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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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51、宴


 あ……あれ?

 俺ってどうしたんだっけ?


 視界が暗い……。

 あれ……俺って死んでないよな……。


 いや、リュウガを倒して、その後……村に戻ろうって……。

 村に……村に……村に……。






「はあ!」


 俺は叫んでいた。


 ここは……どこだろう……。

 俺はフカフカなベッドの上で目を覚ました。


 この家……見たことあるな……。

 俺は記憶を探る……。


 ――――――――


 わかった。ここはエマの家だ。


 何となく見たことあると思ったんだよな!


 よかった……。俺死んでいなかった。


 倒れてから俺のことをここまで運んでくれたんだな……。

 感謝だ。本当に……。


「ん……」


 寝ている俺の左ももの辺りから誰かの声が聞こえた。

 誰だ……誰だ……。


 俺は視点をそちらの方へと移す。


 水色のサラサラな髪の毛がベッドの上に生えている……。

 いや、これはラークがベッドに顔を突っ伏しているのだな……。


 ラークは眠っているようだ。


 もしかして、俺のことをずっと見ていてくれたのかな……。

 だったら嬉しいんだけど……。


 俺はラークへと左手を伸ばした。


 いや、いいよな……ちょっとくらい……。


 ――――サワッ――――


 俺は軽くラークの頭を撫でた。


 水色でボブの髪の毛は見た目同様にサラサラだ。

 どんなシャンプーを使っていたらこんな髪質になるんだよ!


 俺は自分の右手で自分の髪の毛を触る。


 ――――――――


 クルクルだ。


 ここまで左手と右手の感覚が違うと気持ち悪いものだな……。

 ラークの髪の毛の方が触り心地が良い。


 ずっと俺の手を動かしていると、突然、俺の体にピキッと衝撃が走った。


「痛っっっつつつ……」


 俺は急いで掛け布団を剥ぐと俺の体は包帯でぐるぐる巻きだった。

 これは相当ひどい怪我だったんだな……。


「ん……ん……う〜ん……」


 掛け布団を剥いだ衝撃でラークは目をこすり出した。


「あ……ゲッツァ君……」


 俺は眠そうな目をするラークと目が合った。

 仮面は付けていない。


 俺はラークと見つめているだけで何も会話が生まれない。

 ラークも寝ぼけているのか……。何も言ってこないな……。

 この大きな目をいつまでも見つめていたいものだな……。


「おはよう……ございます……」


 一応、こちらから挨拶を……。


「あ〜〜!!!」


 急にラークが大きく目を見開くと後ろに仰け反るようにして奇声を発した。

 俺は慌てて耳を塞いだ。


「ラーク……うるさい!」


 と言うと、部屋の外の方から――ドンドン――という足音が聞こえてくる。

 そして、こちらへとどんどん近づいてくる。


 ――――バタン――――


 勢いよく扉が開くと、扉の向こうにはエマとエルロンが立っている。


「ゲッツァ!」「ゲッツァ!」


 2人は声をシンクロさせた。

 こう言うところを見ると兄弟だと感じるな。


 2人は俺が寝ているベッドへと近づいてきた。


「もう大丈夫なのか?」

「うん……大丈夫ですけど……」

「そうか……エマ。急いで村長を呼んでこい!」


 エルロンが命令をすると、エマは「はい!」と元気よく返事をすると、長めのスカートを引きずり家の外へと飛び出していった。


 そして、ラークはまだ体勢をのけぞらせている。


「ほんとにお前は………もう目を覚まさないかと心配したんだぞ!」


 相当切羽詰まっている表情だなエルロンは……。


「目を覚まさない………?」

「おう!お前リュウガを倒して帰ろうとしたら、急に倒れ込んでそれから3日間も寝むっていたんだぞ!」

「三日間も!」


 俺も大きな声を出してしまった。

 

 三日間も……。


 まじかよ!そんな大怪我だったのかよあの時……。

 そりゃあラークのあの反応にも納得だな……。

 心配をかけてしまったみたいだな……。


「ラーク……」


 ――――バタン――――


 と言いかけた時に先ほどの扉が壊れるのないかと言う勢いで開いた。


 村の住民が十数人一斉に入ってきた。


「ゲッツァく〜ん!」

「ありがとう。ちっちゃいの!」


 あっという間に俺のベッドの周りは入ってきた住民によって囲まれ大騒ぎとなった。

 

「おい、ちょっと待ってくれよ〜。イテテテテ……」


 流石に大人数で騒がれては傷に響いた。

 それより、俺はラークに何かを言わないといけないのに……。

 

「皆のものちょっと待たんかい!」


 大きな声をあげて遅れておじさんが入ってきた。

 この一言で部屋中は静かになった。


「あ、村長!」


 住民はそう声を上げると、ベッドの周りを囲んでいた住民は尊重のために道を開けた。

 

「ようゲッツァ君!久しぶりじゃのう」

「お、俺のことをビンタした……」


 村長と呼ばれているおじさんは以前、俺にビンタをしたことがあるおじさんだ。

 まさか……またビンタをするわけじゃないよな……。

 

 村長は俺のことを舐め回すように眺める。

 すると、いきなり土下座をした。


「え……急にどうしたんですか!」


 条件反射で俺は声をかけた。

 


「この前あった時はすまなかった。わしもこの村を守るので必死だったんじゃ!」


 村長は本当に申し訳なさそうにしていた。


「ああ、わかってますよ……俺も別に気にしてるわけじゃないんだから!とりあえずみんな無事だったんですから……」


 村長はポロポロと目から大粒の涙を流した。

 

「ありがとう……本当にありがとうゲッツァ君………。」


 村長が泣き崩れると色々な人々が続けて感謝をしてきた。

 

「お前さんのおかげでリュウガ一家に捕まっていた者たちが解放されこの地域の村々はお主に感謝してたぞ!」


 村長の後ろにいた男性が言った。


「そうか。それならよかったです!」


 俺はニッコリ微笑んだ。

 その顔を確認した村長は涙を堪え微笑んだ。

 


 涙を拭き体勢を起こすと村長はくるりと背後を向いた。


「皆のもの今日は宴だ。急いで取り掛かれ〜!」

「お〜う!」


 村のみんなは一斉に家から飛び出して行った。

 なんかこの村は住民の取り掛かり方が何事も慌ただしいな。


 本当に……。

 

「まったくだぜ……うちの村の者たちは。」

「ほんとですわ〜!」


 エルロンの呆れた言葉にエマは優しく反応した。

 

「よ〜し俺も宴の準備に行ってくるは!ゲッツァ、それまでゆっくり休んでおけよ!」

「わかりました!」


 俺はグッドサインを突き出した。

 エルロンも少し微笑むと家の外へと出ていった。

 

「ゲッツァ君。私も村の準備をしてくるね!」


 エマもそう言うと部屋を出て行こうとした。


「は〜い……一応伝えとくと、俺お腹が減っているのですが……」

「もう宴まで我慢しなさーい!」

「え〜……」


 まあ、我慢してやるか。


「ラークも宴の準備に行く?」


 エマの質問にラークはお馴染みの真顔で首を横へと振った。


「わかったわ!それじゃあ暇になったらラークもおいでね!」


 すると、エマもラークを部屋に残すと外へと出て行った。




 これでやっとラークと2人か……。


 ラークはさっきの体勢のまま、俺に目線を合わせた。

 うん……真顔だ。


「ラーク……俺ってどうなったんだ?」

「た、倒れたんだよ!」


 カタコトな言葉で返してくるな。


 ――――ポロリ――――


 突然、ラークの瞳から涙が流れた。


「ゲッツァ君……心配したんだからね……本当に……」


 ラークの声は震えた。


「あ、そ、そのごめんなさい……」


 俺が謝ると、ラークは立ち上がり俺の元へと寄ってきた。

 まさか……これは……。

 

 すると、ラークは俺の両手を取った。


 まさか、抱きついてくるのではと淡い期待をしたが……。


「心配したんだよ……本当に……無事でよかった……」


 ラークに取られた俺の手にラークの涙が何粒か落ちてきた。

 この涙はどこか暖かくて重たい涙だな……。


「ひどい出血だとは思ってたけど……ゲッツァ君が大丈夫って言ってたから……」


 たしかにあの時は痛みも感じなかったし、アドレナリンが出ていたのか。


「ごめん……あの時は痛みもなかったんだ」

「全然大丈夫じゃなかったじゃん!3日間も寝ていたんだよ!みんなは大丈夫って言っていたんだけど、私は……もう起き上がらないんじゃないかって……」


 そうとう追い込まれていたようだな……。


 もしかして、3日間も俺の横に付きっきりでいてくれたのかな……。

 申し訳ないな……。


「もう……無理しないです……」

「本当にそうして……もう急に倒れられるのは……わたし、やだよ……」


 ラークは俺の両手をギュッと強く握った。


 強い意志が感じられた。


 もう、これに対して俺は「ごめん」と言う一言しか出てこなかった。


 それくらいラークを追い込んでしまったんだ。

 自分自身のことを軽視しすぎたのかもしれないな!


 俺はそっとラーク手をギュッと握り返した。


 それから数分は俺の手を離さないままにラークは泣き続けた。



 ラークは泣き終わると、俺の手をそっと離した。


「次、倒れるような無理をしたら許さないからね!」

「はい……」


 俺は優しく返す。


「じゃあ、私はみんなの宴のお手伝いに行ってくるからね!」


 というと、いつものラークの調子を取り戻すと扉を勢いよく開けて外へと出ていった。


 ふ〜……。

 みんなに心配をかけてしまったな〜。


 それに、俺が油断していなかったらあんな不意打ちも喰らわなかったしな。

 反省しないとだな……。


 でも、あれほど心配してくれるのだなラークは……。

 ちょっと嬉しいような……。


 だからこそ、俺はラークのことだけでなく自分のことも大事にしないとな!

 ラークを悲しませてしまうし……。

 

 それにラークの涙はこれで見るのは3度目だな……。

 孤高の姫様もちゃんと女の子してるよな……まったく……。

 もうラークを泣かせてはいけないな!


 俺は自分の中でひっそりと目標を立てた。


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