5、5歳
元々、魔族と人間は分かち合って生活を送っていた。
いかなる時も差別せず、仲良く切磋琢磨しあっていた。
しかし、数千年前。
魔王の誕生により、人間と魔族との間に亀裂が生まれた。
魔族達はこの世界を手に入れるために人間達を殺していった。
それに対抗するように、人間と魔族の間で大きな戦争が起こった。
それをきっかけに人間界と魔界の二つの境界線へと分かれて侵略戦争が始まった。
その戦争はいまだに終わってはいない。
――――――
っと言うことだ!」
少し開けた原っぱの木の下で一人のツンツンな黒髪で30近い男が本の読み聞かせをしている。
熱量は素晴らしいものだ。
それをあくびをしながらダラダラと聞いている少年が一人。
髪は白く。天然なパーマがかかっている。
「って聞いてるのかゲッツァ!」
30近い男が少年に向かって怒鳴る。
しかし、少年は気にしていない感じだ。
「ファああ……」
大あくびを開けている。
「おいゲッツァ!」
「はい……?何ですかシーエーさん……」
「聞いているのかと聞いている!」
「聞いていないですよ〜。だってその話、何回も聞きましたもん!」
寝転びながら少年は答える。
「ったく……。お前は人間界の未来なんだぞ!こういう歴史を知っとくことも大事だ!」
シーエーと呼ばれる男性は熱く語る。
「じゃあ俺、これからバヒさんのところで電魔法を習ってくるね!」
そう言うとゲッツァと呼ばれる少年はスッと立ち上がると、一目散に住宅街の方までかけていった。
「おいゲッツァ!今日は俺が水魔法を教える日だろ!それに……」
そんな声は届かず、ゲッツァは行ってしまった。
「まったく……」
シーエーは大きくため息をつくとその場に座り込んだ。
ここは前線基地のホールグリット。
魔界の最前線から最も近いところに位置する街だ。
最前線とは魔族と人間の領土争いの丁度、境界線のことを言う。
最前線は戦争の中心と呼んでも良い場所だ。
毎日、大勢の魔物が死に人間も死ぬ。
まさに地獄のようなところだ。
俺はゲッツァ。
あれから成長して5歳となった。
俺はこの最前線にある街で魔法を教えてもらっている。
この世界の魔法は主に6種類。
火魔法。名前の通り火を扱う魔法。
水魔法。水を扱う魔法。
草魔法。草を扱う魔法。
電魔法。電気を扱う魔法。
土魔法。土を扱う魔法。
花魔法。回復を行う魔法。
これら基本だ。
そして、これらの魔法を極めたものにだけ扱える魔法。上位魔法。
火魔法の上位魔法はマグマ魔法。
水魔法の上位魔法は氷魔法。
草魔法の上位魔法は木魔法。
電魔法の上位魔法は雷魔法。
土魔法の上位魔法は石魔法。
花魔法の上位魔法は華魔法。
となっている。
そして、ここからが重要だ。
この世界ではそれぞれ一つの魔法しか扱うことができない。
この世界の人間には魔造細胞と呼ばれる細胞が体の中に存在し、この魔造細胞から作り出した“魔法“が放出することが可能だ。
魔造細胞は人によって色が異なり赤いと火魔法、青いと水魔法、緑だと草魔法、黄色だと電魔法、桃色だと花魔法、黒いと土魔法というその色に応じて、人々はそれぞれ異なる魔法を使える仕組みとなっている。
例えば、魔造細胞が赤い場合は火魔法しか扱うことができず、それ以外の魔法を扱うことができない。
それが、この世界での常識だ。
その中で一つだけ、例外が存在する。
それは、白属性と呼ぶものだ。
白属性魔法と呼ぶものの魔造細胞は全ての色が混ざり合い、白くなっている。
そのため、白属性の者たちは生まれながらにこれらの6種類の魔法全てを扱うことができる。
そんな俺が白属性だ。
最初は「白属性、白属性」と叫ばれても何もピンと来なかったが5歳まで魔法の英才教育を受けていれば生まれながらに恵まれているのがわかる。
何たってこの世界での白属性の人間は今のところ、俺と双子の妹であるミュウラとミュウラと共に最前線から逃れた若き青年、ダンテの3人だけのそうだ。
これだけで俺がどれだけこの世界で重要な存在かがわかる。
と、言っても魔法というのは難しい。
一つの魔法だけでも極めるのが難しいのにそれを6種類。全部極めるというのは……。
非常に酷な話だ。
でも、めげていても仕方がない。
これは俺の人生なのだ。
この魔法の世界で誠意一杯生きていくことを決めたのだ。
それに、魔法は好きだ。
昔で言う部活のようなものだ。
やればやるだけ成長するし、とても楽しい。
それに俺は3歳から魔法を習い始めたのだ。
一般的な人間だと6歳から本格的に始めるらしいのだが……。
俺はサッカーを始めたのが7歳の頃からだった。
いつも、自分よりも上手な選手を見ると、もっと早くから始めておけば良かったと後悔したこともあった。
そのため、この世界では後悔はしなそうで済みそうだ!




