45、旅の続き
ナルーモナルを出発してから6日が経過した。
道中になかなか村や街が見つからずに夜は野宿を6日目を迎えた。
ウマオを木に結びつけ水魔法で水をやる。
そして焚き火を展開すると飯を食べる。
やはりこういうサバイバル生活みたいなものも6日も続けてくると飽きるものだな……。
そして、野宿もそろそろキツくなってきた。
最初は自然の中で寝るという抵抗があったがそれは徐々に薄れてきた。
しかし、6日間も自然の中で寝ていると背中が痛くて痛くて、そろそろフカフカのベッドで寝たいものだ。
それに魔物は寝ない。
だから夜襲というのはよくある事だ。
そのため、睡眠の際はどちらかは起きて見張っていなければならない。
「ゲッツァ君……そろそろ交代の時間だよ……」
ラークは眠そうに目を擦る。
「いや、俺はまだ眠くないから大丈夫だよ!」
「でも……そろそろゲッツァ君も寝ないと……」
「いや、やばくなったら俺からお願いするから大丈夫だよ!」
「ならお言葉に甘えて……」
俺は強がっている。
だから大体、俺の方が長く見張りをしている。
ラークにかっこいいところを見せたいってのもあるが一番は……ラークの寝顔が見れるのだ!
旅の最中は仮面を徹底しているのだが、この寝る時間だけは仮面を外している唯一の瞬間だ。
それに寝顔が可愛い。うんとても……。
これを見るだけで俺は元気になるし、もっと頑張ろうという気持ちになる。
まあ、ちゃんと限界が来たらちゃんと変わるのだが……。
この日は限界が来たらしっかりラークに変わってもらった。
そして、次の日の朝を迎えた。
眠い目をこすりながらウマオの上に揺られている。
「大丈夫?」
「うん……」
ラークに心配されるくらい俺は眠気と戦っているのは何となく分かっている。
しかし、休める場所がないのだから仕方ないよな……。
「あ、あれって!」
突然、後ろでラークが指を刺してきた。
俺もそちらの方へと目をやると、村のような小さな集落を発見した。
普段なら夜必要もないのだが、今は絶対に寄りたい。
「ウマオ進路変更だ!」
――ヒヒーン――
ウマオも雄叫びを上げるとその村へと全力で駆けて行った。
ずいぶん貧相な村だな……。
まあ、贅沢を言っている場合ではないよな……。
ウマオを村の端っこに結びつけると村の探索をした。
貧相ではあるが村の規模感はかなりありそうだ。
それに、建物とかは破れたり壊れたりはしているが、それがなかったら綺麗で大きな村のはずだがな……。
なぜこんなにボコボコになっているのだろう……。
それに人気が全くない。何だか不気味な村だ。
――――きゃああ――――
突然、村のどこからか若い女性の声が聞こえてきた。
俺はその声に気がつくと体が勝手に反応し、声が聞こえた音源へと向かって駆けて行った。
「あ、ちょっとゲッツァ君〜」
突然駆け出していった俺にラークは驚いている。
「きゃああ離して〜!」
「うるせえ。騒ぐなよこのクソ女。大人しくしやがれ!」
音源には金髪でロングの少女がタトゥーの入ったゴツい男に髪の毛を捕まれて引っ張られている。
その光景を見た俺は居ても立っても居られずにその男と少女の間へと入った。
「おい何してんだよ?」
「あ?」
タトゥーの入った男は捕まえていた少女から手を離すと俺に向かってガンを飛ばした。
「おい。嫌がっているだろ離せよ!」
「フン。てめえリュウガ一家に口答えするとは生意気なガキだな。」
リュウガ一家……何だそれは……。
「リュウガ一家?何だそりゃ?」
「ほう。リュウガ一家を知らないとは生意気なガキじゃねえか。ならすぐにリュウガ一家の怖さをわからしてやろうか!」
タトゥーの入った男は先ほど掴んでいた少女を蹴ってどかした。
「きゃあ!」
大男の蹴りだ。その瞬間に俺の中で何かがキレた。
「てめえ……ふざけんなよ?」
「あ?さっきからお前口の聞き方がなってねえんだよ。おらあー!」
すると、タトゥーの入った男は俺に向かって襲いかかってきた。
俺の背中は一瞬熱くなった。
しかし、目は冷静だ。相手の動きをしっかり捉えられている。
おそい……!
――――トン――――
俺は突っ込んでくる男の素早く背後に周りこみ、首元を手刀でストンと一発で仕留めた。
「が、がが………」
タトゥー男は気持ち悪い音を立ててその場に白目を向き横たわった。
俺はその男が気絶したのを確認するとすぐさま少女の元へ駆けつけた。
「大丈夫ですか?」
少女は乱暴な扱いをされていたが目立ったような傷はついていなかった。
とりあえずは一安心だ。
「あ、、ありがとうございます!」
――――ギュッ――――
「ちょ、ちょっと……」
助けられた少女は少し涙をこぼしながら俺へに抱きついた。
俺は突然の状況に驚いた。
何たって女子に抱きつかれることなんかないからだ……。
すると、ラークが追いついた。
………………あ!
この状況はまずい……。
その光景をラークは呆然と眺めていた。
「ごめん離れて……お願い」
俺は小さい声で少女にお願いした。
俺は焦っていた……。
一番見られたくない瞬間を見られているのだから……。
しかし、少女は離れない。
「本当にありがとうございます!どう感謝を伝えればいいかわかりません。本当にあなたは命の恩人です!」
感謝されるのはありがたいのだがこの状況は嬉しいより心配が勝つって……。
「い、いや〜……それほどの事じゃねないですよ………それよりさ、離れてくれるかな?」
ようやく耳に届いたようだ。
少女は何かにハッと気がつくと急いで申し訳なさそうに離れた。
「ごめんなさい……」
その少女は俺にではなく奥にいたラークに謝った。
「いや、私は何もしていないよ……」
「でも、すみません!」
何やら申し訳なさそうだ。
俺に謝ってくれよ。本当に……。
「でどういう状況なの?」
「なんか、この子がそこのタトゥー男に襲われていて……助けた……」
なんかぎこちがない説明をした。
「そう言うことね……で、どうして襲われていたの?」
ラークはその少女に尋ねる。
すると、助けられた少女は表情を曇らせた。
「それは…………」
その少女は何か言いずらそうに口元を止めた。
「大丈夫だよ。安心して……」
ラークの声は優しく強さを感じる声だ。
ラークは優しい声を聞くと少女は言いにくそうな口を持ち上げた。
「ありがとうございます。実はこの村は……」
――――バン――――
何かを少女が言いかけた時、一人のおじさんがすぐ前の扉から出てきて俺らの元に駆けつけてきた。
「お主!何をやっているんじゃ!」
「何って……」
なんか俺に説教をしてきた。
俺は困惑した。
村の少女を守り、守った少女からも感謝されていたのに……この男は俺に向かって怒って……
どう言うこと?
「…………へ?」
「へ?じゃねえわバカタレ!リュウガ一家に手を挙げるなんて……」
――――ペチ――――
おじさんは俺の頬を一発ビンタをした。
痛くはないけど……。
「これじゃこの村は終わりじゃ……」
そう言うと、再びおじさんは家の中へと帰っていった。
「ちょっとゲッツァ君は何も悪いことしていないでしょ?」
ラークの声は虚しく、おじさんの耳には届かなかった。
「なんで俺、叩かれたんだ?」
俺はよく状況が飲み込めていない。
すると、先ほど助けた少女が再び俺らに頭を下げてきた。
「本当にすみません。捕まってしまった私が悪いですから。そんなことより助けてくれてありがとう!私の名前はエマ。よろしくね!」
「よろしく……」「よろしく!」
俺らは声を揃えて言う。
「もし、あれだったらうちに寄らない?何かお礼もしたいし……」
と言うことで俺とラークはリュウガ一家と名乗っていたタトゥー男を縄で縛りつけると、エマの家へと来た。
エマは家に着くなり、すぐに俺らに飲み物を用意してくれると、何やらキッチンの方で忙しそうだ。
すると、ラークも立ち上がりキッチンの方へと消えていった。
「私もあれなら手伝うわよ!」
「いや、大丈夫です。客人にそのようなことはさせません!」
「そ〜う?」
そう言うと、ラークは近くに置いてあった包丁を手に取ると並べられている野菜を切り始めた。
「いや……本当に大丈夫ですよ」
「お手伝いさせてよね?それに……さっきから私に気を遣っている感じだったから……何でだろうなって……」
エマはギクッという表情をとった。
ラークはエマのその表情を見ると少し吹き出すように笑った。
「やっぱり、図星だったのね?何をそんなに気を遣っているのよ〜?会って間もないっていうのに」
すると、エマは少し頬を赤た。
「いや…その……お相手がいるのに……あんなことしてしまって……」
ラークはピンと来ていなかった。
「だから……お相手がいるのに抱きついてしまったことです!」
エマは頬だけでなく顔全体を赤くした。
すると、ようやくラークも理解したようだ。
「あ〜さっきゲッツァ君に抱きついてたことね?」
「ゲッツァ君……って言うんですね。白髪の子」
「そうそう。いいやつだよ〜。それに勘違いだと思うけど、私とゲッツァはそんな関係じゃないわよ!それに私には別に許嫁がいるからね……気を使う必要なんて全くないんだよ!」
「え…………?」
エマは驚いた表情をしている。
「ああ…私ったら……先走っちゃって……」
「ははは……エマって面白いね。だから気を遣わないでね!私の名前はラーク。よろしくねエマ!」
ラークの自己紹介を聞くと、エマも笑顔になった。
「私はエマ。よろしくねラーク!」
2人は意気投合をすると、一緒にご飯を作り始めたのであった。




