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序章 嫌いなあいつが鏡に写ってるんですけど転生したんですか!?

 人の人生というのはいきなり終わる。

 それを実感するのにそんなに時間はいらなかった。

 むしろ一瞬とか、それぐらい。

 いつものように会社から帰宅しようとして電車を待っていたとき。

 後ろからドンっと強く背中を押されて私はそのまま線路に倒れこんだ。

 誰かが故意に押したのかもしれないし、帰宅ラッシュでたまたまぶつかっただけなのかも分からない。

 ひとつだけ、わかったこと、それは

 ああ、私……死ぬんだなというそれだけだった。

 次の瞬間には私は、大きな警笛を鳴らす電車に、轢かれて、死んだ


「おや、ハイネ様、お目が覚められましたか? 皆! ハイネ様がお目覚めになられましたよ! ああ! まだ起き上がってはいけませんよ」

 ふと、目を開くと映ったのは駅でもなければおそらく天国とかそういうものでさえない高い天井だった。

 そしてメイド服の初老の女性が嬉しそうに大声で誰かに呼び掛けながらベットから身を起こそうとする私を優しく押し留める。

「ここ、は……」

 何処なのか、聞こうとして発した声はあまりにもいつもの私の声とは違いすぎて慌てて自分の喉に手を当てる。

「ここはお屋敷でございますよ」

 そんな私に初老の女性は笑顔でそう答える。

「おや、しき?」

「おやおやお可哀想に、数日間高熱に魘されていたものですからどうも混乱なさっているご様子で……すぐに暖かい飲み物でも運ばせますから、今はご安静に」

「はい……」

 聞き返せばそう言って涙を浮かべながら優しく私に布団をかけ直す。

 そこまで心配されれば流石に何も言えなくて私はそのままベットに身を預ける。

「……それにしても外が騒がしいですね……ハイネ様がお目覚めになられたのが嬉しいにしても病み上がりにこんな騒音ではまた具合を悪くしてしまいます、少し、外を見て参りますので、ハイネ様はゆっくりお休みを」

 初老の女性はそれだけ言うと足早に部屋を出ていった。

 それを合図に勢いよく私はベットからおきあがる。

「……」

 無言で周りを見渡してみれば天涯付きのベットに色とりどりに施された装飾やきれいなドレッサーなどそれはまるでお姫様が住んでいるような部屋だった。

「ここは……それにこの声」

 はっきり言えばこの部屋には見覚えがあった。

 それに自分の喉から発される甘ったるいこの声も聞き覚えがある。

 私はバッと自分の手に視線を走らせればそこにあったのはおばさんのあかぎれした骨張った手ではなくぷっくりとした柔らかそうな子供の手だった。

「待って……一回落ち着かないと……って、ええ!?」

 一度、こういう時は落ち着いた方がいい。

 それが私の持論だ。

 しかし壁際にあった姿見に映った自分の姿を見てしまってはついすっとんきょうな声をあげるしかなかった。

 これは、間違えるはずがない。

 なぜならそれは、そう、嫌というほどに見た憎い、あいつの幼い頃の姿だったのだから。

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