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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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31/62

30、関係


 俺は今、目の前には涙を流しているラーク姫がいる……。


 何を声を掛ければ良いのか……?

 まず、どうすれば良いのだろうか……。


 ここでいきなり撤退するのはよくないと思うし……。

 何か話しかけた方が良いよな?


「学校では話さないって約束だったよね……?」


 すると、ラーク姫の方から話しかけてくれた……。


 潤った瞳が俺の目に飛び込んでくる……。

 只事ではないのだろうな……と。


「そうだったね……」


 こういう時に言葉が見つからない……。

 沈黙が流れる……。

 この沈黙も懐かしい感じがするな……。


「じゃあ学校じゃなかったら良いんだよね……?」


 へ……?





 俺は今、水の国の端の端の方へと来ていた。


 水の国は島国だ。

 国の周りは海に囲まれている……。


 で、来た場所というのが……そう海だ!


 3月の海だ……。砂浜にも誰もいない……。


 それにここは城下町からも少し離れていることから元々、人気が少ない場所だ!

 顔に吹きかける潮風がどこかしょっぱい気がする……。

 

 海をチョイスしたのは俺だ!


 急にどこか学校外のところに行くと言って迷ったのだが……。

 まあ、この場所はシーエーさんとも来た場所だ!


 シーエーさんがこの場所を紹介するときに言ったことは……「この場所はカルバーツが14回目の失恋をした場所だ!」っと……。


 あいつは……本当に……。

 


「わああ〜!海だ〜!」


 ラーク姫は靴と靴下を脱ぎ捨ていると、海の中へと一目散に入っていった。

 意外に子供っぽいところもあるんだな……。


 いつも、姫という立場で気を張ってばかりいるからな……。どちらかと言ったらこっちが素なんだろうな……。


 1人ではしゃいでいる……。

 すごく楽しそうだ……。


 しかし、表情は見れない……。


 少年学校を出る時に、ラーク姫はボブの髪の毛を後ろの方でひとつ結びにすると、謎の白い仮面をかけていた。

 人にバレないようにする変装だろう……。


 確かに、これじゃ誰かわからないもんな……。


 変装も甲を制して本当にバレずにここまで来れた。


 5年間か……一回も話していなかったからな……。

 監視の目も今は全くもって感じない……。

 だから大丈夫だろうな……。


 それにしても、3月の海は冷たかろうに……。


 大丈夫なのだろうか……。

 でも、楽しそうだ……。


「ゲッツァ君もおいでよ〜!」

「待ってください……」

「早く早く!」


 俺も来ておいて入らないわけには行かないだろう……。


 俺はズボンの袖を捲る。

 ラーク姫はスカートだからその必要はなかったようだな……。


「つめた!」


 ヒ〜やっぱりめっちゃ冷たいじゃん!

 海の冷たさが俺の足先を刺激してきた。


「ふふふ……」

「笑わないでくださいよ!ラーク姫は冷たくないんですか?」

「冷たくないと言ったら嘘になるけど、それ以上に海に興奮してるっていうか……」


 夕陽もこんがりと焼けて景色もとても綺麗だ。

 波の音も静かでとても良い……。

 と、太陽を見てボーッとしていると、


 ――パシャ――


「何するんですか?」


 いきなり水をかけて来た。


「なんかずっとボーッとしてたからつい……!」


 ラーク姫の声は跳ね上がっている。

 表情は見れないが仮面の下は多分、笑顔だろうな……。


「もういっちょ!」


 ――パシャ――

 

 今度は俺の顔面のクリーンヒットだ……!

 これは許せん……。


「お返し!」


 ――パシャ――


 俺も手で水を掬うとラーク姫に向けてかける……。


 そこからお互いに火がついたのか水の掛け合い合戦だ。


 俺がかければ、ラーク姫はかけかえしてくる。

 2人で大騒ぎだ……。


 水魔法で水の掛け合いというのはいつものように行っているはずなのだが……。

 この水の掛け合いはなんだかとても気持ちが良い……。


 そして、とても楽しい!


 こんなの初めてだ!

 12歳になり初めて青春というやつを感じている。

 もう一度言う……とても楽しい!!!


 ただただ、ずっと水を掛け合っていたら足の感覚がなくなってきた……。


 3月の海は舐めない方が良いかもしれない……。

 2人とも足が限界に達した。


「ラーク姫!俺……もう足の感覚がないです!」

「私も……。そろそろ上がろっか……」


 俺たちは海から上がることとした。

 上がると気がつくことがある。


 俺は全身がびしょ濡れだ……。

 それに比べてラーク姫はあまり濡れていない……。


 普通はこういう時って加減ていうものをしてギリギリ濡れるか濡れないかぐらいの水の量をかけるはずなんだけどな……。

 ラーク姫は俺をびしょびしょにしに来ているな……。

 着替えなんて持っていないのに……。


「はいこれ!」


 すると、ラーク姫がカバンからタオルを取り出し、俺に渡してきた。


「良いんですか……?」

「うん!私は2個持っているから……」


 準備が良いことだ……。

 俺はそのタオルをありがたく受け取ると全身を拭く。


「は、ハクション!」


 俺の口からくしゃみが飛んだ。

 寒い寒い……。


「大丈夫?」

「はい!大丈夫です!」


 こういう時に真っ先に火魔法で体を温めたいものなのだが……。今は仕方がないな……。


 俺が全身を拭いているとラーク姫はもう靴下を履き、靴を履いていた。

 もう海へ来る前と一緒の格好だ!

 着替えが早いものだな……。


「今日は私のわがままに付き合ってくれてありがとうね……」


 ラーク姫は唐突に話し始めた。


「いやいや……俺だって楽しかったのでよかったですよ!」


 ………………。


 少しの沈黙……。


「私ね……。最前線に戦いへ行っていた教育係だったおじさんが亡くなっちゃってさ……」


 急に重い話だ……。


「小さい頃によく私と遊んでくれてね!私が少年学校へと入るタイミングで最前線の方へ行っちゃってね……。そんなおじさんが昨日、亡くなっちゃたって聞いてね……。どこにも拠り所がなかったんだ……」


「そうだったのね……。確かに今日はいつもと違ったもんね?」

「え?出てたのかな……。姫っていう立場上ね弱い自分はなかなか出さないようにしているんだけどね……私もまだまだだね!」


 そうか……。姫さまも姫さまで大変なのだな……。


 俺だってカルバーツやシーエーさんが死んだという話を聞いていたらどうしただろうか……。

 多分、学校になんて行っていないだろうな……。


 それに、学校へ行っていたとしても自然とみんなの前で涙を流していただろうな……。

 ラーク姫の強さというか強がり……っていうかを今、知った気がしたな……。

 ラーク姫の顔はどこか寂しそうだな……。


「もし……ラーク姫に辛いことがあったら俺がいつでも海へとお供しますよ!」


 やべ……。なんてことを言ってしまったのか……。


 何も考えてなかった……。

 あれだけ、距離を置こうと約束したのに……。


 すると、ラーク姫は仮面を横へとずらすと俺の方を向いた。


 ――――――

 

「ありがとう!」


 満面の笑みだ……。

 

 この笑顔を見た瞬間……俺の心臓の鼓動は早くなった……。


 あれ……?


 何か数年前に捨てた感情というか……。

 俺の中でよく見つめていなかった感情というものが戻って来るような気がした……。


 笑顔が……その笑顔が思い出してくれた……。

 俺……やっぱり……ラーク姫が……好きかも……しれないな……。

 そんな気がしている。いや、確信している……。

 やはり俺はずっとこの笑顔がずっと見ていたいな……。


 いつまでもラーク姫のことを照らし続ける夕日が落ちないでほしいと思った……。

 とにかくこの時間がずっと……。


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