錆びた柄杓
少女
どこまで行っても
清冽な浅瀬
少年
どこまで行っても
夏と籠の中
玲瓏たる瞳を
濁っていると言い張るのは
誰のためであろうか
少なくとも
長くは続かない
青年
どこまで行っても
玲瓏たる瞳
人と人が溶け合うのは
ひとえに
ひとつの世界だけでの
独りよがり
水鞠のような
硝子玉みたいな
そんなあなたは
わざわざ陽だまりを避ける
恰も深淵の人のような
ボロボロの服を演出する
そんなあなたには
俳優たちが集まっていく
最後に放つのは
何行の告白だろう
僕はあなたが錆びた柄杓を
大事そうに抱きしめた時
最後の最後に
あなたを抱きしめたい