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81話 王子はまたやらかしてるみたいですが

「アベル、それなんだよ」

 オレは真っ先にアベルの掴んでいる黒い封筒に食いつく。

 このタイミングで出すということはそれだけ重要なものなんだろう。

「これかい? 君宛の手紙だよ」

 アベルは悪ぶれもせずにそれだけ言うと机に封筒を置いた。

 確かに宛名にはセリム・フォスター様と印が押されているけど

「……何でそんなの持ってんの?」

 オレ宛の手紙を何故かアベルが持っているという事実に軽く引く。

「ハイネがいなくなってから暫くして、君の様子を見に部屋に行ったんだけど扉の前にこれが落ちててね、こんなことも書いてあるから多分国に証拠として提出したほうがいいと思ったんだけど、取り敢えずその前に宛名にある君に渡そうと思ってて、けっこう荒れてるみたいだから渡すタイミングがなくて」

 アベルはオレに説明しながらその封筒を裏返す。

 するとそこには『大切なあの人との再開を願って』とペンでしたためられていた。

 確かにこれはハイネの件もある今、普通だったら宛先のオレよりも真っ先に国に提出するべき品物だ、ずっとアベルが持ってたことは理由があるにしろ意味わからんところもあるけど。

「……王子殿下、そういうものはすぐに提出してください、まぁ今回に関しては助かりましたが」

 そして勿論国側の人間であるララ様はアベルの行動に軽く頭を抱えるも今回のことを咎める気はないようだった。

「とりあえずはい、どうぞ」

「……じぁあ開けるわ」

 アベルに渡されてオレは封筒の蝋印を外して中身を取り出し、それを見やすいようにテーブルの上に置いた。

「……これは」

「手紙、という内容ではないな」

「これは、もう確定なんじゃないんですか……? 誘拐って」

 封筒の中身を見て、皆が皆に三者三様の反応を示す。

 封筒の中に入っていたのは一枚のカード、そこには招待状と書かれ、日付と時間、それから場所が記されていた。

 しかも場所に関してはわざわざオレがストリートチルドレン時代に使っていた暗号で。

 これは、確定で誘われている。

 名指しで、オレをだ。

「だとしても、下手に兵を動かせないのは変わらないからなぁ、でもやるべき方針は決まったんじゃないのこれ、ねぇ?」

「……ああ、この日付が、決行日だ」

 アニの言葉にオレは深く頷くと宣言してカードの日付を指で示した。

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