表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

序章

 とあるお城の修道院の壇上に修道服を纏った一人の少女とその傍らに二人の男性が立っていた。その壇を囲むように大勢の修道士たちが両手を合わせ、無言のまま祈りを捧げている。


 その修道士たちの中から一人の老人の修道士が少女たちに歩み寄った。


「姫様、どうかお気をつけて・・・」


「はい、必ず戻ってまいります」


「ギュンハット殿、ハギ殿、姫様を頼みましたよ」


「かしこまりました」


 二人の男性は声を揃え、老人に敬礼する。


「では、これより術式を発動いたします。二人とも離れてください」


 少女の言うとおりにギュンハットとハギは壇上から下り、修道士と共に少女を見守る。


 壇上には半径5メートル程の魔方陣が描かれており、少女はその魔方陣の端に立った。そして、息を整え、手をかざし唱えた。


 それは美しい音色の歌だった。少女が歌い始めると壇上に描かれた魔方陣が跡にそって白く輝き始める。その光は徐々に輝きを増し、魔方陣の紋様が空に浮かび上がった。


「世界と世界を繋ぐ幻界の扉よ!我が血のもとに現れよ!」


 少女が声を上げ、両手を天に掲げると、それに応えるように光り輝く魔方陣の中から白く、巨大な石の扉が現れた。その扉は何も装飾もなく、取っ手すらない両開きの扉。


 すると、ゴゴゴ・・・と、重い音を轟かせ、向かい入れるかのようにゆっくりと扉が内側へと開いた。


 扉の向こうは無限に続く漆黒の闇。


「終わりました」


 少女は一息尽き、修道士たちの方を振り向く。


 ギュンハットとハギが壇上に上がり、姫と共に扉の前に立つ。


「では、入ってまいります!」 


 そう言って少女は修道士たちにお辞儀する。そして、二人を引き連れ、漆黒の闇が広がる扉の中へ足を踏み入れた。


 「姫様お気をつけてー!」

 「絶対にお戻りになってください!」

 「姫様を頼みましたよー!」


 修道士たちの声援の掛け声が少女たちの背中を後押しする。


 少女たちの姿が闇の中に消えると共に、扉はゴゴゴ・・・と、ゆっくり閉じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ