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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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19/60

18、度量

 魔法の授業は非常に楽しい。


 


 あっという間に一日が終了した。


 一言で言うと楽しかった。


 俺も魔法の虫だな……。本当に……。


 あの3人組は授業が終わるなり「遊びに行こうぜ!」とか言ってどこかへと早々に消えていった。

 俺は早く帰って、裏山で修行をしようっと!

 そう思い、教室から飛び出した。


 玄関までに向かう途中に魔道場がある。

 そこを勢いよく通り過ぎると横目で人影が見えた。

 俺は一旦折り返すと、まさかと思い扉の影からそっと魔道場を覗く。


 ――――――


 やはりそうだ。

 ラーク姫だ。


 またしても人気のない魔道場で1人ながらも魔法をひたすらに打ち込んでいる。

 動きを見ても実戦を想定して動いているのが見て取れる。


 ………………。


 俺は何か心が打たれるものがあった。


 最初は王の血筋だから才能でここまで駆け上がってきていたのだと感じていた。


 しかし、それは俺の誤解だ。


 ラーク姫はそんな才能も持ち合わせながら人よりも何倍も努力を積み重ねている。

 王の才能×誰よりも努力の掛け算は生半可な気持ちで追いつけるような賜物ではない。


 朝や放課後の誰もいない魔道場で圧倒的な強さがありながら直向きに努力をする姿……。

 正直に悔しいというより負けたという敗北感の方がのしかかって来た。


 でも、負けていられないのは事実だ。

 俺はこの学校で一番になると目標を立てたのだ!


 正直に才能としては向こうは王の血筋かもしれないが、俺だって選ばれし白属性だ。生まれながらの才能で見るならどちらかと言うと俺の方が上だ!


 ラーク姫を越えるにはラーク姫と同等、いやそれ以上の努力をしなければならない。

 こんな姿を見せられたらもう言い訳はできない……。


 俺は魔道場を急いで後にした。



 少年学校から帰るとご飯も食べずに裏山へと向かった。


 水魔法をやりたいのは山々だったが、火魔法や電魔法を蔑ろにするわけに行かないため、この日は日が暮れるまで魔法に打ち込んだ。



 家に帰るとおばさんが冷えた料理を温めてくれた。

 ご飯の時間に帰らなかったのにおばさんは困った顔せずにご飯を出してくれた。


「すみません……おばさん……ご飯の時間までに帰らなくて……」

「いいのよ!ゲッツァ君は今まで気を使いすぎよ!このぐらいの方が面倒見があって可愛いものよ!」


 やはりシーエーさんの母親という感じだ。とても優しい。


「また……ご飯まで帰れなくなるかもだけどいい……?」

「なに〜!そんなことわざわざ言わなくても良いのよ!勝手に遅れて勝手に帰ってくれば良いんだからね!でもね怪我なく無事に帰らなかったら怒るわよ!良いね!」


 おばさんは優しい笑みで俺にそう言ってくれた。


 俺は少しこの言葉に甘えようと感じた。


 この日は相当な疲れだったため、いつも以上に熟睡した。

 シーエーさんの部屋で1人……。寂しさも消えてきてよく眠れるようになってきたこの頃……。


 


 次の日の朝、俺はいつもより早起きをして少年学校へと向かった。

 部活の朝練を毎日欠かさずやっていた俺からしたら早起きは何のそのだ!


 俺は朝早くから裏山に行くと修行を行う。

 そして、昨日よりも早い時間に学校へと出発をした。


 学校へ着くなり、魔道場を覗く……。

 するとそこにはもうラーク姫の姿があった。


 相当早い時間だぞ!


 まだ寝ている生徒だっているはずだし……。

 俺も朝から裏山で修行はして来てはいたが……。さすがに今日は俺の方が一番乗りだと思って来たのだが……。

 俺もまだまだだな……。


 そう思うと俺は魔道場を後にして教室へと向かう。

 


 やはりラーク姫は朝礼のギリギリに教室へと入ってきた。


 朝礼ギリギリまで魔法の修行を行なっていたのだろう……。

 みんなはラーク姫が教室の中へと入って来るといつも通り、挨拶をした。

 今日は挨拶をしなかった。


 何か変な空気にするのはよくないからな……。

 俺は教室の角の席でラーク姫に気づいていないかのように立ち振る舞った。


 すると、ラーク姫が遠くの席からこちらをじっと見つめてきた。

 え……?やっぱり挨拶はした方がよかったのか……。

 そんな気持ちになっていると隣にいたレオが足を組み机の上に乗せ、視線をこちらに向けた。


「っぷ……。今日はラークに挨拶しないんだな……。まあ身の程をわきまえたと言うことか……」


 こいつは本当にムカつく野郎だ。


 でも、ここで挑発に乗ってしまったら負けだ。

 立ち回りというやつはどこでも大事だ。


「そうだね〜」


 俺は無表情を作り、簡単に返した。

 その反応を見るとレオは面白くなさそうに「っち!」と軽く舌打ちをした。


 ってそれより……こいつ……。

 ラーク姫のことを今、ラークって呼び捨てしたよな……。

 クラスメイト全員が姫呼びの中でこいつだけ呼び捨てだと……。



 ――キーンコーンカーンコーン――

 

「今日の授業はここまで!」


 最後の授業のチャイムが鳴った。

 今日も少年学校の一日が終了した。


 今日までの二日間を俺はずっとラーク姫を観察していた。

 授業は至って真面目に受けており、特別に発言をしたりはしない。その辺は、コングとか言う小太り栗とは違って目立ちたがり屋ではないらしい……。


 かと言って先生に問題を指名されたらしっかりと正解を言い当てる。

 人としては一番良い印象だ。


 やはり、出しゃばるやつは苦手だ……。

 まあ、それは一感想なだけでラーク姫には関係ないことだ。


 そして、魔法の実技授業では無駄のない洗練された動きで魔法を放っている。


 近接戦闘も遠距離戦闘もどちらもレベルが高い。

 やはりこのクラスでは俺やレオは頭を1つ抜けてクラスメイトより魔法が扱える。ただ、ラーク姫は俺やレオから頭、4つ5つ抜けて魔法のレベルが頭抜けている。


 俺は水魔法より、火魔法や電魔法の方が得意だが、それらの魔法を使ってもラーク姫には勝てないだろう……。

 勝てないというか瞬殺のレベルだろう……。


 そして、ラーク姫は非常に人望が厚いらしい。

 昼休みは授業合間の休憩時間にはクラスメイトとおしゃべりをしている印象。


 机で1人でいる俺とは違って友達はたくさんいるっぽい。

 まあ、俺は別に1人でも良いけどね……!


 放課後はやはり、魔道場で1人で魔法に打ち込んでいる。

 ちゃんと毎日継続している。


 昨日だけ、初日だからやる気が出ていただけで今日からはめんどくさいとかならずに継続している。

 俺も継続はできる方なのだが、それすらも勝てるところがなく何となく悔しい……。


 あ〜あ……。ラーク姫……サボってくれないかなあ……寄り道をしてくれないかなあ……。

 そんな事を考えながら魔道場の扉の影からコッソリと眺めていると、不意に振り向いた。


 ――――――


 しまった……。ラーク姫と目が合ってしまった。


 こんなところでラーク姫の覗きをしていたなんてバレたら変態扱いだ……。

 ラーク姫は不思議そうにこちらを見ている。

 その間に俺は耐えられなくなってしまいその場から飛び出すように逃げた。


 少年学校を飛び出すと家に荷物も置かずに来た場所は裏山。


「はあはあはあ…………」


 荒くなった呼吸を慌てて整える。

 あんな状況を見られたら変質者だよな……。


 別に嫌われるのが嫌なわけではないのだが、誤解をされるのが嫌だ。

 俺はクラス中から嫌われているため嫌われているのはもう慣れた。


 まあ、いいか……。


 それより、どうやってラーク姫に追いつくのかが大事だ。

 先ほどは寄り道をして欲しいや、サボって欲しいなんて思っていたけれど、それはただの願望……。どうせラーク姫は止まってくれないし、修行を休めと言われても休まない性格だろう……。何となく観察してみてわかった。


 そんなことより、俺も修行しよ!

 追い越すにはラーク姫より量をこなさなければならない。



 俺は再び裏山で日が暮れるまで修行に打ち込むので合った。

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