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白の|運命《さだめ》〜選ばれし白属性魔法として生まれた俺は……〜  作者: 生きてる水


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15/15

14、新た


 テーブルは華やかだ。


 これはオーク肉!!!美味そうだ。

 オーク肉は今日、たくさん食べたのが、うまければ関係ない!


 それにこれは生野菜か?

 緑が生き生きとした新鮮なや野菜たちが俺の視線へと入ってくる。


 魔界ではほとんど野菜を食べていなかった。

 と言うか、野菜を食べたとしても何かしら手が加えてあった。

 そのため、新鮮な生野菜はこの世界に入ってから初めて食べる!


「もう食べていいですか?」

「はい!どうぞ召し上がれ」


 おばさんは俺の顔をじっと見ながら笑顔で答えた。


「いただきまーす!」


 俺は真っ先に生野菜を口の中へと放り込む。

 あの懐かしの新鮮さが口の中を満たして行く。


 味は胡麻ドレッシングに近いような味付けだ。

 俺の胃袋がクリーンになって行く感じだ。


「うま〜い!!!」


 俺は美味さのあまり声を上げてしまった。


「あらよかった!まだあるからゆっくり食べなさいよ!」

「ふああ〜い」


 口の中をパンパンにしながら俺は返事を返した。




 流石にもう食べれない……。


 やはり料理の上手いシーエーさんのお母さんだ……。シーエーさんと同等……いや、それ以上の腕の持ち主と言っても過言ではない。


「お腹いっぱいです〜!」

「あらそう!いっぱい食べてくれて作り甲斐があるわよ!」


 おばさんは皿を洗いながら腹を膨れさせて寝込んでいる俺へと視線を移した。


「そうゲッツァ君!」

「はい!」


 俺は立ち上がると気をつけの姿勢を取る。


「もっと楽にしていいわよ!5歳だってのに気を使いすぎよ!」


 気を使っていないと言えば嘘になるが、一応、これからお世話になる身としては礼儀っちゃ礼儀だと思う。


「いや、そんなことないですよ」

「いや〜そんなことあるわよ〜。さっきから敬語だし〜。わたしに呼ばれたら姿勢を正すしさ〜……これから長い間、一緒にいるんだからさもっと楽にしていいわよ〜!もうわたしはゲッツァ君の身内なんだからね!言いたいことがあったらなんでも言ってちょうだい!」


 確かに、少し気負いすぎたかも……。


 そういえば俺はまだ5歳だった。


 サッカー部の時に叩き込まれた先輩への礼儀作法が少し出てしまっていたのかもしれないな。

 気を使われると逆に向こう側にも身を使わせてしまうこともあるしな……。


「わかったおばさん!」

「はいよ〜!」


 俺はこの家で仲良く楽しくやっていけそうだ。

 この瞬間、そんな確信が持てた。


 夕食の後は少しゴロゴロとした後に、風呂に入った。


 火魔法を使える俺がいると風呂を沸かすのが非常に楽らしい。

 そのため、いつも通り一番風呂!


 そして、風呂上がりに水を一杯。


 飲み終わるとシーエーさんの部屋に布団が2枚敷かれてあるため小さい方の布団で無事に就寝。

 船旅が長くほとんどこの日は寝れていなかったため、布団に入りしだいすぐに夢の中だ……。





「起きろ〜!ゲッツァ……」


 耳元で誰か俺に囁いている……。

 眠たい。まだ寝たい……。


「起きろゲッツァ!」


 ………………。


「シーエーさん……!」


 激しく肩のあたりを揺らされたため起きることとなった。


「おはよ〜ゲッツァ君!」

「おはようございま〜す!」

「ご飯できてるわよ〜!」


 朝食をとる。

 とても美味だ。

 これは生き甲斐しかなさそうだ。


 朝食をとり終わると、シーエーさんに呼び出される。

 向かったのは家のちょうど後ろにある山だ。

 通称、裏山と呼ぼう。


 裏山には全くもって人気がない。

 だからと言って不気味でもない。自然が豊かで気持ちいほうが勝つ感じ。


 まあ、城下町からも少しだけ離れていし、人気がなくて当然か……。

 シーエーさんに言われるがまま裏山の奥へと入って行く。


 ――――――


「着いたぞ!」


 そこには木で覆われた中に田舎の公園ぐらいのスペースがあった。

 この部分だけ全く木が生えていない。

 自然でなのか……それとも人の手でなのか……。


「いや〜懐かしいな〜!」


 シーエーさんは非常に懐かしそうだ。


「ゲッツァ!ここはなあカルバーツと俺が修行していたところなんだ!」

「そうなの?」


「ああ!下級貴族で才能もなかった俺だが、カルバーツと仲良くなってな!ここで毎日、カルバーツに修行を付き合ってもらってたんだ。俺が最前線に行けたのもこの場所のおかげだ!」


 シーエーさんの努力の賜物だ。

 カルバーツを近くで見ていたから分かるがシーエーさんとは才能の差はとてもあるように感じる。


 カルバーツは天才だからな……。

 でも、そんな中でシーエーさんの戦い方は渋く何処か華がないが確実に相手を倒したり、勝てなそうだったら逃げたりと非常に忠実な戦い方をしている。


 相当な努力と頭を使ってきたのだろう。

 この場所を見ると幼き頃のシーエーさんの努力がひしひしと伝わってくる。

 

「今日からゲッツァには少年学校に入学するまでの数ヶ月間は俺とこの場所でいつも通り鍛錬を行う!」

「おう!待っていました!」


 この数ヶ月は船や馬の上だけで満足に魔法を使えていなかった。

 危機とは直面してきていたので戦いにおける勘などは鈍っていないと思うが、体はウズウズとしていた。

 やっとまともに魔法を使える。


「少年学校では水魔法しか使わないようにしてほしい!でも、この場所では人気がないから他の属性の魔法を思いっきり使っていいぞ!」

「は〜い!」


 少年学校では水魔法しか使えないのはちょっと残念だが……まあ仕方がない。

 この場所なら思いっきり使えるなら問題ない。


「じゃあこの数ヶ月はまともにやり合っていなかったからな!まずは俺と条件なしの全力勝負だ!」

「よ〜し!行くぞ!シーエーさん!!」

「かかって来い!」


 俺はシーエーさん目掛けて飛び込んで行った。





 そこから1ヶ月間、朝起きたらこの裏山に二人で行き、ひたすら修行の毎日。

 そして、少年学校に入る前に水魔法のコントロールを徹底的にやった。


 少年学校に入学するときまでに水魔法を扱えていた方が良いとシーエーさんの教え。

 ていうのもあるけど、やっぱりシーエーさんが最前線に戻るまでの間は水魔法を習いたいというのもあった。


 いずれ、俺が大きくなった時に水魔法はシーエーさんから習ったと誇り高く言えるように……。

 俺は真剣に打ち込んだ。




 1ヶ月が経過した頃。最前線からシーエーさんの元に一通の手紙が届いた。

 カルバーツからだった。


 どうやら無事だったらしい。


 まあカルバーツが死ぬはずないか……。

 でも一安心だ。


 この数ヶ月は心の中で、カルバーツの心配をしていたからな。

 

 でも、相変わらず最前線は押し込まれてしまっているらしい。

 魔族、魔物との戦いも激化してきているらしく、非常に厳しい状況らしい。


 そのため、シーエーさんは再び最前線へと戻ることとなった。

 カルバーツからの手紙で最後に一行


 ――少年学校を余裕で卒業して来い!最前線で待っている――


 と一言。


 少年学校を卒業するタイミングというのは……15歳か……。

 正直、そんなに待ってはいられないのだが……。


 あと、10年……。

 長いな……。


 そんなこんなでシーエーさんは荷物をまとめていた。

 カルバーツとも長い付き合いだったが、シーエーさんとはそれ以上に付き合いだ。

 これからシーエーさんがいない日常が始まるというのが不思議で仕方がない。


「よし!じゃあ行ってくるわ!」


 家のすぐ外で、シーエーさんは荷物を片方の肩に垂れるように担ぐと俺と、おばさんにそう言った。


「またね……。頑張ってくるのよ!それと無理はしないようにね!」


 おばさんはやはりどこか寂しそうだ。

 でも、寂しさを隠すように声をかける。


「おう!」


 シーエーさんはそう返事をするとおばさんと抱き合った。


「さよならシーエーさん!」


 俺の目は少し潤っていた。

 けれど、絶対に涙は流さない。絶対にだ!


「おうゲッツァ!頑張るんだぞ!毎日、修行をサボっていたら俺が許さないからな!」

「サボるもんか!次会う時にはシーエーさんよりも強くなっててやるよ!」


 そんなことを言うと、シーエーさんは軽く俺の頭にチョップをした。


「いたっ!」

「目標が低いな……。次会う時にはカルバーツを超えるぐらい強くなってろよ!」


 それは流石に……。いや、目標は高い方が良い!俺は次会う時までにカルバーツを超える!


「おう!任せろ!」


 俺は元気一杯の笑顔で返した。

 すると、シーエーさんがチョップをしたその手のまま俺の頭を摩り始めた。


 頭を撫でられている……。

 優しくて温かい感覚だ。


 やはり、この頭を撫でられる瞬間で俺がまだ子供なんだと言うことを自覚する。


 数秒ほど撫でると、俺の頭から手を下ろした。


「じゃあな!元気でな!」


 その一言を言うと、シーエーさんは後ろを向き、旅立っていった。

 カルバーツだったらパンツを忘れていただろうに……。シーエーさんにはそんなことが無い。

 最後のシーエーさんの表情は印象的だった。


 ここまで、俺を育て上げてくれたのは他でもない。シーエーさんだ。

 感謝の意味を込めてシーエーさんの後ろ姿を目掛けて全力で手を振った。


 これからは新しい生活だ。

 今まで、頼ってきていたシーエーさんやカルバーツがいない生活……。


 魔法の修行なんかは自分で考えてしなければならない。


 シーエーさんがいる間に水魔法はなんとか形にはすることができた。

 だからこそ、シーエーさんは安心して俺を送り出せたのだろう……。



 少年学校に入学まであと、1ヶ月……。

 俺は絶対に強くなってやる!



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