あたたかなことば
掲載日:2013/02/21
「今日はとっても寒いわ」
「そうか車のエンジン掛けて来るか」
わたしは少し早めにエンジンをかけた。妻の言うようにフロントガラスは霜で覆われていた。
「今干したワイシャツがこんなになってる」
妻はかかしの様な形のワイシャツを見せてくれた。
触ってみたら、カチカチであった。薄い氷に包まれている様な感じだ。
いつもならもう少し遅い時間に洗濯を干すのだが、妻は今日、病院に行く日であった。
「運転気をつけてくださいね」
出かけるときに必ずそう言葉をかける妻であった。
妻の口から白い息が見えた。それが、とても暖かな湯気のように感じられた。
いつもの言葉が、新鮮な、できたての言葉に感じられた。
洗濯を干す手はちぎれるほどに冷たいだろう。わたしは暖房のきいた車に乗った。
自分の体が温まれば温まるほど、妻は洗濯物を干し終わっただろうかと考えてしまった。




