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サユキ

「私の名前はサユキ。サユキ・マウリス。私は、お母さんと弟が病気でヒュカの実が必要だったの。だけど、私には買えるお金なんてないから、一昨日は地人の知り合いを回って、分けてもらえるよう、お願いしていたの。それでやっと分けてもらったヒュカの実がそのペンダントに入っているの。」

「……え?そんなバカな。確か一昨日のニュースって。」

「うん。ブサリの草原で取っていたとこをって言っていた。」

「じゃあ、その草原にいたのは一体…。」

「それは私ではなくて、妹のハユキよ。私はただ偶然居合わせてしまって見間違えられただけ。だから本当にやったのは、私の妹なの。」

「!?」

そしてサユキは続けた。その後、その間違いに気づかれることもなく、鳥人狩りは行われた。あれから妹の姿は見ていないため、きっと逃げ切れてその実を高く売り稼いだお金で遊んでいる、と。

サユキが話し終わると暫く、雨の音しかしなかった。地人の勝手な法則によってこんなににも空人は苦しんでいる。なんでこんな法則が出来あがってしまったのだろう。僕は改めてそう思った。

人と人が助け合うのは本当は当然のこと。いつから僕たちの部族はその事を忘れ、空人を神扱いをしたり、今のように翼がはえているだけで気持ち悪がったりするようになったのだろう。

「………大変だったね。ねぇ、なんでこんな世界になっちゃったんだろう。」

僕はいつの間にか言葉にしていた。すると、サユキは言った。

「これは、私の部族の言い伝えだけど、本当はこの星は私たち空人だけしかいない星だった。しかし、その中の誰かが翼を気持ち悪がりそして、なにか神様に背くことをした。神様は怒り、もう二度と空で暮らせないように、地上に突き落とした後、羽をむしり取った。それが地人の始まり。だから地人は最初、私たちを神扱いしたけど、徐々に憎しみがたまって今の状態になった。だから、今の地人は祖先である私たちに仕返し、復讐をしようとしている。そう習ったわ。」

「復讐………か。なんだかバカげてるけど、そうとしか言い様がないよな。」

「そうだよね。鳥人は何も悪いことをしてない。いつも法則や規則を作っているのは僕たち地人だけだものね。」

「あ、でもこの話誰にも言わないでね。昔、この話をして地人と空人を仲直りさせようとして殺された人がいるみたいだから。」

「……うん。わかった、約束。僕たちだけの秘密。な。」

「おう。」

「もちろん。殺されたくなんかないしね。」

「そっちが本音か!!」

そう言うと、緊張した空気がいっぺんに変わり笑いが吹き出した。そして僕は、初めてサユキの笑顔をみた。

その夜は深夜までみんなで遊んだ。その夜が1番楽しく、思い出になった。


3日目、この日は少しでも早く雨がやむのを待った。やんでくれないとサユキをリムスに送り夕方までに家に帰れない。遭難している以上、家族に心配はかけられない。するとサユキがこう言った。

「ね、ねぇ。チウ君。この洞穴、どの辺の位置にあるかわかる?」

ミツンに調べてもらうとリムスまで後2,3kmの場所だった。その事をサユキに伝えると驚きの返事が返ってきた。

「それなら、ここから雨の中を行かなくてもリムスに行ける方法はあるわ。しかも、この雨。一旦は確かに止むかもしれないけど、2,3時間たつとまたこんな感じで長降りになるわよ。」

「……それ本当!?どうやってリムスに行くの??」

そういうと、サユキは洞穴の1番奥を指して、そこに連れて行くよう言った。そこへ着くと手を当てた。すると、行き止まりだったかの様に見えた所に奥に続く洞窟が姿を現した。よく見るとそこだけカノーブではない、ただのクロウンモだった。

「ここからなら、足元に気を付けて歩いて行けば、ほんの2,30分でリムスに着くわ。でも地人だけでは通ってはいけない道だから。」

「わかった。この道のことも誰にも言わない。僕たちだけの秘密にするよ。なっ。」

「当たり前だろ。」

「約束は守るよ。」

「ありがとう。じゃあ、行こう。少し湿っているから気を付けてね。」

「了解。じゃあ、荷物まとめて出発だ!!」

そうして僕たちは未知の洞窟に入っていった。


中に入り、入口を閉めると中は真っ暗だった。なんとか持っていた懐中電灯を手に慎重に、奥へ奥へと進んで行く。

ネットには写っていない、秘密の道。ここで役に立つのは視力とサユキの記憶力だけだ。そして、あるところに行き止まった。そこにある岩を押し退けるとリムスについていた。

サユキを家まで送ると、すっかり雨は止んでいた。そして、今度はネットから見える道をたどって行く。またザンザン降りの雨が降り始めた時、僕たちはマビルスの谷を後ろに駐輪場へ向かっている途中だった。

無事に家に着いた僕は、風呂に入った後、そのまま自分のベッドに飛び込み、寝入ってしまった。


もみじ「……おい。梨真、今の状況」

梨真「うん、もみじ。」

もみじ「あ、どうももみじです。」

梨真「梨真です。」

もみじ「なんと僕たちは、」

梨真「私たちは、」

もみじ「次回予告を任されることになりましたぁ!!!!!!」

梨真「来たぁ!!やっぱ任されたからには思いっきりやろうね。もみじぃ。」

もみじ「もちろんだぜぃ。っていうか本当はこれが当然なんだっつの。」

梨真「確かに、これでやっと元に戻ったね。ではいつも通り予告行こう!!」

もみじ「いよっしゃ~あ↑↑」

梨真「家に無事着いたチウ達。これからってか次の話ではチウの家族の話しに。」

もみじ「えぇ~サユキの話しは?」

梨真「それは見てからのお楽しみ★」

もみじ「あ゛~焦らすなぁ。」

梨真「んじゃ言おうか?予告じゃなくなるけど。」

もみじ「いえ、ジョークです。すいません。」

梨真「ってことで」

もみじ&梨真「『【翔べないイカロス其ノ四】!!!』」

梨真「絶対読んでねぇ~!!!!」


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