16話 攻略キャラからの挑戦状、受けて立ちます
次の魔法祭でボクが君に勝ったら、ユーリ・ローレライをボクに頂戴、ユーリ・ローレライの親友、ハイネ・リューデスハイム壌?
頭のなかでアニの言葉が反響する。
このシーンもよく覚えている。
ユーリを面白ぇ女判定したユニが言うのだ。
次の魔法祭でボクが君に勝ったら、ユーリ・ローレライをボクに頂戴、ユーリ・ローレライの友人、アベル・ラインハルト様?
と
そう、この言葉は私ではなくアベルに向かって言われる言葉であり、決して私相手の言葉ではない。
待て、考えようによっては今現段階アベルよりも上にいるということではないか。
その点は嬉しいかもしれない、でも
「……ユーリと面識が?」
そう、そこが問題だ。
基本的に学校ではユーリといつも一緒にいるのにいつの間にそんな親しくなったのか、それは大変気になるところ。
そもそも面識を持たせない立ち回りを考えていたのに。
「あんまりないよ、でも面白い子は近くに置いておきたいよね、それに人の物って奪いたくなるんだ」
だけどアニの言葉に血管がブチキレるかと思った。
人の物を奪いたくなる小悪魔設定は確かにあった。
だけどまさか殆ど面識のない相手を賭けて勝負しようなんて、これではまるで『え、お前いつそいつのこと好きになったの? そこまで面識もフラグもなかったよね』なんていう乙女ゲーでよくある惚れられた理由がよく分からないキャラ化してしまうではないか。
まぁ物語ねじ曲げてるのは自分なんだけど……
そして悲しいことに
「……分かりました、その勝負受けましょう、代わりにあなたが負けたらユーリのことは諦めてくださいね」
これは断るという選択肢を取れない。
というのもこの挑戦をなあなあにしていくとアベルルートには入れない。
つまりは私がなあなあにすれば私とのフラグもへし折れる可能性が高いということ。
だから、受けるしかない。
まぁでもこれでアニとのフラグがへし折れるならそれも良いかもしれないが。
「……勿論」
そして私の申し出をアニも断ることなく頷くと、そのまま学食を後にした。
「……みんなのこと迎えに行きましょ」
暫く考えた後にこのシナリオを選んでしまった以上はこれ以上は考えても無駄、そう判断して私はおそらく職員室に連行されたであろう四人を迎えに行くことにするのだった。
その後何故か職員室に着くと私まで注意を受けたけれど皆がしてくれたことを考えればまぁ、そこまで苦ではなかった。
「セリム……」
そしてその夜、男子寮に戻ろうとするセリムの肩を私は強く掴んで名前を呼んだ
「どうしました?」
「魔法祭、絶対に勝つわよ」
「え?」
「勝つわよ」
不思議そうにするセリムにさらに勝つを強調して伝える。
「は、はぁ……勝ちます、か?」
よく分かっていない様子のセリムに私は頷くと、満足してそのまま自身の寮へ帰った。




