46、リュウガ一家
「完成しました〜!」
「ううぉおおお……」
これはこれは……とても美味しそうなお鍋だ。
「これは2人で作ったの?」
「イエス!」「イエス!」
女子2人は声を揃えて言うとシンクロさせてグッドサインを俺へと突き出した。
「ラークって料理できたの?」
「できるわよ!お手伝いとかしたことあったし……」
少しムキになっている。
少しからからかってみるのもいいな……。
3人は席につき、声を揃えて合掌をすると、鍋へと手をつける。
久しぶりの汁物だ。
これは懐かしい。色々な具材が俺の口の中で味のハーモニーを奏でる……。
とか適当な食レポは置いておいて……。
「ご飯中で悪いけどさ……何でさっき襲われていたんだ?」
――――ん?――――
エマに聞いた時、鍋を一気に口に含みすぎたエマは口をリスのようにしていた。
とても話せる状況ではないな……。
エマは急いで飲み込む。
「焦らなくていいよ……」
エマは全て飲み込むと重苦しそうに語り始めた。
「昔、この村は決して栄えてはいなかったけれど自然が豊かで平和な村だったんです。私はそんな平和な暮らしが大好きだった。私に限らず村のみんなもそんな暮らしを好んでいたの……しかし、そんな平和が続いたある日に悪夢が起きたの………。それが先ほど襲ってきたリュウガ一家の侵略であったの。彼らはどこからか私たちの住んでいたこの村に目をつけ、襲ってきたの。最初は私のお兄ちゃんでこの村で唯一魔法が使えたエルロンがリュウガ一家を討ち払っていった。しかし、ある日、リュウガ一家の策略にハマってしまい………それからこの村はさっきのようにリュウガ一家には逆らえない状態になっているのです………」
長い話ではあったが何となく事情は理解した。
ラークも何となく理解した感じだ。
つまり、この村はリュウガ一家のせいでこのように貧相な村になっていると言うことだな……。
「先ほど、おじさんがゲッツァ君に怒っていたのもリュウガ一家に逆らってしまったことに対して怒っていたのね……」
ラークは俺よりもずっと先を理解していた。
「そうなんです。先ほどのおじさんはこの村の村長なのですが、私としてはとても嬉しかったのですが、村の状況を考えるとまずいっていることですね」
俺は発言に少し引っかかった。
「それっておかしいじゃねえかよ!エマをあそこで守れなかったら、村を守れていないじゃねえかよ!」
「村長やこの村の住民も助けたいなら助けたいはずですよ……でも、リュウガ一家に逆らえなくて苦しんでいるんですよ。それに捕まってしまった私が悪いですし……」
そのエマの表情はとても悲しそうだった。
俺はどうやらこの表情を見逃すことができなさそうだな……。
「ラーク……ちょっとだけ寄り道をしてもいいかな?」
………………。
何も返事が返ってこないのでラークを見る。
すると、鍋を一気に口に含みすぎたラークも口をリスのようにしていた。
「お前もかよ……」
ラークはとんでもない速度で口を動かし飲み込んだ。
「私も寄り道しようと思ってたところ!」
どうやら俺らの意見は同一だったようだな……。
この辺は似てるのかなあ。考え方がな……。
「エマ!俺らがそのリュウガ一家っていう奴らを倒してくてやるよ!」
「えええ!!」
エマは座っていた椅子を倒すほどにのけぞり返った。
「大丈夫か?」
「はい……大丈夫です」
エマは起き上がった。
「リュウガ一家は危険です。それにあなたたちは私と同じようにまだ子供じゃないですか?いくら強いって言ったってリュウガ一家はとても凶暴な大人です。それに魔法も使います。勝ち目なんて全くありません!」
かなり強めに否定された。
ならこちらもそれなりに強いってことを証明しないとな……。
俺は席を立ち上がるとテーブルから少しだけ離れた。
「水魔法”水玉“」
俺は手に小さな魔法を作り出した。
「ええええ!魔法が使えるんですか?」
エマはまた椅子を倒すぐらいのけぞり返った。
「ああ、使えるよ」
エマは腰を床についた状態で呆然と眺めている。
「もしかして……ラークも使えるのですか?」
するとラークも同じように手に小さな魔法を作り出した。
エマはもう目が飛び出しているのではないかという反応だ。
「使えるよ!それに、私はゲッツァ君よりも強いんだからね!」
「余計なこと言わなくていいよ……」
「ごめんなさい……」
まあそんなこんなで俺らがそれなりに強いということは伝わったみたいだな。
まあ、若干エマは引いているが……。
そして、エマとラークが作ってくれた鍋もペロリと食べ終わり、すっかり疲労も回復した。
「リュウガ一家のアジトってどこにあるんだ?」
「たしかここから真っ直ぐ南に行ったところにあります……それより本当に行かれるのですか?」
「うん……俺がリュウガ一家に手を出しちまったんだ……自分の尻は自分で拭かないとな……」
ラークも後ろの方で頷いている。
俺らはご飯を食べ終わると、先ほど俺が手刀で仕留めたリュウガ一家の1人が目を覚ましたので色々と事情聴取を行った。
最初は「お前らぶっ殺すぞ!」とか「俺にこんなことしたらリュウガ様がタダじゃおかないからな!」などの強気な発言をとっていたが少し脅したらすぐに俺らに詳しい情報を吐き出してくれた。
リュウガ一家は総勢100人ほどいる野党団。
ボスの名前はリュウガ。
リュウガは強力な火魔法を使うらしい。
それに、魔法を活用できるものも中には数人はいるらしい。
その全員が火魔法の使い手らしい。
どうやらリュウガは火の国の少年学校の仲間何人かで作り上げて大きくした組織らしく火魔法を使えるものが多いらしい。
ここは魔法を使えるのが当たり前だと思っていたしっかりと練習や教えてもらっていないと魔法を使えないらしいな。
環境が環境だったため、そんな当たり前のことを俺は知らなかった。
無論、ラークも魔法が使えない人がいるの?みたいな表情をしていたがな……。
事情聴取が終わったら縄+俺の草魔法のつるでぐるぐる巻きにして置いた。
多分もう身動きは取れないだろうな……。
これで俺らが帰って来るまで安心だな。
俺らは外へと出た。
そして、ウマオをエマの家の前に連れてくると、2人でウマオの馬上へと乗り込んだ。
「じゃあ、リュウガ一家をやっつけてくるよ!」
「安心してエマ!私とゲッツァ君に任せて!」
後ろのラークもそう言っているのだから大丈夫だ。
気合い十分だ。
「もしかしたら……もしかしたら……まだ、私のお兄ちゃんのエルロンがまだ生きているかもしれません。できたらでいいので……助けてやってください!」
エマは少し不安そうだな……。
ここは優しい言葉をっと……。
「エマ!必ずリュウガ一家を倒して、お前の兄ちゃんのエルロンを助け出してやるよ!」
ちょっと臭かったかな?
でも、エマも俺を見る目が少し変わったような気がする。
よし、大丈夫そうだな。
「よし、ウマオ!真っ直ぐ南に向かって出発だ!」
「ヒヒ〜ン!!」
ウマオは遠吠えを吠えると南に向かって真っ直ぐに駆け出していった。
「ゲッツァ君があんな自信満々のセリフ言うなんてね」
ラークは俺を後ろからいじってきた。
「うるさいです。エマが不安そうだったから安心するために言っただけです」
「そうなの〜?でも、ちょっぴりだけ……かっこよかったよ!」
「くあ……くあっこい……」
俺は状態を大きく崩した。
「大丈夫?」
ラークが大声を崩した俺を手で支えてくれた。
「大丈夫です……すみません」
かっこいいだと……。
不意打ちのかっこいいは喰らうな……。おかげでウマオから落ちそうになったぜ……。
ほんとにラークはこういうセリフを無意識で平気に言うからな……。
困るよ。単純に。




