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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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57、魔界へ


  新たな街が見えてきた。


 そこは俺らが目指していた街、サナヒラだ。

 サナヒラの奥には漆黒の大地が見えている。


 ――魔界だ。



 俺が火の国の少年学校を卒業し、火の国を出発してから3ヶ月が経過した。


 魔物のレベルは魔界に近づけば近づくほど強くなってきてる。


 戦いでは苦戦はしなくとも前よりも魔量(マジックストック)を使ってしまったり、ポーションを使う機会なんかが増えている。


 でも、余裕はまだまだある!

 俺の魔法はここ3ヶ月で進化してきている。


 それに、1番レベルアップしているのはラークだ!


 氷魔法を使うようになってから火力というものが前とは比べ物にならないほどになっている。

 まるで別人だ!


 火の国の少年学校で友達になったシュバのことを俺はラークと同レベルと言っていたが、撤回しよう。

 頭ひとつ抜けてラークの方が確実に上だ!


 そのくらい氷魔法を扱うようになったラークは凄まじい。

 そんなラークと一緒にいる俺は戦闘でも出番が少なくなっている。


 最初は少し気にはしていたが、「効率がこっちの方が良くない?」とラークの提案を受け入れてなるべく効率よく素早く魔界を目指していた。


 そこで俺らが辿り着いたのは人間界と魔界の境目の街、サナヒラだ!


 サナヒラは人間界と魔界を跨ぐ街としてたくさんの冒険者が利用している。

 そのためギルドや酒場のなどが街の端から端まで大量に敷き詰められている。


 街に入った瞬間から筋肉質な者や、見たこともないような武器を持っているやつとよくすれ違う。


 そして、どの人間も血の気がすごくてすごくて……!

 街を歩いているだけで5歳児やそこらの人間は泣き出してしまうだろうな!


 俺らはとりあえずサナヒラに入ってから冒険者ギルドへと向かうこととした。

 理由は登録やクエストをしたいわけではなく、ただただ情報集めだ。


 とりあえず、魔界に入るためにはそれなりの準備が必要だ!


 地図を見た感じだとサナヒラから真っ直ぐ北の森を抜けると最初の魔界都市のダークニールがある。

 とりあえずはそこを目標に進む予定だ!


 それに魔界には街や村の数は極端に少ないのだが、宿屋というのが多く存在する。

 そのため、野宿をする機会というのは今まで以上に減りそうだ!

 まあ、魔界で野宿とかめちゃくちゃ危険だからな!


 俺らは冒険者ギルドに入るとカウンターの席へと座った。

 俺は一番端の席でラークがその隣、ラークの隣には隻眼の戦士のような人物が座っている。


「マスター……これとこれ頼む!」


 仮面のラークはメニュー表をマスターに見せ、俺の分の飲み物も合わせて注文した。

 俺はこういうギルド的なものは初めてなので緊張している。


 しかし、半年間も冒険者ギルドに出入りしていたラークからしたら朝飯前なのだろう……。

 平然としている。


「こちらでよろしいのですか?当店ではこちらといったものがおすすめですが……」


 すると、マスターは高いお酒を紹介してきた。


「酒は大丈夫だ……」

「かしこまりました」


 ラークがこんな口調になるとは……レアだな!


 入る直前に、「冒険者ギルドでは舐められたら終わりだよ」とラークに忠告されていた。


 俺も変に緊張せず、堂々としている……。

 うん……堂々と!


 それに先ほどからこのギルドはとても騒がしい。

 少しばかり耳障りだが……

 我慢してやろう。


「こちらでございます……」


 すると俺らにマスターが飲み物を持ってきた。


「これで……」


 ラークはテーブルの上にお金をバラバラと置いた。

 すると、マスターはお金を回収する。


 スムーズなやりとりだ。

 俺だけ精神年齢が低いような気がしてちょっと嫌だな!

 俺は次回ギルドに入った時に下手をしないように一連の流れを徹底的に観察する。


 ラークが注文した飲み物を口に運んだ。


 ――う……まずい……。

 大人の味だ。俺には合わない。


 ラークも飲んでいる……。

 仮面をつけていて表情は読み取れないが……多分我慢して飲んでいるだろう……。


「ちょっといいか?」


 突然、ラークは隣にいた隻眼の戦士へと話しかけた。


「あ?」


 なんか怒ってそうだが……。


「魔界に入ったことあるのか?」


 そうラークが聞くと隻眼の戦士はメニュー表をトントンと叩いた。


「マスター……先ほどのおすすめのやつを頼む!」

「かしこまりました!」


 ああ……そういうことね!


 メニュー表をトントンとしたのは何か奢ったら教えてやると!的なやつか……。


「どうぞ!」


 マスターが運ぶとラークはまたしてもお金をテーブルの上にバラバラっと置いた。


「魔界には入ったことあるか?」


 隻眼の戦士は頼んだ飲み物をグッと一杯飲んだ。


「ああ……昨日までは魔界に入ってた……」


 隻眼の戦士は静かに答えた。


「昨日までか……。やはり魔界は危険なのか?」

「ああ……危険だな……お前さんは入ったことがないらしいな!」

「ああ、明日から入ろうと思ってな!」


 スムーズに大男とやりとりしている。

 ラーク……とはこういう面でも差をつけられていたらしいな!


「明日からか……悪いことは言わねえから今はやめといた方がいいぞ!」


 隻眼戦士は何かを考えてからゆっくりとそのように語った。


「なぜだ?」


 当然ラークは聞き返す。


「俺のパーティーは昨日までクエストをやりに一週間ほど魔界にこもっていたんだ。でもな突然魔獣が現れてな……。俺のパーティーは俺以外全滅だったよ……」

「魔獣が……?魔獣は最前線の近くにしか現れないのではないのか?」

「ああ……そのはずだがな……。最前線から抜けてくるやつっていうのも珍しくはない……でも、サナヒラ周辺で出るっていうのは今までも聞いたことげねえな!」


 魔獣とは簡単にいうとめちゃくちゃデカい魔物のことだ。

 魔獣と魔物の違いは大きさだけでなく、その凶暴性とパワーだ。

 生まれたばかりの頃にカルバーツが戦っていたドラゴンなどが魔獣の類だろう……。


 昔、ホールグリットに住んでいた時にシーエーさんに教えてもらったことがある。


 魔獣にあったら何がなんでも戦ってはいけないと……。

 カルバーツくらいの実力者になれば余裕らしいがシーエーさん1人では魔獣は倒せないらしい。

 シーエーさんも立派な戦士で力もそれなりにある……。


 だが、そんなシーエーさんにも魔獣は倒せない存在らしい。

 そんな魔獣がこんな地に……。


「その魔獣は今何をしているんだ?」

「さあな!今もその辺を彷徨いているんじゃねえのか?多分ここにいる冒険者じゃあいつを倒せるやつなんて居ねえだろう……」

「じゃあその魔獣を倒さないと……」

「倒せねえだろうな……だれも……」


 会話には緊張感が走った。


「わかったありがとう……。ゲッツァ君行くわよ!」

「お……おう!」


 そうして俺らは冒険者ギルドを後にすることとした。


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