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78話 この七人で私を見つけてくれるみたいです

「話を遮ってしまってすまないね、でも最初にこれだけは伝えておこう、今回わたくし達は君たちの行動を止める気はない」

 ララ様は閉じた扉に背中を預けていつもの緩やかな笑みで続ける。

「……それは、どういうことですか?」

 学生が勝手にまた動こうとしている、それもいつも目立っている輩達が、それなのに止めようとしないなんて明らかに何か裏があるのは目に見えて分かった。

「簡単に言ってしまえばボクたちは目だってオバサ……ハイネを探すことが出来ないんだよね」

「待ってください……! ハイネは誘拐されたってかもしれないんですよ!?」

 ララ様の代わりに答えたアニに今度はユーリが詰め寄る。

 ユースクロイツ伯爵家は戦事に重きを置いている家柄というのもあり戦場に出るリューデスハイム家とは深い進行を持っている。

 だからこの場にアニもいるのだろう、公爵令嬢を探せないという切迫した状況でありながら三男坊を送ってきた理由までは分からないが。

「ハイネが誘拐された、それはあくまで推測でしかないだろう、もしかしたら、その程度の理由では動けないんだ、わたくし達も非常に歯がゆいのだが……」

 ララ様はそれだけ言うと珍しく眉間に深いシワを寄せる。

 いつも飄々としているだけあってこういうのは少し、珍しい。

「……どこから圧力がかかったんですか?」

 そしてこういう政治が関わっていそうな事に真っ先に気付くのはやはりアベルで、こういうところは本当に将来民の上に立つ王子の素質が高いと思う。

「流石アベル様、ご明察ですね、名前は出せませんが今回の件公爵家の御息女が関わっているという話になっていましてね、もしそれを知っていながら推測だけで動けば戦争の火種にだってなりかねない」

「だから、ハイネを諦めると?」

 オレの口から咄嗟に出た声は低く唸るようなそれで、大抵目上の、それも自身の仕えている家の人間に向けるようなものではなかった。

「それは早計だな、ここにいる七人はわたくし含めて多かれ少なかれこれまでの事件に関わってきた人物だ、この人選なら外部に何も漏れる心配はないとお父様含め私やユースクロイツ伯爵も判断した」

 だけどララ様はそれを咎めることはせずに丸でいたずらっ子みたいに話を続けるから

「……つまりは?」

 まぁ言って長い付き合いになる。

 ララ様がこれから言うであろう言葉は簡単に想像ついて、それでもはっきりと言葉にしてもらえないと安心出来なくて、オレはララ様に続きを促した。

「リューデスハイム家から兵を出せない分少数精鋭の部隊をユースクロイツ伯爵からお借りした、その部隊とここにいる七人でハイネを見つけ出して助ける、そして証拠と共に上につき出す」

「……これ、考えたの旦那様ですよね?」

 そして意気揚々と答えたララ様に一応分かりきったことを聞くのも忘れない。

「ああ勿論」

「ですよねー、まぁ今回ばかりはありがたいですが」

 オレを拾ってくれた公爵家の現当主、アダム・リューデスハイムはいつだって爵位のある人間が取るべきじゃないことも迷わずに行動に移す人だ。

 普段はそれが少しだけ心配と悩みの種にもなっているのだがこういう時は本当に頼もしい限りだ。

 っていうか公爵令嬢云々がなければ多分自分で探しに行ってたと思う。

 それくらいには二人の愛娘を溺愛している人だから。

「……じゃあ、これはやっぱり国に提出しなくて正解だったみたいだね」

 大事に出来ないという少しの絶望と、それでも動こうとしている人達の気持ちにオレも少しだけ落ち着きを取り戻してきて、だけど話はそう上手くはいかないわけで、アベルは不敵な笑みを浮かべながら懐から一枚の封筒を取り出して机に置いた。

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