8話 敵アジトに到着したけどなにやら考えがあるようですね
「ここが、アジト……」
あの後人攫い達が消えた路地へと駆け出したのはいいものの子供の足では人攫いに追い付くことは出来ず、だが私がアジトの場所を知っていた為事なきを得た。
ゲームではシグナが怪我に耐えながら一人で探すことになるアジトだが私がいたことでかなり早く到着することが出来たことからもまだユーリたんは怪我をしていない可能性が高いだろう。
「ユーリお嬢様……!」
「待ちなさいシグナ、正面突破なんて無茶よ」
今にも正面をきってアジトへと突入しそうな勢いのシグナを止める。
「しかしっ……それではどうするのですか!」
シグナの言う通り問題はそこだ。
待てばアベルがきっと人を連れてきてくれるだろう。
だがそれを待っている間にユーリたんが怪我をすればここまで色々とやっておきながらゲーム内の展開と同じになってしまう。
「……よし、シグナ、お前後ろに回れ」
「え……」
そんななか真っ先に口を開いたのはセリムだった。
「この正面入り口には三人見張りがいるから突破は無理だ、だけど後ろ口には一人しか見張りがいない、だからお前はその一人を倒して、ユーリを助けに行くんだ、ユーリは後ろ口から入ってすぐ右に向かった所の檻に入れられてる、オレ達は他の奴らの気を引く」
「セリム……あなたなんでそんなことが」
セリムはまるでアジトの中を見てきたかのように事細かに詳細を語る。
「探知魔法だよ、あんまり得意な魔法じゃねーけどこのぐらいの広さなら何とか分かる」
私が聞き返せばセリムはぽりぽりと頭をかきながら少し恥ずかしそうにそう返す。
「……なるほど」
セリムの魔法適正が高いことは知っていたし再登場した青年期に探知魔法を使っていたことも覚えている。
だがまさかこの歳から探知魔法などという高位な魔法を使えたというのは驚きであり渡りに船だ。
感覚や感性に働きかけるような魔法はこの世界では高位魔法に分類されて魔法の適正の高いものしか使えない。
ちなみに私の、ハイネの適正ではどう足掻いても使えない。
私だけの力では無理でもこれなら、本当にユーリたんを助けられるかもしれない。
「分かったらほら行け! お前騎士なんだろ、なら一人ぐらいどうにか出来るよな」
「わ、分かった!」
セリムはシグナに発破をかけると思い切り背中を押し出した。
「よし、んじゃあこっちはこっちで行きますか」
「セリム、あなた何をする気なの……?」
どうもセリムはこの後の行動も考えているようで私はただ聞き返す。
「大丈夫、任せろって、だてにストリートチルドレンしてねーから、オレに合わせてくれりゃあいい」
セリムはけらけらと笑いながらアジトの入り口に手をかけた。




