72話 敵の目的はもしかしてあの人ですか?
「ここも開かないよね……」
イルがいなくなってからしばらく私は部屋中を漁っていた。
扉は勿論窓にもしっかり鍵はかかっているし抜けられそうな場所もない。
窓の外は真っ暗でここがどこかも分からない。
はっきり言ってどん詰まりだ。
「……とりあえず、考えを纏めないと」
私は一旦部屋を出ることは諦めてベットに腰かける。
幸いまだ命の猶予はあるらしい、それならその間にイルの考えていることが分かればこの事件の突破口を見つけられるかもしれない。
まず、イルは元々は作中ではモブキャラ程度の登場しかなく深掘りされているキャラではない。
見た目もゲーム内とは変わっているし性格なんて見る影もない、その辺りは多かれ少なかれ他のキャラ達と同じだ。
そして多分他のキャラ達の性格が改変されたようにイルが変わったのも私というイレギュラーの為。
だけど私がハイネになった後に交流はない。
なら何故あそこまで変わりあそこまで私を恨んでいるのか。
「……そういうこと?」
私は誰に言うでもなく呟いた。
そこまで考えれば自ずと答えは出てくる。
本来この立場を担っていたのは誰?
私がストリートチルドレン達の元から連れ出して関係を絶ってしまった人物は?
つまりは、奪ってしまった人物とは。
そんなの、一人しかいないじゃないか。
「……イルの目的は、セリム……?」
そう、それは私の最強の幼馴染み、セリムただ一人だ。




