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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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15、入学


「水魔法“水玉(ウォーターボール)”」


 俺は両手を天にかざすようにして魔力を集中させる。

 バランスボールほどの大きな水の玉ができる。


 ここから魔技(マジックセンス)を最大限活用して回転を加えていく。

 

 ――――キュイーン――――


 少し回転が弱いが……これが今の俺の限界だ。


「はああ!」


 俺は水玉(ウォーターボール)を目の前にある木に目掛けて放つ。


 ――バーン――


「どうだ……」


 少し、砂埃の中から先ほど水玉(ウォーターボール)を当てた木の姿が現れてくる。

 木には水の遠心力によって生まれた鋭い傷跡が残っていた。


「くそ〜……やっぱり折れないか……」


 俺は少しガッカリした。

 うまく行った方だったのだが……。


 今は早朝の6時ほど。

 毎朝、いつもの裏山で修行を行っている。

 これが日課だ。

 

 でも、今日はいつもとちょっと違う。

 いつもよりも気合が入っている。


 なぜかって……。

 それは今日が水の国少年学校の入学の日だからだ!


 シーエーさんが旅立ってから1ヶ月……あっという間だった。

 俺は相変わらず毎日、修行に明け暮れていた。


 俺はいつもより早く修行を切り上げると、家へと向かっていく。


「ただいま〜!」


 ドアを勢いよく開けると、家の中から香ばしい匂いが鼻を刺激する。

 俺はその匂いに誘われるように台所へと向かう。


「おかえりなさい!ご飯できたわよ〜」


 おばさんだ。

 いつも美味しいご飯を提供してくれる。

 修行を頑張れているのはこれのおかげでもある。


 俺は出来立てのスープを口にかき込む。


 う〜ん……うまい!


「今日は少年学校の入学だったわよね!」


 三角巾をつけたおばさんは俺に尋ねてくる。


「うん!」

「少年学校の場所は大丈夫よね〜?」

「うん!シーエーさんと何度か下見に行ったから大丈夫だよ!」

「時間も大丈夫?」

「うん!あと、2、3時間したら家を出るね〜!」


 5歳にしてはちゃんとしすぎているか……。

 まあそれも仕方がない。

 俺はこの日を待ちに待っていたからな!


 時間が経つんが非常に長く感じる……。

 俺は家の中をウロウロしている。


 このような状況は何度か経験がある。

 ピクニックの前日状況とでも名付けようか……。


 



 気がついたら少年学校の目の前にいた。

 1時間も早く来てしまった……。


 でも、受付がちょうど始まったらしいので受付を済ませることにする。


 以前、少年学校に入学するにあたってシーエーさんと書類を提出しているため本人確認ができれば良いのだ。

 そのため、本人確認さえ済めば入学することができる。


 俺は無事に受付を済ませた。

 一番乗り!


 まあ、受付時間の1時間前から来ている人なんていないしな……。

 

 そこから俺はどデカい会場へと案内させられた。

 そこには椅子机がざっと1000以上も敷き詰められている。


 前にはどデカいステージの上にどデカい石像。あれは誰の石像だ……。

 中の雰囲気も洋風のお城のように品がある石造り。

 上の方にある窓から差し込む光はこの会場の神秘さを向上させている。


 俺は一番乗りのため一番右端の一番前の席へと腰を下ろす。


 こんなどでかい場所で一人とはなんとも寂しいものだ……。

 と思っていると、1分おきぐらいにゾロゾロと人が流れ込むように入ってくる。




 時刻が9時半を差し掛かったところで会場に用意させられていた1000席ほどが満席になる程埋まった。

 みんな俺と同じような背丈だ。


 まさか……こんなに入学するのか……。

 っていうことはこれが全員、同期ってことか……。


 あまりの人数に俺は少し不安になった。


 他の人たちは友達と一緒に来ていたりしてワイワイと楽しそうだ。

 ひとりぼっちの俺は心細いぜ……。


 それから学校の説明などがステージ上で始まるのだが、俺は緊張や不安のあまり聞こえなかった。


「それではここで入学テストを行います!手元にプリントを配布します」


 その指示が出ると、会場の周りを囲っていた数十人の先生方がプリントを配り始めた。

 そこで俺はハッと気がついた。


 え?今日、テストをすんの?

 さらに俺の頭は動揺した。


 目の前にはプリントがある。

 一応、ペンは持って来ていたので大丈夫だが……。


「それではよ〜い……はじめ!」


 その指示が出ると、会場全体が一斉にペンを走らせ出した。

 俺も…………。


 ――――――――


 無事終了……。


 最初は動揺していたが、問題を解いていくうちに自然と緊張感は無くなっていった。

 それに6歳程度の者たちが解く問題だ。別に難しくない。


 魔法に対する知識なんかは英才教育を受けていた俺からしたら屁でもない。

 それに、伊達に前世で14年間生きてきたわけじゃない。

 正直に余裕だ。


 プリントを回収に来る先生方に俺はドヤ顔をしてやった。

 すごいだろと……!


 


「それではこれから魔法の試験に移ります……。会場に来た順で試験に移りますので右端の方から移動の方をお願いします!」


 俺の心臓はビクンっとした。


 会場に来た順ということは……俺からじゃねえかよ……。

 一人の先生が俺の方へと駆け寄ってきた。


「じゃあこちらの席の方々は立ってください!」


 俺の横一列は一斉に立ち上がった。もちろん俺も……。

 それから先生に連れられるままに移動を行った。


 着いたところはまたしてもめちゃくちゃデカい会場だ。

 でも、先ほどと雰囲気はだいぶ違う。


 地面には土が敷き詰められており、だいぶ汚い。

 壁にはそこらじゅう黒ずみがあり、いかにも魔法を撃った痕跡が残されている。

 あちらこちらに転がる気でできた人形達。


 そして、奥の方の壁にはアーチェリーで使用するような的が無数にある。

 明らかにここは魔法を使うだけの部屋のように感じる。


 目の前には先生方が10人ほど横並びになって待っている。


「では、ここから魔法の試験に移ります。目の前にいる先生方に名前を言ってから試験を受けるようにお願いします。空いたらどんどんと流れるように進んでいってください!試験が終わりましたら先ほどの会場へと戻ってください!」


 そう言われたので一番手の俺は一番右端の白髪で腰が曲がり長老のような見た目の人の場所へと向かっていく。


「では、お名前は……」

「ゲッツァです!」


 声が細々していて弱そうだ。


「上級貴族や王族ではないね!よし行っていいよ!」


 俺は少し、驚いた。


「え?魔法の試験は……?」


 長老のような見た目の先生もまた驚いたような表情をする。


「君……魔法が扱えるのかい?」

「はい!」


 俺は自信満々に答える。


「ほんとだね?じゃああそこの的を狙って撃ってみなさい!」


 俺の視界の目の前に的がある。

 俺はここが見せ場だと感じた。


 最大限、魔力を練り上げる。

 シーエーさんが最後に教えてくれた魔法……。これを少年学校入学までにと課題とされた魔法……。


「いきま〜す!水魔法“水槍(ウォータースピア)”」


 俺は水を生成すると槍の形へと組み上げていく。

 その時点で会場にいる多くの同期達がザワザワとし始めた。

 長老先生も目を丸くしている。


 ここからさらに回転を加えていく。

 槍はクルクルと回転をしていく。


「とりゃあああ!」


 俺は的目掛けて水槍(ウォータースピア)を放つ。



 ――――バン――――



 見事、的に命中すると的には大きな穴が空いていた。


「あ……。すみません……」


 学校の物を壊してしまったのだ……。調子に乗りすぎた……。

 恐る恐る長老先生の顔を見る。


 ………………


 口をあんぐりと開けていた。

 それほど大事な物だったのか?


「君……。今のはなんだね……?」


 長老先生はすごく不思議そうに見つめてきた。


「今のは水魔法“水槍(ウォータースピア)”です……」

「本当か……?わしの見間違いじゃないかね……?」


 怒ってはなさそうだ……。

 でもなんか疑われている。


「じゃあもう一回やりますよ!水魔法“水槍(ウォータースピア)”」


 ――――バン――――


 破れた的にもう一度同じことをした。


 会場が沈黙に包まれた。


「ちょっと君!王族でもないのにそんな魔法が使えるのかね……!」


 長老先生は俺の顔に5センチほどを近づけて大きな声で言ってくる。


「はい……。使えます……」


 気がつけば同期達は俺の方をみんなが向いている。それ以外にも先生もだ……。


「ゲッツァ君だね……!試験は終了……行っていいよ!」


 長老先生は度肝を抜かれた感じで俺に指示を出した。


「はい……!」


 やってしまったのか……。


 よく見るとほとんどの者が魔法を扱わず、試験を終了している。

 扱っている者がいても、水滴を出す程度のものだ。


 たしかに5、6歳だったか……。そりゃあ常識的に魔法を扱えるわけないもんな……。

 俺も3歳の時に魔法を習い始めたが、できるまでには時間がかかったし難しかった。


 まあ、水魔法しか使っていないので問題はないだろう……。

 じゃあ会場を後にするか……。ここにいても目立つだろうし……。


 俺は扉の方まで向かい会場を出ようとした。



 ――――ドカーン――――



 後ろから激しい爆発音が聞こえた。

 俺の使った魔法より遥かに強力だ。


 下手したら5〜6倍の威力はある……。

 俺は慌てて後ろを振り返った。


 ――――――――


 その魔法をが命中した先から放出元まで目をスライドさせた。


 そこに居たのはなんと女子だった。


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