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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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32/61

31、関係2


「そろそろ帰ろっか!」

「はい……」


 夕陽は落ちることを辞めずに最後の残り火を俺たちを照らしていた。

 ラーク姫は海を後にして、その場から立ち去ろうとした……。


「ラーク姫……!あの……」


 俺は呼び止めた。


「なに……?」


 ラーク姫は振り返ると、俺の方を向いた。

 仮面はまだ横にかかっており、よく顔が見れる……。


 あれ……なにを伝えようとしたのかな……

 ラーク姫を呼び止めて何か言おうとしたのだけど……。


 ――――――――


「ラーク?」


 ラーク姫の後ろから男の声が聞こえてきた。

 この呼び捨てにする感じと……この声は……



「レオ!」「レオ!」



 レオがそこに立ち尽くしていた。


 なぜここに……?

 こんな人気のない質素なところに王族のレオがなぜ……?


 レオの様子を見ると、息が上がっている……。


 そして、服も意外と汚れば目立っている。

 学校で来ているような豪華な服とは違い、どこか安っぽい印象の格好をしている……。

 レオはランニングの最中だったようだ。


「なぜお前らがここに……?」


 先に口を開いたのはレオの方だった。


 そりゃあそうなるよな……。

 こういう状況は2度目だ……。

 その時は話しかけてこなかったが……。


「いや……ただ……」


 うまく状況が説明できないな……。


「私が海に行きたくて!ゲッツァ君を誘って来たんだ!」

 俺の言葉をかき消すようにラーク姫がはっきりとそう言った。

 

 レオはその発言に眉間に皺を寄せた。


「海に行きたいのなら1人で来ればよかったんじゃなにのか?」


 重苦しい空気が流れる……。


「いや……ゲッツァ君と行きたかったんだ!」

 

「へ?」


 俺と行きたかった……。


 まじで……。

 なんか……すごい……俺の心臓がドキドキする。

 そんなことを思ってくれていたのかラーク姫は……。

 

 いや、案ずるな案ずるな……多分、ラーク姫は俺のことを守ろうとしてくれているのだ!

 確かに、どこかへ行こう的なことを言ったのはラーク姫だが、海へと連れて来たのはこの俺だ……。

 平民のくせにラーク姫を連れ出したなんて言えば俺は多分、国に殺されてしまう……。


 すると、レオは急に笑い始めた……。


 すごく不気味な笑みだ……。


「やはり!男ったらしの女王の血は争えんなラーク!いくら城内では真面目に生きているお前にも本性が出始めたな!」


 すごい嫌味だ……。

 正直に俺はブチギレそうだ……。


「レオ!私のお母さんのことをそんなふうにしていうのはやめて!」


 ラーク姫の表情は曇っている。

 ここで自分の悪口より親へのことで怒りを覚えるのはラーク姫らしいが……。


「だってそうじゃねえかよ!お前の母親の女王のせいでどれだけこの国に迷惑かけたんだと思っているんだ?」


 この国の女王さまは何かをやらかしたのか……?

 これは平民の耳に入れるには重い情報のようだが……。

 あまり関わりたくないな……。


「それに昨日……お前の教育係だったジジイが死んだそうじゃないか……。みんなが国のために命を尽くして精一杯頑張っているっていうのにお前はこんなところで“許嫁“がいながらも他の男と日が暮れるまで遊んで……。死んだジジイはどうんな気持ちだろうな?お前をあれだけ大事に優しく育てあげてくれたジジイは……」


 さらにレオは釘を打ってきた。

 いよいよ……度が過ぎてきたな……。


 レオの発言にはラーク姫はなにも返せなかった。

 ただただ、その場所に立ち尽くしているだけだった……。


「レオ!お前はどういうつもりだ?」


 俺の堪忍袋の尾が切れた。


 ラーク姫の前へと出て、レオとラーク姫の間へ体を捩じ込む。


「あ?平民が……まずレオ様だろ?」


 そうだ……。こいつはこういう性格だったな……。

 でも、今は立場なんてどうでも良く感じる!

 大事件になった時には俺が全ての罪を被ろう!


「平民で悪かったな?でも、これ以上の言い合いはやめにしないか?もし、辞める気がないなら……正直、俺には立場や身分がない分、なんでもできるんだよ!この場でお前を潰すこともな?」


「おっと……それは遠慮してもらおうかな……。正直に君には勝てないし、俺にとってはそこまで重要な出来事ではない!」


 あっさりと引きやがった……。


 王族がある所以か……。そして、ラーク姫の弱みも握っている……。

 レオの言う通り、レオからしたらなにもメリットがないからな……。


「じゃあ俺はここで帰らせてもらうよ!邪魔をして悪かったな!」


 そう言うと、レオは俺らに背を向けた。


「ただただ、許嫁から言わせてもらうと……女王になる身として自覚が薄すぎるんじゃないのかってね?あんな事件があったのにな……ね?ラーク“姫“」


 あえて“姫“をつける辺りに性格の悪さを感じる……。

 レオは続ける……。


「それにゲッツァ君だったけな?この事は一応、内緒にしてあげるから安心してくれたまえ!将来、この国の王となるものは心は寛大じゃないといけないからな……。それに君は平民ながら強大な強さがある……。将来は私の僕となって最前線へと行きその命が尽きるまで存分に働いてもらおうじゃないか!」


 そう言うとレオはその場から立ち去ってしまった。


 レオが嫌味のつもりで言った発言だろうが、まあそれが俺の本当の目的だからな……。

 本望というやつだ!

 まったく痛くも痒くもない……。

 

 それにしても事件とはなんなのか……。

 何かこの国はとんでもない闇を抱えているのかもしれない……。


「ごめんね!ゲッツァ……」


 ラーク姫の表情は曇ったままだ……。

 先ほどまで2人で海に入り楽しくしていたのだが……。

 落ち込んだラーク姫の表情はもう見たくなかったのに……。


「いえ!俺も出しゃばりすぎました!」

「ううん……ありがとね……」


 ラーク姫はそう言うと、再び顔に仮面をつけた。


 俺に何かを隠すように……。

 正直にラーク姫は弱っているだろうな……。


「ラーク姫……!ラーク姫が困っている時は俺をいつでも頼ってくださいね!俺は男ですけどもラーク姫に許嫁がいることはちゃんと把握しています!そのため、恋愛感情等は一切抱いていませんので安心してくださいね!」


 ………………。


 めちゃくちゃ嘘だがな……。


 どこかラーク姫とまた距離が離れてしまうと思った怖さからだろうな……。

 まあ、この感情は本当に閉まっておかないととんでもない事になるしな……。

 俺にもラーク姫にも目指す道筋がまったく違うのだ!

 全てを叶えようとするなんて虫が良い話だ!


 ただただ……俺が好きになったラーク姫の足が少しでも軽くなるだけでも……。

 それだけでも……それだけでもいい気がする!

 それが今の俺にできる選択だしな!


「ありがとうね!ゲッツァ君!」


 ラーク姫はこの時はどんな顔をしているのだろうか……。

 仮面の内側を俺は読み取ることができなかった。


 日がちょうど落ちにかかった。

 辺りは薄暗くなってきた……。


「じゃあ私は行くね!今日はありがとうね!」

「こちらこそありがとうございました!楽しかったです!」


 そう言うとお互いが逆方向へと向かって行った。


 今日は鍛錬をしていないな……。

 シーエーさんに怒られるかな……。


 まあ、5年間も毎日休まずに続けているのだから1日くらい許してくれるか……。

 昔、シーエーさんは「休むことも修行だ!」と言っていたしな……。

 まあ、まったく休まらなかったけどな……。


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