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22話 持つべきものは最強の幼馴染みですね

 このイベントは回避不可能。

 でもここまで、あともう少しというところまでは進められたのだ、この先のこともまた知識の中にヒントがあるかもしれない。

 どこかに、ないか。

 ゲーム本編でもいい、特典冊子でもいい、ボイスドラマでも……

「……あ、そうだ!」

「なんかひらめいたか!」

 そこで私はとある会話を思い出した。

『君を拐う時は苦労したよ、あの騎士くんも邪魔するし、君は暴れるから途中の薔薇の刺で服が破けてしまって』

 そう、これはFD、所謂ファンディスクにおける隠し攻略キャラとの一抹。

 この学園で薔薇が咲いているのは1ヵ所だけ。

 そしてその一番近くにあるのが北門だ。

 でも……

「……場所は分かったかもしれない、けどここからだと遠くて間に合わないっ……」

 私は長考を止めてセリムに伝えるけど内心は焦っていた。

 ここは北とは真逆の南門のすぐ近く、これも誘導なのだろうけど、ここからだとどう足掻いても時間がかかって間に合わない可能性があるのだ。

「なんだ、んなことかよ、ちょっと失礼っ!」

 だけど言うが早いかセリムはひょいっと私を抱えあげる。

「え、せ、セリム!?」

「どんな無茶だって叶えてやるって言ったろ? ちょっと不安定だからしっかり捕まってろよ、時間ないんだろ? 拾いに戻ってたら、間に合わないからなっ!

 慌てる私をセリムは無視してそう言って笑うとタンっと地面を蹴った。

「なっ……と、飛んで……でも二人分の質量なんて、あ、ララお姉さまのエンハンス……!」

 たったのひと踏みでセリムは学園を見渡せる程の高さに飛んでその場で制止する。

 この世界の超高等魔法に空を飛ぶものが存在することは知っている。

 元のセリムは使えない筈だけど最上という魔法適正を考えれば今のセリムなら使えてもおかしくはない。

 そしてさらにララからエンハンスをかけてもらっているからそれもあって一足で跳び、二人分の質量を固着させるなんて離れ業を成しているのだろう。

「ご名答! だけどあんまり持たないから早く指示をくれよ!」

「……場所はここから真北、薔薇園の……おそらく出口!!」

 セリムに急かされた私は少しだけ考えて、それから場所を指定する。

 もうこの学園の外に出ていない限りは出口なら最悪でも対面することが出来る。

「了解お姫様! 任されたっ! 一気に飛ぶぞ! 舌噛まないようにしっかり口閉じてろ、よっ!!」

 そしてセリムは言うが早いか思い切り近くにあった木の幹を蹴って北の薔薇園のほうへと進みだす。

「っ……早っ……」

 確かにその速度は早すぎて、下手に口を開けば突風で怪我をしそうなそんな速さで空を斬るセリムが薔薇園の出口付近で急ブレーキをかけて止まる。

「あ、いた!!」

 そしてそのまま地面に降りた一瞬、セリムが起こした風で視界が晴れた瞬間を見逃さずに私はユーリではなくシグナを発見する。

「よし、了解! シグナ! ユーリは!」

 セリムはすぐに剣を引き抜くとシグナに加勢する

「この声は……ハイネとセリムか! お嬢様はあそこだ! 奪い返しはしたが、敵の数が多い、今は、そちらで眠っているっ……」

 シグナは黒マント達との戦闘で疲弊しながらもユーリのいる方向を指差す。

「分かった! よしっ、シグナはユーリのほうついててやれ、この場はオレが、制圧する」

 そんなシグナをセリムがユーリのほうへと押しやる。

「ハイネもだ、ユーリのほう行ってろ」

「分かった」

 私もセリムの指示に従ってすぐにユーリのほうへ駆け寄る。

 良かった、怪我はないみたい。

 スースーと眠るユーリはどこにも怪我は見当たらなくて、それだけでとても安堵する。

「……さてと、オレのお姫様を散々慌てさせた礼をしてやるよ」

 セリムはそう宣言すると剣をしまってこの戦いで初めて一本の杖を取り出す。

 それはセリムが幼少期に使っていた枝とは格が違う代物。

 セリムが私の騎士になってすぐにお父様が与えたものだ。

 神木を元に不死鳥の羽を芯にした炎魔法特化の超がつくほどの高級杖。

 それをセリムが抜いた時点で勝ちは、確定したようなものだった。

 今この場には黒マントが軽く20以上いるけどそれでも、セリムが勝つ。

 何故なら彼は

「インフェルノノヴァ」

 最強の幼馴染みなのだから。

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