新しい奴隷たち
初めてのクエストが終わってから丸1日が経った。
昨日は全員体が悲鳴を上げていて、まともに動くことができずに終わってしまった。
なので、今日は急いで目的の買い物をすることになった。
「うぅ~。また私に合う鎧がありませんでした」
「ミーシャ。落ち込むな。さっきの店員からお前のサイズがありそうな店を教えてもらったから」
まずは、新しい鎧とかをそろえようと思い防具屋を何件か周っていたのだが…なぜか、ミーシャの体に合う鎧のサイズが何処にも置いてなかった。
「ミーシャぐらいのサイズ。自分の体に自信が持てなくなっちゃった」
ティアナが落ち込んでいるのはおそらく、女性としての特徴がミーシャより劣っているからだろう。
「ティアナも大きい方だと私は思うけど?」
「…うん。でもねミーシャ。貴方を見てるとどーしてもね」
…空気が重いな。早く店に着かないかな。
「ここがそうみたいですよ?リョウ様」
っと、通り過ぎていたか。
「早く決めてこい。俺は外にいる」
「何言ってるんですか?リョウ君もくるんですよ」
「はぁ?」
「ミーシャちゃんが着る鎧は、リョウ君が決めてあげないとね」
俺が?というか、勘弁してくれないかな。女性専用の防具屋なんて入りたくないんだけれど。
「いやー在ってよかったね」
ぐったりする俺とミーシャに元気いっぱいのティアナ。
お店には、迷惑をかけてしまったので今度謝りに行かないといけないかもしれないな。
「疲れた。テオドアさんに会っていくか?ここから近いし」
「そうですね。でも、用もなく行ったら迷惑かもしれませんよ?」
「客として行くんだよ。メンバーを増やしたいと思っているしな」
後衛が一人いてほしい。そうすれば、昨日みたいなことにはならないと思う。
「いらっしゃい。って、リョウ君か」
「今日は客として来た」
「客としてって…。初めて来ましたよね」
「色々あった。後衛職の奴隷を探してる」
「…ふむ。ミーシャでは駄目なのですか?」
「人数が足りない。これからギルドに面倒事を度々押し付けられそうな気がしてならないんだ」
「…そうですか。でしたら、昨日仕入れたなかに一人だけいましたね。呼んでくるのでお待ちください」
こうも休みなしに質問してくるのはきついな。
物事を考えさせる暇を与えないとか、何者なんだよ。
「意外と顔が広いのね。リョウ君」
「王都に来る前に助けたからな」
その時にミーシャに買ってくれってせがまれたっけな。
「ミーシャの泣き顔に負けて買ったんだよな」
「泣いてませんよ!?」
そんなこと分かってるけど?そんなに顔を真っ赤にして否定しなくてもいいじゃないか。
「お待たせしました。リョウ君の期待に応えられそうな奴隷が二人ほどいます」
「入れてくれ」
「分かりました。入りなさい」
中に入ってきたのは若い女性と幼い女の子。
ヒナタ・ペイドック(19) 麒麟 レベル 1 スキルポイント 66P
スキル
弓術 15 火魔法 Ⅷ 水魔法 Ⅵ 風魔法 Ⅳ 土魔法 Ⅶ 回復魔法 33 雷魔法 56 獣化 魔装
カミーユ・アルフレイ(16) ハーフドワーフ レベル 1 スキルポイント 33P
スキル
槍術 23 土魔法 Ⅸ 錬金術 14 鍛冶 55 解析 分解 鑑定
ふむ。どちらも強いな。これでレベル1とかおかしくないか?
「詳しいことは私にも分かりませんので聞かないでください」
申し訳なさそうに俺の思ったことが分かったかのように、テオドアさんが言う。
「いくらになるんだ?」
「ヒナタが金貨30枚。カミーユが金貨20枚になります」
「そうか。二人とも買うか。そっちの麒麟の方はなんか、買って欲しいっていう目がすごいんでな」
「そうですか」
俺は、ストレージから白金貨5枚を出してテオドアさんに渡した。
「確かに受け取りました」
必要書類を書いて、店を出る。
「帰るか」
新しい仲間(奴隷)を連れて俺たちは宿へと向かう。
嬉しそうに笑う、ミーシャたちの顔を見ながら。