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51話 始まりました!アルミア祭!え、推しと回れるんですか?

「いらっしゃいませ! どうぞお席へ」

「厨房ー! メイドさん特製オムライスまだかー?」

「今出来たぞー」

「こっちコーヒー二杯お願いしますー」

 そして迎えたアルミア祭当日、私達の努力の結晶、メイド喫茶は私の予想通りとても繁栄していた。

「いやぁ凄い盛況ですね、メイド喫茶」

 魔法で用意されたシンクでお皿を洗っていればふと現れたセリムにそんな風に声をかけられる。

 文化祭で使う食器といえば使い捨てが常識だと思っていた時代が私にもあった。

 流石魔法が発達した世界だ。

「……まぁ、そりゃそうでしょうね」

 私はセリムの言葉に視線を教室内に巡らせる。

「アベル様ー、オムライスにケチャップで名前描いてください!」

「かしこまりましたお姫様、これで良かったかな?」

 笑顔で女性陣の注文に付き合うしごでき王子。

「シグナくん! 美味しくなる魔法かけてー!」

「………………美味しくなれ」

 ムスッとした表情でも何とか最低限教えたことはこなすシグナ。

「あの二人本当に凄いわよね、ずっと囲まれてるわよー」

 女子達はメイド姿のそんな二人にずっと夢中で群がっている。

 前世の記憶を頼りにメイドカフェで人気のそれとかを取り込んでみたけど結果は上々、これなら売上上位間違いなしだ。

「そんなこと言ったらハイネも人気ですよー、男子なんかデレデレしちゃってだらしねぇー」

「止めてちょうだいセリム、また止めに行きたくなるから」

 返す言葉でセリムはそんなことを言いながら男子客の接客をするユーリのほうへ視線を向けるから私は素の声でそれを止める。

 メイド服姿のユーリをこの目で見れた時はもう死んでもいいというくらいには目の保養だった。

 だけど何て言うか、そう、水着の時みたいなもの。

 私は見たいけど他の人にはあまり見せたくない、というか接客してもらうの羨ましすぎる。

 頼む、デレデレしてるそこの二人組、一度でいいから変わってくれ。

「……もう止めてくださいね、飛び出していくのは」

 一度開店直後にユーリの接客を止めに入った前科のある私にセリムはしっかりと釘を射してくる。

「セリムー、あっちのグループさんお前が良いってよ接客」

 そしてそんなセリムも実は人気メイドの一人だ。

 さっきから結構な頻度で呼び出しを食らっている。

「またかー? ここ別に接客指名式じゃないだろ……」

「せっかくご指名頂いてるんだから言ってあげなさいよ」

 元々セリムの言う通りこのお店は指名式ではないのだけどみんなはしゃぎすぎてそれを守る人は少ない。

 幼馴染みとして鼻も高いしせっかくならと背中を押す。

 ユーリもアベルもシグナもセリムも、人気が凄くて友人としては鼻高々である。

 え、私?一応二度くらいは名指しで指名されたから、二度くらいはだけど。

「えー……」

「おーい、ユーリちゃん、こっち来てオムライスに絵描いてくれない?」

「あ、はーい!」

「ユーリ! 行く必要ないわよー、お客様、絵なら私が描いてあげますわ」

 渋るセリムの背中を押しながらホールに出るとちょうどユーリが声をかけられていて、私はすぐにユーリからケチャップを優しく奪い取り男子生徒に笑いかける。

 しっかりと圧を込めて。

「あ、えっ……はい……」

「ハイネ様……止めましょうって」

 一瞬肩をびくりと跳ねさせた男子生徒は壊れたおもちゃみたいに首を縦に振るけど私が描き出すより前にさらにセリムにケチャップを奪い取られる。

「ほら、オレが描いてやったからこれで勘弁な、代わりに割り引きしてやるから」

 セリムはささっとハートを描くと笑って男子生徒の肩を叩く。

「ちょっ……勝手に値引きしないでもらえる?」

 別にこんな金持ち学校でそこまで高くもない飲食代を値引きする必要もないだろうし勝手に値引きされたら後で計算が狂ってしまう。

 私は慌てて注意するけど

「まぁまぁ、ご愛敬ってことでー、おいユーリ!」

 そんな注意を意にも介さずセリムはユーリに声をかけてこちらへと呼ぶ。

「どうしたのセリム」

「この後しばらく抜けて良いぞ、休憩休憩ー、ハイネ様連れてアルミア祭回ってこいよ」

「え、いいの?」

「セリム……!」

 元会社員の私は値段の計算を頭のなかでしていたけどセリムの言葉にそんなもの頭の中から吹っ飛んでいった。

 いいや、この際売上とか、うん。

 確かゲーム内では劇の後に一番好感度の高いキャラとアルミア祭を回るんだけど、今回はメイド喫茶に改編したからそのイベントは省かれると思っていた。

 っていうか私が選ばれたってことはもしかして今の段階では私が一番ユーリからの好感度高いってこと?

 なんて思ったりもしたけど以前の事件があるから調子に乗るのは止めておく。

「時間はきっかり一時間、次のシフトまでにしっかり戻って来てくださいねー」

「だって! 行こうハイネ!」

「え、ええ!」

 ユーリが思ったよりも嬉しそうに笑って私の腕を引くから少しだけ驚きながらも、私も一緒にそのまま駆け出した。

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