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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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39、然らば


 俺は水の国の少年学校には入ってから初めて学校を休んだ。


 理由としては準備を行わなければいけないからだ!

 

 出航は5日後!

 無計画だが……まあなんとかなるだろう!


「おばさん!世界地図ってあるかな?」

「世界地図?ないと思うけど……急になんで?」

「いや、ないならいいんだけど……」


 おばさんは不思議そうな顔をしている。

 

 やはりおばさんには言わなければいけないよな……。

 そう思いながらもおばさんの前を後にする。




 今日の夜もラーク姫に会った。


 裏山で綿密な計画を立てる。


「おばさんに聞いたんだけど、おれん家には世界地図がないです!」

「ああ、それなら私が用意しておくね!」

「それと、お金は……」

「ああ、お金ならできるだけ私が用意しておくね!王族はたくさんあるからね!」


 ほとんどラーク姫の準備だ。

 少しは役に立ちたいものだ!


「船はどうしましょう?」


「それがいちばんの問題ね!私がいくら姫さまだからって船を用意してもらうのは……できるかもしれないけど、怪しまれるのは当然ね!」

「なるべくバレないように行かないとだから……」

「そうなのよね……」


 抜け出す計画の手筈はなんとなくは整った……。


 しかし、船の問題にぶち当たっていた。

 水の国は島国で、辺り一面が海に囲まれている。

 ここを出るにはどうしても船の確保が必須となる。

 2人とも頭を悩ませた。


「盗むしかなさそうかな……?」


 その発言にラーク姫は難しい顔をした。

 この国の姫が泥棒を働くなんて……といった表情だ!


「仕方ないわね……うん!そうしよっか」


 うん!それしかないもんな!しょうがない。


「漁船なら盗めそうですよ!沖合に盗めそうなのが何個かありますから!」

「うんそれを盗もうか!でも、きっちりお金は払うつもりだよ!」


「どうやってですか?」

「船があった場所に箱に詰めたお金を置いておくの!そうすれば盗みじゃなくて買取だから……」

「そこは辺はちゃんと姫さまをしていますね!」

「“そこら辺は“ってなに?いつもちゃんと姫さまをやっていますけど……」


 ラーク姫はムスッとした表情をしている。

 この顔も可愛いものだな……。


 そして、予定と手筈は十分に整った。


 出発は4日後!


 この裏山で会うのも今日で最後!

 まあ、それはそれで寂しいけれど、これからは一緒に旅をする仲間になるのだ。


 きっかけをくれたこの裏山にも感謝だな!

 思えばこの裏山とは6年の長い付き合いだ!

 裏山での思い出が走馬灯のように脳内を巡った。



 ありがとう……裏山!


「じゃあ、今度は4日後の夜にね」


 ラーク姫は仮面をつけ、城へと帰る準備を進めた。


「あ、待ってラーク姫!」

「なに?」

 

 俺は1人で決められない事があった。

 おばさんのことだ。


 昨日からどうすれば良いかをずっと考えていた。

 でも、1人では結論を出す事ができていない。

 そんな時に相談できる相手がいるなら……


「ラーク姫に相談っていうかなんだけど……」

「うん。聞くよ!」


「俺にはこの水の国に来てから俺の面倒を見てくれていたおばさんがいるんだけど……どうやって別れるかで悩んでいてさ……何も言わずに出て行くのかとか、それとも、置き手紙とか、色々考えたんだけど……1人じゃ結論が出なくて……」


 すると、ラーク姫はう〜ん……と一言言ってから、


「直接言ったほうがいいと思うよ!」


 真っ直ぐにそう言った。


「でも……それじゃあ色々バレちゃって大変になるんじゃないのかな……?」

「大丈夫だよ!突然、自分の孫的な存在が家から音沙汰なくいなくなったら不安になるでしょ!私がいけなかったのかな〜って。だったら、ちゃんと感謝を伝えてからの方が良いと思うよ!」


 直接言うと言う選択肢を入れていなかった俺は少し驚いた。

 が、共感はした。

 おばさん目線だったら絶対そっちの方が良いもんな!


「ありがとうラーク姫!明日ちゃんと伝えてみるよ!」

「うん。そうしなね!じゃあ私はここらでバイバ〜い!」


 そうして、ラーク姫と過ごす最後の裏山を後にした。





 俺が朝起きると美味しそうな匂いが鼻を刺激した。

 おばさんのご飯だな……。


「おはようおばさん」

「おはようねご飯できたよ!」


 さすがおばさんのご飯……6年間過ごしてきて一度たりともハズレがない。

 このご飯ともお別れか……。


 俺はご飯をいつも以上に噛み締めて食べた。


「ごちそうさまでした!」


 おばさんは俺の食器を片付けてくれている。

 でも、言った方がいいよな……。


 よし、言うぞ!


「おばさん……大事な話があるんだけど……」


 するとおばさんは少し驚いた表情で俺の方を向いた。


「あら、聞くわよ!」


 優しい瞳だ。


「俺、3日後に魔界へと、最前線へと旅立とうと思うんだ!」


 流石のおばさんも驚いた表情をしていた。

 そして少しの間が生じる。

 

 おばさんは口を持ち上げた。


「おばさんとしては少し寂しいけどね……。どっちにしろゲッツァ君は最前線に行くって最初から言っていたからね!気合い入れて行ってきなさい!」


 一言で即決してくれた。


「急でごめんなさい……」

「いいのよ!急なのは慣れているからね!男の子っていうのはね行動が早ければ早いほどかっこいいってもんなのよ。私としてはね、今まで見てきたゲッツァ君がねかっこいい男になってくれて嬉しいってもんよね……本当の親ではなかったけど、私もしっかり親ができていたんだろうなって思えるものね!」


 おばさんはとびっきりの笑顔で返してくれた。

 俺は少し食らうものがあった……。

 自分の感情を押し殺してこんな言葉をくれるおばさんに……。


「そうとなれば、あとの数日はご飯に気合い入れなきゃね!でも、家を出る直前には声をかけてよね!」

「ありがとうおばさん!」


 俺はこの家を悔いなく安心して旅出せそうだ……。

 旅立ちに唯一あった蟠りを今打ち消す事ができた!


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