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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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43/60

42、宿2



 用意された部屋に入ってみると小さな部屋にベッドが二つとテーブルが一つのオーソドックスな部屋だった。


「ラーク、一部屋でよかったの?」


 するとラークはなに言ってるの?みたいな表情をしてきた。


「私だってお金は無限じゃないのよ!たくさんは用意はしてきたけど、何年かかるかわからないんだから節約したほうがいいでしょ?2部屋なんて贅沢はできないよ!」


 ああ、お金のためね……理解理解。


 でも、そう考えると俺って男として意識されていないんだろうな……。

 よく考えると、誕生日の日もレオと、許嫁と結婚をするのも受け入れるって言っていたしな……。

 俺はな……まあいいかとりあえずは!

 俺は一旦現実逃避をすることにした。



「どうします?今日はご飯?」

「う〜ん……どこかで食べるのもいいけど、仮面をとって食べたい気分だから部屋で食べたいな……」


 確かにそうだな。ラークは外に出る時は常に仮面をつけている。

 一応、仮面をつけたままでも食事はできるのだが、それはそれで難儀だろうしな……。


「じゃあ、外に屋台とかたくさん並んでいましたからそこで適当に買ってきてこの部屋で食べますか?」

「それ名案!」


 俺らは合致すると街へと出て屋台を見ることにした。


 あれはなんだろう……?パン屋かなホットドッグのようなものか……。

 それにこっちはなんだろうスープを売っているのか?スープ単体で売るなんてなかなか見ないけどな……。

 それにあれは米の上に何か肉のようなものをかけているな。牛丼を思い出す。よし、俺はこれにしよう!


「すみません!それ一つください!」

「はいよ!お兄ちゃんいま何歳だ?」

「12歳です!」

「じゃあ食べ盛りだろう……特別に米を大盛りにしてやるからな!」

「え、いいんですか?」

「いいってもんよ。ホレ!たくさん食べろよ!」


 手にはホカホカの米、その上にはまだジューっと音を立てている肉が乗せられている。それにタレがたっぷり。


「ありがとうおじさん」

「おう!こちらこそな!」


 俺はしっかりとお金を払うとおじさんに手を振りその場を後にする。



 あれ?そう言えばラークは……。

 食に意識を向けていたらラークを見逃していた。

 俺はキョロキョロと首を上下左右に振る。



「あ、ゲッツァ君いたいた!」


 ラークの声が聞こえ振り返ると……

 手には山盛りの野菜が積まれていた。


「え?これ全部食べるんですか?」

「いや〜普段、こういうのしたことなかったから興奮してたくさん買っちゃった!ゲッツァ君も手伝ってね!」


 部屋に戻ると「いただきます!」を行うと俺らは夕飯へとありついた。


 肉と声が噛み合いとても美味しい。それにこのタレもたまらない。

 味なしのオークの後だから尚更美味いって感じる。


 一方でラークは……野菜の山をちまちまと食べている。

 これは俺が手を下さないといけない気がするな……。


 結局はラークは3割程度しか食べ切れる事ができず、俺が残りの7割を食べた。

 いくら野菜でも俺は腹がはち切れそうになった。


 ラークにもう無理と言っても「それだと作った人に申し訳ない」と言われる……だったらこんなに注文するな!なんて言えないぐらいラークのお願いに弱いな俺は……。


 今までの人生で一番無理したかもしれないな……。


「ありがとうねゲッツァ君」

「次からは気を付けてください……」


 俺はもう瀕死だ。

 起き上がることは困難だろうな……早く消化されることを願おう。



 ご飯を食べ終わり、俺が回復してから今後の作戦会議だ。

 テーブルに世界地図を開くと次の目的を決めるために話し合う。


「魔界に行くには2つのルートがあるんだけど、一つ目は船に乗って行くルートで二つ目は陸を歩いて行くルートだね」

「ゲッツァ君は魔界から水の国にくる時はどのルートできたの?」

「俺が来た時は船のルートだね!」


 俺は地図を指した。水の国から真っ直ぐ西に大きな船が通っている乗船場がある。この船に乗る事ができたら魔界まで一瞬で入る事ができる。俺も前にシーエーさんと帰ってきた時にはこのルートで来たからな。


「あ?でもそのルートって……」


 ラークは何かに気がついたように言った。

 俺もなんとなく国のことを予習してきたのだが、ラークは、水の国の姫だもんな。


「実はそうなんだ!この船のルートは多分いけないんだ。理由としては水の国の戦士とかが良くこの船を使い派遣されたり帰ってきたりしている。だから多分、この乗船場は水の国の人がいっぱい出入りしているんだよ!」

「そうね。そうなると私が姫だってバレる確率が上がるもんな。じゃあもう陸のルートしかなにのね?」


 ラークは頭脳も明晰だ。話が早くてありがたい。


「そうなるね。そうなると……」


 俺は再び地図を指した。水の国から南西にサナヒラという大きな街がある。ここが唯一陸から魔界へと入れるルートだ。


「このサナヒラから入るのが無難だろうね!」

「そうだね。じゃあ明日からはここを目指して出発だね!」


 何となく方向性は決まった。


「とりあえずは相当な距離を行かなきゃいけないから馬は必須だろうね!」

「馬か……馬って高いよなあ〜」

「うん……さっき見て来たんだけど、私の手持ちだったら何とかはなりそうだよ!」


 これはさすが姫の財力といったところか……。

 これにて今日の会議が終了した。



 俺は会議が終わってからも地図を見ながら1人で考え事をしていた。

 なぜかというと地図には魔界の途中までしか書かれておらずほとんどの地域が?で表示されている。


 そして、俺の故郷といってもいいホールグリットが何処にもないのだ……。

 今は、最前線が何処ら辺なのかもわかっていないし、考えなければいけないことが山積みだ。

 その前にまずは、サナヒラへと向かわなければいけない。


 サナヒラまでの道のりを考えても3、4ヶ月はかかりそうだ!

 それにそこから魔界へと入り、最前線までは不明だ。

 それからラークが姫さまというのも隠し続けなければいけない。

 これは先が思いやられる旅になりそうだ。


「どうした〜?難しい顔してるよ!」


 俺が1人で地図を眺めているとラークが声をかけてくれた。


「いや、ちょっとね……長い旅になりそうだな〜って」


 すると、ラークは俺の前に来ると俺の頬を両手でサンドウィッチにするように潰した。


「にゃにしゅるんじゃしゅか?(なにするんですか)」

「せっかくの旅なんだからそんな顔していても楽しめないわよ!確かにお父さんに会う事が目的ではあるけど、そんなに1人で抱え込まなくていいんだからね!」


 ラークの優しい言葉+頬を触られている状況……。

 ラークの顔が正面にある。


 天国かここは……。

 

「わかりゅましゅた……てをはにゃしてくじゃさい!(わかりました……手を離してください)」

「なにを言っているの?」


 ラークは俺の表情を見ると笑顔になっていた。

 俺も気がついたらラークと一緒に笑っていた。


 確かに、俺は少し気負いすぎたのかもしれない……。

 今という状況をもっと楽しんだ方が良いかもしれないな……せっかくのラークと2人旅なんだ。

 もっと目の前に視点を向けたほうが良いかもな!


「じゃあそろそろ寝よっか今日は疲れたし」

「はい……昨日は一睡もしていませんからね!」


 いつもよりは少し早めの時間だが、俺らは睡眠不足と魔物との初めての実戦を経験して体は疲れていた。

 先ほど、水魔法でシャワーぽいのは浴びてきたから少しは体はすっきりとしている。


 もちろん別々だからな!

 俺らの体は温まりもう寝るだけになっていた。


 俺は部屋のろうそくを消した。

 すると、部屋の中は真っ暗な闇へと包まれた。


「おやすみねゲッツァ君……」

「おやすみなさい……」



 部屋の光を消してからしばらくしてからラークのスヤスヤと寝音が聞こえてきた。


 しかし、俺はなんか部屋の光を消してからなんかソワソワしてきた。

 

 よくよく考えてみると隣で好きな人が寝ているのだ。

 何となく罪悪感というものがある。


 それに何となく緊張もするし……。

 なんか眠れないな……。


 するとラークのベッドが擦れる音が聞こえる。


 寝返りを一つ打ったのだな……。

 ベッドの距離は体育の体力テストである反復横跳びをするぐらいの距離だろうか……。


 ラークは俺が、隣に男の子がいるのにも関わらずスヤスヤと気持ちよさそうに寝ているな……。

 本当に俺って男の子として意識されていないんだな……。


 もう俺は12歳だぞ!

 それなりに大人になった気がするぞ!


 でも、向こうの世界では小6か……。

 ならまだギリギリ大丈夫なのかな〜。


 そう自分の中で気持ちを整理したはずだったのだが、俺はなかなか寝付けずに旅立ち1日目を無事に終了した。

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