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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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49、決着


「くっそ……不意打ちかよ……」


「ふ……ふ……ふはははははあ……何戦いの最中に敵に背を見せているんだよ!」


 リュウガの声は地下に響き渡る。


 くっそ……足が言うことを聞かねえ……。

 それに、この攻撃を受けたのは不味かったな……。


 俺は牢の手すりを使いながら何とか立ち上がった。

 でも、圧倒的に劣勢だ。


 それに、さっきの魔法でリュウガがやられたと判断した俺が悪いしな。

 しっかり、確認するんだった。


「火魔法“火拳(ヒートナックル)“」


 リュウガは再び拳に火を纏った。


 ――――ゴン――――


 その拳は俺の顔面を襲いかかった。


 俺は攻撃を喰らうと数メートル吹っ飛んだ。


 足の自由が効くならこんな攻撃……貰わずに済むのに……。

 それにリュウガの火力は普通に高い……。


 めっちゃ痛え。

 俺の額からは血が流れる。


 リュウガは攻撃の手を止めようとしない。


 俺に近づき再び持ち上げると、今度は壁へと、俺を投げつける。


 ――――ドン――――


「ぐはっ……」


 俺の口からは血を吐き出す。


「はっはは〜。ガキの癖に調子に乗るからこういうことになるんだよ!よくもさっきは散々俺をやってくれたなあ……」


 くそ……これはまずい……ガチで死ぬぞ……ラークはまだか……。

 もう俺はラークに頼るしかない。


「リュウガ!てめえいい加減にしろ!」

「もうやめて!子供をそんな扱いしないで!」

「頼むからやめてくれ!殴りたいなら俺を好きなだけ殴ってくれ!」


 その光景を見ていた牢に捕まっていたものたちからは次々とそのような言葉が飛び交った。

 

「うるせえおめえら!そこから叫んだって何もできないんだからな!」


 牢の人々の声は虚しくリュウガに一掃されてしまった。


「くっそ!あんな小さい子供が痛い目に遭っているというのに…………」

 

 リュウガはまたしても俺の胸ぐらを掴み持ち上げた。


「何すんのよ!」

「その子をどうするつもりだ!」

 

 リュウガはニヤリと笑った。


「なあに?殴り殺しにしてやんだよ!永遠の苦しみを与えてな!火魔法“火拳(ヒートナックル)“」


 これはもう終わりだな……。


 ――――――――――


「やめろ!!!」


 牢の奥から図太い声が響き渡った。


 その声はその場の誰もが静止してしまうほどの声量が地下内に響き渡る。

 俺の耳も少し痛い……。


「あ?急に声を上げてどうしたんだよ!エルロン!」


 リュウガがそう言うと、視線を牢屋の奥の方へとやる。

 すると、図太い声の音源には、牢屋の壁に手足手錠で繋がれて立ち往生している青年がいた。

 

 エルロン……?


 どこかで聞いたことのあるような……。

 

「頼むからその子を殺さないでくれ………」


 弱々しい声でエルロンはそう言った。


 ――――ボン――――

 

 リュウガは俺のことを床にポトンと落とした。


「どうしたんだ!そんな弱った声で……そんな状況でよく俺に頼み事ができるなあ!まあこうしてみると懐かしいなあ。数年前、お前がこのアジトを襲撃したことが。あの時も俺の部下ほとんどがやられちまって、思い出しただけで腑が煮え繰り返るぜ!」


 数年前に俺らと同じことを考えていた奴がいたんだな……。

 エルロンとかいうこいつは相当な実力者のようだ……。

 

「その子をどうか助けてやってくれ!俺の命でも渡してやる。」


 エルロンは真剣な眼差しでリュウガに訴えかける。

 

「あ?今頃何ほざいてるんだよ!」

「頼む……俺の命で勘弁してくれ!その子を殺しちゃならねえ……」


 エルロンの決死の願い……。

 

「やだね!」


 リュウガには通用しないようだな……。


「お前は愛しの妹さんの前で殺してやるんだよ!それまでは殺さないから安心しろ!」


 妹…………?

 

 俺は急に何かを思い出した。

 エルロンという名はどこかで聞いてあると思っていたが……。

 

「いもうと……って……エマ…のことか………?」


 俺は何とか喉に力を入れると、カスカスの声を発する。


「なんで妹の名前を………?」


 やはり図星のようだな……。

 

「そんなすぐに死ぬとか言っちゃダメだぜ……。そんなこと言ったらエマが悲しんじまうだろ……」

 

 


 “死“……。そんな軽いものではない。

 一度死んだ身としてはわかる。

 今は噛み締めるほど“生”にしがみつく意味が……。


 俺が死んだ後、どうなったのだろう……。

 部長やたくみは全国大会へと行けたのだろうか……。

 そんなこと、この世界に来てから初めて考えるけどさ。


 何か残ったのかな?


 俺が死んだことによって……。

 部長の命と言えばそうだろうが……多分、残ったのは悲しみだけだろうな……。

 思い出だって。生きているから残せるもので、死んでからは残すことなんてできない。

 だから俺の家族でも友人でも俺が生きている時の思い出はあっても俺が死んでからの思い出の中には俺がいなくなる。


 この世界に来てからもそうだ。


 父、ロイズ……。名前は聞いたことある……。

 みんなにとっては英雄の思い出が残っているが、俺の中には何も残っていない。

 

 母、ピサロ……。俺を必死に逃がしてくれた母親だ。

 あの決死の判断が俺を生かしてくれた。


 しかし、母ピサロの記憶はあの一瞬だけ……。


 俺は記憶が今でもあるからいいけど……双子の……ミュウラか…。

 ミュウラの中にはピサロの思い出は無いのだろうな……。

 それに、俺だってあの一瞬だけで母親の人格、人柄、顔立ちから体温まで全て感じることなんてできない。

 だって生きていないから……。


 生きてこそしか成しえないものなのに……。


 俺も以前、以前人の命のために自分の“生“を投げ出した身……。

 こう言う逆の立場になると、意外にすっきりしないものがあるのだな……。


 母ピサロが身を投げ出して俺のことを守り抜いた時とは違う感情だな。

 それに……。



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