遠くて近くて
「うるさいな。よってたかって丸腰の空人を襲って何が楽しいんだよ。そんなことするの、父さん達以外山賊くらいさ」
「なんだとっ!?高貴な行為を山賊風情と一緒にするな!!それにな、悪いのは鳥人なんだ。罪を犯そうとするあんな奴らがいるから、父さんたちが必要なんだ。」
「あっそう。でも結局そうなってるんじゃん。それに僕、一生鳥人狩りに出ようとなんて微塵も思ってないから、もうそんな話よしてよ。後もう一つ、こっちの勘違いで死んだ人だってたくさんいるんだ。そんなに自慢したいなら、そういうミスを無くしてから言って。」
そう言ったとたん、父さんは立ち上がり顔を真っ赤にして僕の方に向かって来た。こういう時は逃げるしかない、僕は一目散に家を飛び出した。
着いたのは隣のラビニの家だ。幼なじみのラビニは昔から僕がこんな状況になると決まって泊めさせてくれる。
ノックするとラビニが出てきた。
「なんだ、チウか。もうゲームしに来たのか?」
「……それもだけど、ごめん、ちょっと入れさせて。」
背後を気にする僕をみて、ラビニは大体把握してくれた。
「あぁ、わかった。入れよ。もう準備出来てるぞ。」
「サンキュー。助かるよ。」
そして、僕はラビニの部屋に逃げ込むことに成功した。
ラビニの親は共働きで家には彼の兄弟しかいないため、普段特に遠慮することもなくすんなり入れる。そのためここは僕のもう1つの家的存在になっている。
「なぁ、チウ」
「ん?なに?」
二人でゲームをしていると、ラビニが唐突に口を開いた。
手を止めないまま僕は反応した。
「いや、この間の…サユキだったっけ?どうしてるだろうなって思って。」
「さぁな。怪我、治っているといいけど。」
会話はたったこれだけで終了し、その後は二人ともゲームに夢中になって会話らしい会話はなかった。
ゲームが一段落して、僕らは一度休憩をとることにした。
「じゃ俺、お茶とってくる。」
「あ、うん。ありがと。」
ラビニが部屋を出ていくと、静寂が僕をなんとも言えない気持ちにさせた。ふと時計をみると、いつの間にか9時を回っている。
「今日は泊まっていく?」
僕がボーッとしている間に、お茶が注がれたグラスを両手に持ったラビニが戻ってきた。
「じゃあ、そうさせてもらうよ。」
ラビニの部屋の窓は丁度、僕の部屋の窓の隣なので帰ってもよかった。だが、家に帰ってもいいことはないと思いそのまま今回も好意に甘え泊まることにした。
「りょーかい。じゃ、ベッドのある部屋に移動しよう。ここじゃテレビ小さすぎだろ。」
「……そうだな。じゃあ行こう。」
その後、僕らは空が明るくなるまでゲームに夢中になった。
僕が目を覚ましたのは、太陽が真上になる直前だった。
「んん~………っくはぁ。いま何時だ?」
夜更かししたせいでまだ重たいまぶたを擦りながら時計をみる。
「あ、やばっ」
なぜかさすがに帰らないと不味い、という気持ちになった。なにか問題があるわけでも長居し過ぎたという訳でもないが、いつも起きて太陽が覗いていたらさすがにお世話になりすぎだなぁなんて思ってしまう。
「ん゛~~おはようチウ。帰るのか?」
寝起き久々に機嫌が悪くないラビニが目を擦りながら言ってきた。
「うん。そろそろ帰らないと。もうさすがに父さんは家に居ないと思うし、長居しすぎると母さんに心配されちゃう。」
「…ん…そうか。相変わらずチウはマザコンだな。」
「っそんなつもりじゃ。」
「ジョークだよ。止めたりしないさ。またいつでも来なよ。」
「ありがと。じゃ。」
僕は家に帰った。が、珍しく鍵がかかっていた。
「おかしいな」
なんとなくそう思ったが、特に気にもせずポケットから鍵を出して開ける。
「ただいま………?」
思わず、最後が疑問系になっている自分に驚く。しかしその後、その事を忘れるほど僕は驚いた。なぜなら、家に誰もいなかったからだ。念のため家中を探し回ったが、やはり誰もいない。しかも母さんの寝室は服の嵐と化していた。
しょうがなしにリビングに向かうと人は見つけられなかったが、手紙と茶封筒を見つけた。
A4くらいの紙三枚分とかなり長い手紙だったが、要約すると『チウがなかなか帰ってこないから家族旅行を変更して夫婦旅行に行ってくるね。3、4日で帰るから留守番をお願い。封筒の中のお金で食事とかはしてね。by母さん』ということだった。
というか無駄なこと書きすぎだった。昨日スーパーで野菜の安売りをしていたことを報告されても、普通に反応に困る。
しかし………
「暇だなぁ」
なにもすることがない。
掃除なんかも済ませてから出発したらしく、家事もいまのところすることがない。
なにより僕は独りぼっちが苦手だ。こんな時、いつもはラビニの家にお世話になるのだが、今さっき行ってきたばかりでどうも行きずらい。
そう考えていると、昨日ラビニと話したサユキが頭に浮かんだ。
「様子、見に行ってみようかな………」
なんとなくそう思った。しかも、今日はあの豪雨がやむ日、丁度良かった。そうと決り、早速準備に取りかかった。
いつものバンジージャンプの荷物と母さんがおいといてくれた食費を持ち、置き手紙を書いて、靴の紐を絞める。
「いってきます。」
誰もいなくなった家にそういうとドアを閉め、3日前に通ったばかりの道に沿って、自転車を走らせた。
もみじ「第1号もみじと。」
梨真「第2号梨真です!!」
もみじ「さて来ましたね。」
梨真「はい。やって来ました。うちらの出番が!しっかり次へと繋ぎましょお↑↑」
もみじ「…………そうだな。」
梨真「ってかどうしたんだよもみじ。もっとテンション上げろ!!」
もみじ「あげられるかぁ!!こんなの見たあとで。」
梨真「確かに今回の話は作っているうちらも少し目を瞑りたい所があったけど、だからといってうちらまでテンション下がったらこの先見てくれる読者に厳しいよ。この前千夏&千冬ペアがいなくなったばかりなんだから。少しは空気考えろ!!!」
もみじ「そ、そうだな。サンキュー梨真。なんだか燃えて来たぁ↑↑」
梨真「よし、その粋で、」
もみじ「わかってるって。予告だろ!!!」
梨真「そう。来た予告ぅ(>∇<)」
もみじ「次はついにチウがサユキの家に1人で行くぞ!!」
梨真「噂によればあいつも登場するらしいぞ!!」
もみじ「あいつってだれだ?」
梨真「おいおい、作者だろ!みんなは次を見てわかってね★」
もみじ「あ゛~焦らすなぁ。」
梨真「いいではないか。では、」
もみじ&梨真「『【翔べないイカロス其ノ六】!!!!』」
梨真「見てね~」
もみじ「あいつも出るぞ♪」