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77話 あの日の真実に触れようとしています

 ジークはハイネの現状について語りだすとすぐに誘拐された体で話を進めていた。

「で、つまるところハイネは誘拐された可能性が高いと」

「はい、詳しいことは自分もまだ死にたくはないので言えませんが自分とハイネさん、彼女は軽い未来予知のようなものが出来ます、ただしそれは不確定で少し性能の良い占いみたいなものだと解釈していただければ大丈夫です」

 オレの問いかけにジークは歯切れ悪く答える。

 何故自身やハイネがこれから先のことを知っているかのように行動できるのか、それは話し始めてからずっと一貫してその態度は変わらない。

「なんというか、今さら言われてもアイツなら出来てもおかしくないと感じるのは私だけか?」

「大丈夫、私も同じ意見だし、多分ここにいるみんなそう思ってるから」

 そしてオレもシグナとアベルに完全に同意だった。

 何かそう、予知夢のようなものを見るとか何か知らないけどそうすればこれまでの数年間ずっとハイネが独りで焦っていたり全てを理解したかのように行動していたことに辻褄が合う。

「っていうか命惜しいってそれ言ったら誰かに殺されるのか?」

「ええ、まぁ、そうですね、そういったところです、はは……」

「……まぁ、深くは追求しないわ」

 自分で聞いておいてなんだが誰にどうして殺されるのかジークの苦笑いで全て察してしまった気がするからこれ以上追求するのは止めた。

「そうしてくれるとお互いにありがたいですね」

 そしてそれはジークも同様だったようであからさまに安堵の表情を浮かべる。

「それで、その占いによるとハイネは誘拐だってことになるのか?」

「……ユーリさん」

「え、私……ですか?」

 殺される云々は一旦置いておいてその先の事実を問いかければジークはふと、ユーリの名前を呼んでそしてユーリの声に頷くとゆっくりと続ける。

「……実際には魔法祭のあの時、あなたは誘拐される筈でした」

「……」

 皆それぞれに思い当たる節があるのか誰も言葉を返すことはしない。

 よく考えなくても魔法祭での一件もハイネがいたから最悪の難は逃れていた。

「さっき言った通り魔法祭での一件に私は絡んでいます、そしてその理由は魔法適正が無である自分を治すために研究材料としてローズクォーツの姫が欲しかったからです、でもその企みはハイネさんによって未然に防がれました」

「あれは、そういうことだったんた……」

 ユーリは自分の肩を抱きながらポツリと呟く。

 物事が解決した後もハイネは決して詳しいことは語ろうとしなかった、ただそういう感がしたとかそういうことしか言わなくて、何でユーリが狙われたのかも口にはしたがらなかった。

 それは多分自身の特質的な力の存在をバラしたくなかったからなのだろうけど。

「……私は声をかけられてあの事件に荷担しましたが、声をかけてきた相手はフードで顔こそ見えなかったものの最初からローズクォーツの姫には全く興味を示しているようには見えなかった、これでも研究者の端くれです、研究対象に対する熱量くらいは分かります、だから……」

「もともと黒幕が用事があったのはオバサンのほうで、代わりにユーリを誘拐できなかったから今度は張本人が誘拐された、と」

 ジークの話を途中から奪うように遮った扉の開く音と聞き覚えのある声にその場の全員が反応する。

「アニと……ララ様まで……一体こんなところまでどうされたんですか?」

「悪いが話は聞かせてもらっていた、ここから先は、我々も混ぜて話を進めてもらおうか」

 学生だけで何かしようとしている、そんなことバレれば大目玉だ。

 オレは慌てて取り繕って見せたけど時既に遅く、ララ様はそれだけ言うと静かに扉を閉めた。

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