ての力を出し尽くして鬼を退治してまいります」
お爺さん
「な、何も女の子のお前が行かんでも・・・」
桃憂華
「御爺様っ、今の世の中「男だから」だとか「女だか」だとか言っていられる時代じゃないんですっ、私だって・・・華麗に舞って戦って悪を倒したいんですっ!」
お爺さん
「おっ!、おう、そうなのか?!」
桃憂華
「さぁ~首を洗って待っていなさいよぉ~鬼共ぉ~」
お婆さん
「で、桃憂華や、一体どうやって戦うつもりだい?、剣術や武術は習った事がないだろう??」
桃憂華
「大丈夫ですよ御婆様、私に考えがあります」
お婆さん
「だ、大丈夫かい?・・・」
桃憂華
「お任せ下さい御婆様」
桃憂華はそう言ってその場を離れた。
お婆さん
「無事に帰って来ておくれよ桃憂華や」
その後、桃憂華は別の場所にて家来達を呼び付けある事を申し付けた。
桃憂華
「犬井、お前は鬼ヶ島に関する情報収集を頼む」
犬井
「はっ、お任せあれ」
桃憂華
「猿山、お前は腕の立つ男共を集めるのじゃ」
猿山
「はっ、かしこまりました」
桃憂華
「雉原、お前は犬山からの情報を元に必要な物資の調達を頼む」
雉原
「了解しました」
10日後。
鬼ヶ島に近いとある港には大勢の武士や僧兵や農兵で溢れかえっていました!。
桃憂華
「皆の者よく聞けっ、我こそは日本一の女侍「桃姫:桃憂華」だっ、我はこれから世の為民の為全身全霊をもって鬼を退治しに参る、・・・・・・しかしっ、しかしだっ、我1人の力は余りにも脆弱な物、なので是非ともお前達の力を貸してもらうぞっ」
群衆
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおぉおおおおお」
猿山
「姫様に報告します、桃憂華親衛隊が5000人、桃源の里運営委員会青年部の若者3000人、姫様を愛する会のメンバーが7000人、日本漁業組合連盟の組合員が2000人、日本寺院会青年部2500人、武術家連盟加入員1300人、農民兵1000人、等々合わせて21800人、姫様の為ならばと集まっていただけました」
ナレーション
(それって鬼退治目的の範疇を超えてますよね!)
桃憂華
「そうか、皆に感謝せねばな」
雉原
「姫っ、渡航に必要な舟を2300隻難なく集めました」
桃憂華
「ご苦労だった」
雉原
「船主には大判50枚で契約するつもりだったのですが姫様の為になるのならばと受け取りを拒否した者が数名いましたが後で何かの形で支払うようにいたいます」
桃憂華
「うむ、その辺の事はお前に任せる」
雉原
「はっ」
桃憂華
「で、犬井よ、お主の作戦プランを申してみろ」
犬井
「はっ、まずは・・・・鬼ヶ島を取り囲み第一陣が上陸し、第二陣は逃亡を図る鬼共を打ち取ります」
桃憂華
「正に質より量の堅実的な作戦だな」
犬井
「では号令を」
桃憂華
「皆の者っ、いざ出陣だぁ」
群衆
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおぉおおおおお」
ナレーション
「それからはと言いますと、正に多勢に無勢、桃憂華軍の圧勝で鬼退治が終わりました」
数日後の幕府内では。
将軍
「ほっほう!、オナゴの分際で2万人を超える軍勢を操るとは知らぬふりも出来ないわな」
役人
「ははっ」
将軍
「かと言って締め付けておいて不満を持たれ謀反を起こさせれても困るから・・・・桃憂華と申したか、その者には今回の鬼退治の功労を称え**藩の藩主となってもらい幕府の為に尽くしてもらうようにした方が良いじゃろう、そのように手筈を整えておくのじゃ、良いな」
役人
「はっ、かしこまりました」
ナレーション
「そうして桃憂華は**藩の藩主になり、イケメン侍を婿にとり、幸せに余生を過ごしましたとさ、めでたし、めでたし」
終わり
ナレーション
「姫様っ、なんだかんだ言いながら全く戦っていませんでしたよぉ!?」
桃憂華
「良いの!良いの!!、女の最大の武器である美貌を使って男達を集めたんだし、戦って痛いのは嫌だしねっ!」
本当の終わり