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103話 恥ずかしいくらいベッタリですね

「ねぇセリム、お揃いのカチューシャつけない?」

「セリムー、これ美味しいわよ、一口食べて!」

「マネージュのカボチャの馬車、もちろん横にはセリムが座ってくれるのよね……?」


 その日は遊園地を訪れてからずっとハイネは口を開けばセリム、セリムでオレの名前をずっと呼ぶし他の奴はあからさまに警戒されて近付けない始末、ハイネがトイレに行ったタイミングで一度皆それぞれに休憩を挟む。

「セリムお疲れ様、これどうぞ」

「ああ、ありがとう」

 適当なベンチに座ってハイネを待っていたオレにユーリが売店で買ったジュースを持ってきてくれて、そのまま隣に腰かける。

「……なんか、何て言うんだろう……うーん、一言で言い表すならそうだなー、複雑」

 そしてうんうん唸りながら悩みだすと一言、それだけ言って困ったように笑う。

「だろうな、いつもはあの立場お前の場所だし」

 今日オレが立っている場所は普段だったらユーリが立っている場所だ。

 オレはそんな二人をずっと見てきたし、騎士として立つならそこじゃないのも分かってる。

 でもこれはずっとオレが求めてきたことのはずなのに、何故か心の底から喜べないオレが居て、その理由は分からない。

「ハイネが楽しそうにしてるのは嬉しいし、記憶が無くても目が覚めたのも嬉しい、それなのに何でだろう、少し……寂しいね」

「……そうだな」

 考えながらガジガジと子供みたいにストローを齧っていればふと、ユーリの溢した言葉に心に浮かんでいた疑問がストンと音を立てて腑に落ちた。

 寂しい、そうか、これはそういう感情だったんだ。

「……でもセリムは役得とか思ってるんじゃないのー?」

「まぁ……最初は思わなくも無かったけど、オレもユーリと同じだよ、つまりは複雑ってこと」

 オレを励まそうとしているのか柄にもないことを言ってくるユーリにオレはそのまま本音を返す。

 役得だって一度でも思ってないのかと聞かれれば答えは否なのは変わらないし。

「やっぱり、そうだよねー」

「……ほらハイネ戻ってくるぞー、笑って迎えてやらないとな」

 オレ達の大切なお姫様がトイレから出てきたのを視認するとオレはそれを迎える為に立ち上がって、気合いを入れるようにユーリの肩を軽く叩いた。

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