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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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43、国問題


 ラークとゲッツァが抜け出した翌日、水の国は大騒ぎになっていた。


 ここは水の国のお城、青城。

 ここでは緊急の会議が開かれていた。



「これから水の国、緊急会議を始める。今回の議題としてこの国の姫で次期女王であるラーク姫が行方不明となっている件についてである」


 大きく丸いテーブルには王族が座っている。

 その後ろには上級貴族が数名、テーブルを囲うようにして立っている。

 会場全体はピリついていた。


 1人の品がありそうな服装に少しの付け髭がついている男が挙手した。


「まずは、ラーク姫はいつ頃からいなくなったのでしょうか?」


 すると、先ほどから会議の司会をしている金髪の男がそっと立ち上がる。


「最後に目撃があったのは2日前の放課後です。学校帰りにいつも通りこの城へと帰ってきています。そのため、いなくなったとしたらこの日の夜中か次の昼間という可能性が高いでしょうね」

 


 すると周りの王族たちはザワザワとし始めていた。


「ラーク姫が脱走?」

「いや、あの真面目で人見知りのラーク姫が脱走なんて考えられません!」

「もしかして誰かに連れ攫われたのではないでしょうか?」


「でも、ラーク姫は頭脳、魔法ともに明晰でそいじゃそこらの人なら連れ去るのは困難でしょう……」

「じゃあ自ら逃げ出したってことか?」


「そんなことするか!あんなに真面目なラーク姫がそんなことをするはずがないだろう!連れ攫われらんだ!」

「じゃあ誰にだよ!」

「すげえ強い大人だよ!いくらラーク姫が強くたってこの前13歳になったばかりの少女だぞ!」



 王族たちは会議どころではないようにして慌てふためいている。

 それにつられるようにして後ろに立っていた上級貴族たちも慌てふためている。

 もう会議どころの話ではなくなってきている。


「皆のもの静粛に!」


 金髪の男が立ち上がり声を発すると王族たちは一気に静まり返った。


「ラオ・フェルナンデス様……どうされますか?」


 そう。この金髪で会議の司会をしている男こそがラオ・フェルナンデス。レオの父親である。

 レオと似て男前で、威圧感がある。



「とりあえず、このまま議論を我々でしていても埒が開かないだろうな……」

「じゃあどうされますか?」

「女王様をお呼びしよう!母親なら何か手掛かりとか知っているかもしれないからな……」


 すると、1人の男が立ち上がり部屋を出ていった。


「女王様をお呼びする。それまではこの場に待機をしていてもらう!」


「はい!」


 王族たちは口を揃えていうとその場で待つこととなった。



「女王様が来られました」


 その声が聞こえると先ほどまで話していた王族とかは黙り尽くした。

 すると、扉が開いていく。



 ――――――――



 水色の綺麗な髪の毛は背中まで伸びている。


 そして、品性かつ美しさを持った顔だちは皆に釘付け。

 透き通るほどに美しい肌は輝いて見える。

 白く大きなドレスはよりその人物の美しさを際出せた。


「女王様!」


 皆が口を揃えて言う。

 

 この会議をしている部屋に女王が入ってきた。

 圧倒的な存在感はこの国の象徴そのものだ!


 しかし、その水色の髪だったり美しい顔立ちからは何となくラークの面影があるようにも見える。


 女王は部屋に入るとゆっくりと足を進めた。

 そして、ラオの横に用意されている一際、豪華な椅子に腰を下ろした。


「女王様。よくぞお越しいただきました」


 ラオは隣に座る女王様に頭を下げ、ゆっくりとあげた。


「いいのよ。娘の問題なんだから私が出席しないわけにはいかないものね……」


 そして、一息つくとラオは再び皆の方へと顔を向けた。


「それでは改めて会議を再開しようと思う!」


 すると、王族たちが再び姿勢を正すと議論が展開された。



「私はラーク姫が攫われたという可能性が大きいと思いますよ。ラーク姫がいくら強くたってまだ13歳なんだ。あと、2、3日もすれば連絡が入り多額の金額を要求されるのではと思いますぞ!」

「確かにそれはありますね……多額のお金が欲しいのなら一番良い手段ですしな……」


 このようにラーク姫が攫われたという可能性の方で議論が進んでいった。

 それに対して、皆も前向きな方向だった。


 しかし、そんな中で1人の男が手を挙げた。


 ラオはその男を指名した。


「みんなのものは攫われたという可能性で話は進められているが他の可能性は思いつかぬのかね?例えば……許嫁がいるのにも関わらず、他の男と結ばれたいと希望を示してこの国を男と2人で出ていったとかな……」


 その一言で会議室はシーンとなった。


 しかし、その状況に関せずにその男は話を続ける。


「なぜそんな反応なんだい?別に驚くことではないだろう?だってラーク姫の母親は似たような前科があるのだからな……」

「フィッツ!そのような無礼な発言はよせ!」


 その状況にラオは止めに入った。


 しかし、そんなラオのフォローにも関せずにさらに続けた。


「無礼?どっちかだ?女王様はこの国を巻き込んだ大事件を起こしたんだぞ!みんなも忘れてはいないよな?」


 すると、王族たちは静まり返ったようにしたを向き始めた。

 中には軽く頷くような仕草を取るものもいた。


「それにラオ?お前の息子はラーク姫の許嫁なのだろ?もっと警戒をしていたほうがよろしいのではないか?俺みたいにならないためにな……」


 その発言にもラオはくるものがあったらしくラオも黙り込んでしまった。



 この先ほどから場をかき乱す男の名はフィッツ。

 現女王の許嫁であった人物だ。


 

 ――これは今から少しだけ昔の水の国のお話だ。



 水の国女王のロザリーはこのフィッツと結婚する予定であった。


 しかし、少年学校で出会ったカルバーツという少年に恋に落ちてしまう。

 カルバーツは頭の方はそこまで良い方ではなかったが、魔法の成績は頭が何個も抜けて1番だった。

 

 その代表的な例で言うと12歳の頃には水魔法の上位魔法である氷魔法を使えるようになっていた。

 カルバーツは上級貴族の家系であったが王族を凌ぐほどの魔法の力に王族たちは頭を抱えていた。

 もしかしたらこの少年に水の国を乗っ取られるのではないかという不安に……。


 そんな中で教室内で省かれ気味だったカルバーツと唯一親しげにしていたのがシーエーだ。

 カルバーツは彼と常に一緒にいる感じだった。


 ロザリーは魔法の成績は悪くはないのだが、姫としては情けない程度の実力であった。

 そのため、必死に毎日強くなるために朝から日が暮れるまで1人で修行を欠かしていなかった。


 ある日に修行で追い込みすぎたロザリーが1人、魔道場で倒れていた時のことである。

 

 (はあはあ……もう動けない……誰か助けて……)


 ロザリーの足は限界に達していた。


 この日は試験で目標にしていた順位が出せずにロザリーは悔しさのあまりに放課後、自分のことを追い込みすぎたのだ。


 ――――バシャン――――


 ロザリーの頭に大量の水が掛けられた。


「大丈夫か?俺が忘れ物を取りに帰ってきてなかったらお前死んでたぞ!」

「あなたは……カルバーツ……」


 ロザリーは掠れる声で何とか声を出した。


「おお……俺の名前を知っていてくれたんだな?」

「あたりま…えよ……あなたは…さい…きょう……だものね……」


 するとロザリーは気を失ってしまった。


 ロザリーが目を覚ましたのは王室のベッドの上であった。


 その後聞いた話だとカルバーツという少年がお城まで運んでくれたのだと教えてもらった。

 それからロザリーはカルバーツを少しだけ意識をするようになった。


 そして、カルバーツは昔から可愛いとは思っていたのだけど、このお城までロザリーをお姫様抱っこをして運んだイベントをきっかけにロザリーに恋に落ちてしまったのだ。


 そこから学校生活を進める中でカルバーツはロザリーに幾度も告白を行った。

 その気持ちには答えたかったロザリーであったが自分には許嫁がいるためと割り切り断り続けていた。


 

 そんな中で2人の関係を一転させるような事件が起きた。


 2人は少年学校を卒業すると、ロザリーは女王の見習いとして政治への参加。カルバーツはシーエーと共に国へ使える兵士として仕事に専念していた。


 この時は2人とも意識はしていたがカルバーツも半ば諦めていたところであった。


 それはというとロザリーは20歳という節目に女王を継ぐこととなり、そのタイミングで許嫁のフィッツと結婚をするのが決まっていた。


 この時の2人の年齢は19歳。

 結婚まであと、1年という時間まで迫っていたのだ。



 そんなタイミングで事件が起きた。

 水の国へと魔界から1人の白髪の青年が訪ねてきたのだ。


 訪ねてきた理由というのは――カルバーツという青年の勧誘だった。


 訪ねてきたのはロイズという青年で魔界の最前線で指揮役として猛威を振るっていた。


 そんな中、最前線に来ていた兵士で水の国の少年学校を出たものからカルバーツという少年の噂を聞きつけてわざわざ足を運んだらしい。


 そのロイズの勧誘をカルバーツは断り続けた。

 なんで行かなければいけないのかと……。


 そんなある日にロイズからある提案がされた。


 “俺に勝つことができたのなら好きにしろ!しかし、俺に勝てなかった場合は俺の言うことを聞いてもらう“と……

 好奇心旺盛でこれまで誰にも負けたことなかったカルバーツはその提案に乗り、2人は戦うこととなった。


 その結果――カルバーツは負けた。


 そうカルバーツは圧倒されたのだった。


 その試合を観戦していたロザリーも衝撃を受けた。

 まさかあのカルバーツが負けるなんてと……。


 負けたカルバーツはロイズという男の言うことを何でも聞くと。受け入れた。


 しかし、ロイズがしてきた命令というのは「魔界へと来い」ではなく、「お前みたいに弱い奴は魔界にはいらない」であった。

 カルバーツはその言葉に悔しさを覚えた。


 


 その戦いの後、カルバーツは1人で夕日を見ながら黄昏ていた。


「どうしたのカルバーツ!あなたらしくないじゃない?」

「ロザリー……」


 ロザリーはカルバーツの横へと腰を下ろした。


「悔しかったの?」

「ああ……悔しかった……」


 カルバーツは静かに答えた。


「魔界に行きたいの?」

「いいや、行きたいわけないだろう?あれだけ断ったんだぜ。あっちから引いてくれて助かったぜまったく……」

「そう?私は……あなたが魔界へ行きたくてウズウズしているように見えたんだけどさ!」


 その言葉にカルバーツが衝撃を受けた。

 


「そんな顔しているのか?」

「しているわよ!」

「じゃあそうなのかもな……」


 カルバーツは軽く照れるように頭をかいた。


「何で素直に魔界に行きたいって言わないの?」

「それは…………」


 カルバーツは言いにくそうな顔をしていた。


「私がそばにいないからでしょ?」


 カルバーツの顔はさらに赤くなった。


「な?……そんなんじゃねえし別に……」

「あなたのことなら何となくわかるのよ!だって30回以上も告白を断ってきているのだもの……」

「正確には34回な!」


「本当に未練がましい男ねあなたは……私なんてもう来年には結婚するのが決まっているのにさ!」

「別に…いいじゃねえかよ。俺はお前がいないと頑張れない体なんだよ!」

「なにそれ。きもいね」

「きもいって何だよ!」


 喪失感漂っていたカルバーツはいつの間にか笑顔になっていた。


「で、魔界は行かないの?」

「行かねえって……」

「じゃあ私が魔界に行けば行ってくれる?」

「は?」


 突然のロザリーの提案にカルバーツは不思議がった。


「私はこれからロイズさんにお願いして魔界へ連れて行ってもらうわよ!」

「お前!女王になる身としてそんなことして大丈夫なのかよ!」

「さあ?分からないわ。でももう私は水の国にはいないわよ!カルバーツはどうするの?」



 その提案にカルバーツは魔界へと行く以外の選択肢を無くすと2人でロイズの元へと行き、魔界へと連れていってもらうように頼み込んだ。

 ロイズも女王を連れていくのは拒んでいたが、あまりの熱量に連れていかざるえなくなった。


 そして次の日。3人は船に乗ると水の国を後にしようとした。


 しかし、そんな彼らに迫ってくる影が1人。シーエーだった。


 シーエーは出発されていた船に思いっきりジャンプして飛び乗るとギリギリで間に合うことができた。

 シーエー曰く俺だけ置いていかれるのが気に食わなかったらしい。


 それから4人で魔界の最前線へと向かうと毎日、戦いの日々に追われた。

 そして、無事にカルバーツとロザリーは結婚。

 2人とも戦いの日々で忙しかったが、ようやくロザリーのお腹に新たな命を授かった。


 しかし、そのタイミングで水の国にロザリーの居場所がバレてしまい、ロザリーは水の国へと回収され、カルバーツは魔王を倒すまで魔界から出ては行けないという精算を行わなければいけないこととなった。


 その時に授かった子供というのが――ラークだ。

 

 それからロザリーは女王として反省をして今日まで責務を全うしている。





「フィッツ黙りなさい!」


 女王は立ち上がるとフィッツに鋭い視線を向けた。


「は?お前のせいでどれだけの人に迷惑変えていると思っているんだよ!」

「それに関しては私の問題よ。反省はしっかりしている。しかし、今回の問題は娘の問題よ。私の話は関係ないわよ」


 するとフィッツは小さく舌打ちすると席に腰を下ろした。


 会議はそれからスムーズに進んだ。


 結論から言うと、ラーク姫は何者かに攫われたという方向で今後は考えていくそうだ。

 理由としてはラーク姫は今まで、何事も真面目に取り組んできており自ら国を出るなんてことをしないという信頼からの判断であった。


「それでは今回の会議は終了する。これから少しの兵士を派遣しようと思う。そして、魔界で戦っている戦士にもこの情報を伝えるようにしておいてくれ!さすがに魔界にはいないとは思うが、念には念だ。いいな!」


 ラオの一声で会議は終了した。



 王族たちはピリついた空気から解放されとても気持ちよさそうであった。


「今回は会議に出席いただいてありがとうございました」


 ラオは女王へと頭を下げる。


「いいのよ。私の娘の問題だからね……」


 女王は席から立ち上がると自分の部屋へと足を進めた。

 

「少しいいですか女王様……」


 レオは戻っていく女王を引き留めた。


「何ですかラオ?」


 するとラオは鋭い瞳を女王へと向けた。


「女王様は本当はラーク姫はどうしていなくなったのだと考えますか?」


「さあね?攫われたのが無難だと思うけど……」

「そうでございますか……飛んだ無礼をいたしました」


 ラオは慌てて頭を下げた。


「いや、いいのよ全然」


 すると、女王は自分の部屋へと帰っていった。



 女王は自分の部屋に戻ると重苦しいドレスを脱ぐと楽な格好に着替えた。


 着替えを取り出した棚の上にはラークの幼少期を描いた絵とロザリーとラークが2人が一緒に並んでいる絵。そして……カルバーツを描いた絵が飾られていた。



「まったく……やっぱりあの子も私の娘だと思わない?ねえ……カルバーツ……」

 

 ロザリーはカルバーツが映されている絵をそっと取ると少し微笑んだ。

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