ララ・リューデスハイムの休日
ララ・リューデスハイムはとても朝の目覚めが早い。
起きると一度首からいつも下げているロケットを開いて中を確認する
「さて、わたくしの可愛い末妹ちゃんは元気かな」
中に入ってるのは勿論のごとく妹、ハイネの写真だ。
ハイネが寮に入ってからは朝起きる度にこれをするのが日課になっている
カチッと音を立ててロケットを閉じると蓋に優しくキスを落とす、ここまでがララの朝のルーティーン。
ちなみにロケットにキスをするのは本人からは恥ずかしいからやめて欲しい、と濁して苦言を呈されてはいるがその内に秘められた気持ち悪いからやめて欲しいという感情に気付いていないため照れているだけだと思われている。
愛が重い、ハイネが全力で自身を溺愛対象にした結果起きた弊害である。
「さすがだな、今度はハイネも連れてきてやりたい」
戦に公務と忙しいハイネの唯一の趣味と言えるものがカフェ巡りだった。
大抵は毎月発刊されるカフェ紹介のされている雑誌に載っている店に行くのだが今回も当たりだったようだ。
そしてその度にハイネも連れて来たいと溢す、この流れもまたルーティーンだった。
「いや、しかし持ち帰りも出来るならこれを持って差し入れにと学校へ行くのは……いや、やめておこう」
暫く持ち帰り用メニューとにらめっこしていたララだったが以前同じことをしてハイネに酷く詰められたのを思い出して諦める。
あの時のハイネの剣幕をララは多分二度と忘れない。
まぁ、用事を無理やり作って学園に凸したララが完全に悪いのだが。
「……一緒に行きたい店は増えていくばかりで、これを全て達成するのは難しそうだ」
会計を済ませて店を出たララは一冊のメモ帳に店の名前を書き留める。
ララは基本的に戦場に出ることが多い、だからこそ自分の死とはいつも隣り合わせ、ハイネが卒業してから一緒に回ったとして多分全てを回りきることが出来ないであろうことはララ自身が一番よく理解していた。
まぁ、実際のところ到底行ききれないレベルの店の数、それだけ沢山書き付けているだけではあるのだが。
ララは約束という言葉が好きだ。
その約束は強く生きる糧になるということをよく知っているから、だからこそここまで沢山リストアップしている。
学園に凸した日ハイネは休みの日や卒業した後なら一緒に行きたいとララに言った。
ララはその言葉を胸に毎日戦場を駆ける。
「そうだ、今度はユーリも誘おう、そうすればハイネも喜ぶ」
必死で依存先を自分にしてもさすがゲームの軌道修正力、ここでユーリの名前が出る。
かといってもこのララはハイネの為にと思って口にしているだけではあるのだが
「……今日の気分はそうだな、リラックス出来るやつにしよう」
ノートをしまったララはすぐ近くの雑貨屋でアロマキャンドルを手に取る。
家にいるときは寝る時には必ずアロマキャンドルを灯す日課がララにはある。
少しでも、戦場で抱えた重い物達を受け止めるために。
「次に会えるのは、遅くて卒業の時か……」
ハイネと同じ公爵令嬢でありながら庶民的な店で食事をし、アロマキャンドルを買う、こうしてララの休日は少しずつ進んでいく。




