91話 相思相愛って思ってもいいですか……?
「ふぅ、これで良いかな……」
転送された先で襲われた瞬間私は睡眠の魔法を発動させた。
慌てていたこともあってちょっと強く作用しすぎたそれはその場の全員を深い眠りへと誘って、結果としてはみんなすやすやと健康的な呼吸音を立てながら地面に寝転がりゆっくりと眠っている。
もしかしたらここら辺一帯の他の町や村の人達まで寝てしまっているかもしれないからそこは帰えったらちゃんと謝らないと。
「……やっぱり私は当たりは引けないかぁ」
別に誰かに言及されたわけじゃないけど多分あの中のひとつはユーリの元へ繋がっていたと確信している。
そしてそれを引いたのは多分セリムだっていうことも。
セリムが飛び込む瞬間確実に、一瞬だったけど空間の奥のほうで青い光が弾けた。
あれは多分サントライトの光だったんだと思う。
言い伝えをユーリは信じていなかったみたいだけどちゃんといつも肌身離さず持っていたし、私のあげたピンキーリングもいつも着けてくれていたけど指輪についているのは残念ながらただのパワーストーンで、それは光ってはくれないらしい。
「私が自分の手で助けたかったなぁ……」
私の口から自ずと溢れたそれはこの場に誰もいないからこそ言える本音だった。
いつも私を助けてくれるハイネ。
魔法適正が全知になって少しは役に立てるようになったはずで、多分この力があればハイネやわ助けることだって出来るはず。
でもいつも最終的にハイネを助け出すのは私じゃなくてセリムなのだ。
「焼けちゃうなぁ……なんてね……」
私は小さなため息と一緒にその感情も一緒に音と鳴らさずに飲み込んだ。
ハイネが帰ってきたら今度は私のほうからお出掛けに誘ってみようか、しかも二人で行きたいって。
そうしたら多分ハイネとても驚くんじゃないかな、ああ今から楽しみだなぁ。
「待っててねハイネ……!」
一番は無理でもせめて二番手は誰にも譲れない、いや譲りたくない、これはちょっとした私の、意地だ。
私は位置を確認すると杖を持ったまますぐに駆け出した。




