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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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23/63

22、一年.1


 寒い季節が過ぎて暖かくなるような風が徐々に吹いている季節が来た。


 三月というやつだな……。


 この世界には桜はないから3月特有の桃色の景色は見れないが……。

 

 俺が水の国の少年学校に入ってから丁度、1年が経過しようとしていた。

 早いもんだな……。


 俺はいつものように早起きをして魔道場へと向かう。

 そこにあるのはいつも同じ景色――


「おはよう!ゲッツァ君!」

「おはようございます!ラーク姫!」


 この一言だけで1日のスタートが華やかに始まる。


 毎日、変わらず俺もラーク姫も朝練を行っている。

 特に変わり映えがない。


 月一で開催されるテストではもういつも通り、魔法のテストでは毎回2位。筆記試験では20〜30位を行ったり来たり……。


 やはり毎回、筆記でも魔法のテストでも1位なのはラーク姫……。


 やはり1年やそこらで追いつけるものではない。

 というかラーク姫も成長をしているから差は全くと言っていいほど変わっていない……。


 この朝練を通して水魔法を使う機会が多くなってはいるが、火魔法や電魔法の鍛錬は続けている。

 たった1年くらいじゃ水魔法に比べると、火魔法や電魔法の方が得意で強力な魔法を放つことができる。


 だからと言って水魔法が上達していないわけではない。

 水魔法も上達しているがそれと同じように火魔法や電魔法も成長しているということだ。


 でも……。

 それ以外の草魔法や花魔法、土魔法は全くやっていない……。

 何度かチャレンジはしてみているのだが……。


 やはり別の属性の魔法は自力での習得は難しそうだ……。

 シーエーさんが水の国を出る前に魔法に関する書籍は残してくれていたのだが……。


 やはり、1人でというのはハードルが高い。

 あの魔界のホールグリットという環境は良かったのだと改めて感じる。

 どの属性の魔法でも教えられる人が居たからな……。


 でも、今はこの環境でできることを全うする。


 だから、水魔法を中心に火魔法や電魔法というできる魔法のスキルをアップする。

 それが今できることだ……。



 そして、別に重要ではないが……俺のラーク姫の関係性だ……。


 うん……。特に変わり映えがない……。


 本当にこの魔道場で毎朝、一言、二言交わしてからそれぞれが自分の修行に移る。

 教室では特に話さない。

 教室ではラーク姫にはラーク姫の友達がいる。


 そのため、そちらはそちらで楽しそうだ……。


 俺は変わらず一人ぼっち……。

 でも、関係ない!ここに俺は馴れ合いをしに来ているわけではないからな……。




 いつもと変わらずラーク姫より早めに切り上げて教室に向かうと俺の隣の席にはレオが居る。


 レオは最近、あんまり俺に関わらなくなってきた。

 多分、魔法の成績が毎回3位だからな……。


 それに試験や授業をみている感じでもレオと俺の魔法の差は多分、だいぶ開いていると思う。


 いや、レオのレベルは確実に上がっているし、レオも真面目に頑張っているのが伝わってくるが……。


 正直言ってもう意識を向けるレベルではない……。

 レオもそれをわかっているのだろう……。

 俺には敵わないということを……。だから多分……。


 それにレオの周りにいた2人、コングという小太り栗やテオスという長メガネはテストの成績でクラス1とクラス2を行ったり来たりしている。


 そのため、最近はつるんでいないようだ……。


 しばらくすると、ラーク姫が教室にやってくる。


 1年経っても変わらず、教室に入ると黄色い歓声を浴びている。

 やはり、ラーク姫はラーク姫だなという感じだ。




 そんな変わり映えない日々だが、今日は少し特別だ……。

 先生が教室に入ってくるといつものように挨拶すると、教卓の前で先生はそのまま留まり全体を見渡している。


「よし!みんないるな……。今日は予定通り1年間の統括テストを行います!」


 教室からはため息や喜びの声が聞こえてくる。

 そう今日は統括テストだ。

 これはいつもやっているテストとは少し違う。


 1年に一回だけ学年の終盤に行うこの統括テスト。

 このテストはクラス40人がトーナメント形式で一対一の魔法による戦い。


 タイマンだ!


 ルールとしては魔法や格闘術を使って相手にシンプルに勝った方が勝ち。

 勝ちの基準としては、立ち上がれなくなったり、相手が「まいった」や先生が危ないと判断して止めに入ったら判定が決まる。


 気絶や大怪我に繋がるようなことは一切行わない。

 多少の怪我なら許容範囲らしい……。


 このテストをやるのには意味がある。


 いくら魔法のレベルが高くても実戦で活かせなかったり、負けてしまったら意味が無い。

 それに、このテストでは魔法の成績が悪いものでも人によっては上位へと食い込めるらしい。


 この水の国の少年学校は魔法の育成に重きを置いている。


 そのため普段、魔法の成績が悪いものでも身体能力が高いものだったり、戦闘IQが高いものだったりも排出する目的もあるらしい……。


 正直、7歳に実戦をやらせるなんて結構酷な話だ。


 でも、この魔法と魔物の世界では生き抜くことにそれが一番大事なことだ。

 クラスの中にはやりたくない者や怖いと感じる者もたくさんいるだろうな……。


 そんな俺は燃えていた……。


 実戦というのは久しぶりだ……。

 昔はというか3歳から5歳まではほとんど毎日やっていたからな……。


 シーエーさんやカルバーツや色々な人にボコボコにされていたのだが……。

 直近で言うと、ラーク姫に手も足も出ずに負けたことが最後だったな……。


 そう考えると、俺……実戦で一回も勝ったことがないじゃん……。

 じゃあ今日は気合いを入れてやって行きますか!


 初勝利とトーナメントの決勝ではラーク姫と再戦!

 正直に勝てる姿は想像ができないが……。水魔法しか使ってはいけないと言う条件はやはり厳しい。

 まあ、火魔法や電魔法を使ったらまあそれなりには戦えるだろうが……。


 まあ結局は負けそうだな……。

 でも、戦うチャンスがあるなら戦うべきだ!強者との戦いは楽しいからな!


 そんなことを考えていると先生がトーナメント表を黒板の前へと出した。

 

 ――――――


 魔法成績順に作られているのだろう……。


 俺とラーク姫が当たるとしたら決勝だな……。

 それと……レオと当たるとしたら準決だな!


 隣の席のレオの方を見る。


 鋭い目つきで闘気を全開で放っている。

 これは俺に向けての闘気だろうな……。無論、手加減をせずに勝ってやるよ!

 俺とレオの席の間ではバチバチに火花が散っていた。



 全員が魔道場へと移動して来た!


「まずはラーク・フリップ!と、コング・ピーター!前に出てこい!」


 あ、あの小太り栗はクラス1にいたんだな……。よく落ちていたから気が付かなかったぜ!

 ラーク姫と小太り栗はみんなの前に出てきた。


 小太り栗の様子に注目した。


 ブルブルに震えており、生まれたての子鹿のようだ。

 見た目は醜い豚さんのようだが……。

 いやそれは豚さんに失礼か……。


 2人は向かい合った。

 あんな状態で小太り栗は戦えるのか……?

 流石の俺でも心配してきた。


 まあ、ラーク姫なら加減というものをしてくれるだろう……。

 まあ、加減してもしなくてもどっちでもいいがな……。


「それでは1回戦……よ〜い……」

「スミマセ〜ん!」


 急に泣きながら小太り栗が手を上げた。


「マイリマシタ!」


 ………………。


 数秒間の沈黙に包まれる。


「勝者……ラーク・フリップ!」


 先生が判決を下すと周りにいたクラスメイトからドッと歓声が上がった。


「さすが姫様……戦わずして勝ったぞ!」や、「俺でもああしていたぜ!」なんて声が聞こえてくる。


 小太り栗は顔も涙でびしょびしょ……。おまけにお漏らしをしたのかな?貴族の高級そうなズボンもびしょびしょだ。

 言わんこっちゃないな……。本当に……。



「一回戦、最後かなこれが……。テオス・スデンナル!ゲッツァ!前に出てこい!」


 やっと俺の番だ!


 相手はと……長メガネだな!こいつもクラス1にいたんだな……。

 一回戦がこいつだと俺も遠慮がいらないな……。


 俺と長メガネは前へと出て行く。


「お前!平民のくせに魔法の成績はいいらしいな……。でも、これは実戦だ!降参するなら今のうちだぞ!」


 なんて言っている割に長メガネの足はブルブルと震えている。

 こいつらは本当に……。


「それでは一回戦最終試合……。よ〜い……スタート!」


 始まった。始まる前に降参すると思ったのだが……まあそこは評価してやるか!


「降参しなかったことを後悔させてやるよ!水魔法“水剣(ウォーターサーベル)”喰らえ!」


 おお!こいつは驚いた。そんな魔法が使えるなんて……。でも当たらなければ意味がないね……。

 俺は状態を90度に逸らすと綺麗に魔法は俺の頭上を通過した。


 俺は体勢を立て直すと、右足で強く踏み込んだ。


 ――――――


 俺は一瞬のうちに長メガネの懐へと入り込んだ。

 そして、ボディへグー!


 ――ドスッ――


「ごわあ!」


 長メガネは俺のボディに悶絶した。


「終了、終了!勝者ゲッツァ!」


 先生は慌てて俺と長メガネの間へと入った。

 俺がそんなに危険そうだったのかな?


 まあ、魔法を使わなかっただけ優しいと思って欲しいな……。

 まあ俺の人生の1勝目としてはこれでいいかな……。

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