TS転生
僕には「殺人衝動」があると告白すると、付き合った彼女達は決まって態度が変わった。
一人目の彼女、彩乃は「なにバカなこといってんの」と笑い飛ばしてくれた。彼女の優しさが、抑えられない黒い衝動に悩む僕をどれだけ勇気付けたことだろう。だから僕は彼女を高校の近くの公園の湖に沈めた。
二人目の美里香なんかは、あからさまにそわそわして僕から逃げようとした。そりゃそうだ。「人を殺したくてしょうがない」なんて真顔で言う人間なんて、誰だって関わりたくないに決まってる。だから僕は彼女を天国行きのバスに乗せ、悲しみを堪え静かに彼女を見送った。
六人目の武は、逆に僕を殺そうとしてきた。「貴方を殺して私も死ぬ」なんて、ドラマでしか聞いたことのないような台詞に僕は吹き出しそうになった。僕は殺されたくはない。だから僕は、もちろん彼女も殺した。
信じようとしない者、冗談だと笑い飛ばす者、怖がる者。今まで付き合った彼女達の反応は様々だった。けれど、その中で十三人目の神奈だけは、少しだけ違っていた気がする。
クリスマスイブの日に神奈に「君を殺したい」と告白すると、彼女は黙って頷いた。
「…そう。まだ治っていなかったのね田中君」
「まだ?」
「聞きなさい。もしこの先貴方が死んだとき、今まで殺された女の子達の元へ、貴方を時空転移するわ。どんなに懇願しても、抵抗しても無駄。だって貴方は、それでも殺してきたんですもの」
「何を言ってるんだ?転移って何?」
「女の子として殺される側に回って、一生終わることのない輪の中で自分の罪を見つめ続けなさい」
「…君は、神様か何かなのか?」
「…あの世でまた会いましょう。さよなら、田中君」
「おい!」
僕が止める間もなく、神奈は部屋を出て行った。彼女の死体が発見されたのは、次の日のことだった。およそ「あんな死に方だけはしたくないなあ」と思えるほど悲惨な形で、彼女は自殺していた。
それから三年経っても、僕の生活は何ら変わりない。
ロマンチックな星空の下、今日も僕は彼女に「告白」をする。
そういえば、別れ際神奈の言っていたことは本当なんだろうか。僕が死んだら、殺された彼女達として生まれ変わって殺される側に回るだって?…そんなバカな。何でこの僕が殺されなきゃならないんだ。
十八人目の彼女の瞳の中に、写る自分の姿を見つけて、僕はふとそんなことを思い出していた。